しゃべってしまう身体 笠井顕、大野慶人「没後26年 土方巽を語ることⅡ」(2012年1月21日開催 講演動画)at clubhouse 20220126
※このnoteは2022年1月26日(水)21:10からのclubhouseでの発表用メモに加筆修正したものです。clubehouseリンクも貼っておきますので、ご興味を持たれましたらご参加頂ければ嬉しいです。
今回は、慶應義塾大学アート・センターが毎年舞踏の創始者である土方巽の命日に開催している催しの2012年度の映像を題材にしたいと思います。舞踏家の笠井顕さんが講演されています。内容も興味深いのですが、本日は講演の内容ではなくて、話ながら身体が動いてしまう点に注目したいと思います。笠井さんだけでなく、動画の最後には客席にいた同じく舞踏家の大野慶人さんにマイクが渡り、それこそ話ながら踊りながらの世界になっていきます。
■該当の動画
動画の全編は1時間4分あって、どこをとっても興味深いのですが、敢えて、お!と思ったポイントでいうと、34分経過ごろ、笠井さんがバレエの歴史を語りながらアラベスクというバレエのポーズをなさいます。舞踏家笠井顕のアラベスクというのは中々希少価値なのではないでしょうか。儚げでのびやかで美しいです。慶人さんは客席から呼ばれて2回登場されるのですが、49分ごろと1時間20秒ごろになります。
■講演の背景
舞踏BUTOHは1950年代に日本で生まれたダンスです。
舞踏の創始者は土方巽。その土方が師と仰いだのが大野一雄です。舞踏はこの二人によって生まれたと言われています。笠井顕は1960年代に大野一雄、土方巽と親交を深め、舞踏の黎明期を共に築いた舞踏家と言えるでしょう。
舞踏の最初の作品は1959年(昭和34年)の「禁色」という作品です。この禁色には土方と大野一雄の子息である大野慶人の2名が出演しています。動画の中で慶人さんがお話されていましたね。
年かさの順で生まれた年を見てみましょう。
大野一雄は1906年函館に生まれました。明治生まれ。第二次世界大戦に従軍しています。(2010年6月1日 103歳没)
土方巽は1928年(昭和3年)秋田生まれ。(1986年1月21日57歳没)
大野慶人は1938年(昭和13年)東京生まれ。(2020年1月8日81歳没)
笠井顕は1943年(昭和18年)三重県生まれ。
■身振り手振り
動画を御覧になっていただくとお分かりいただけると思いますが、お二人とも話しているとき、じっとしていないですね。立って、なんとなく歩いてる。それだけでもその場で自分の居たい様になさってると思うのですが、時折、言葉ではなく、動きで何かを伝えようとする身振り、手振りが現れます。そういう中で、リアリティが伝わってくる。
笠井さんの踊りで社会を背負っている人生。慶人さんの土方巽、大野一雄という存在。
正直に言うと笠井さんのお話は私にはわからない事も多かった。けれど、笠井さんにとって踊りがこの社会において重要である。これからもっと重要になる。だからもっとそれをやっていかなくちゃいけない。自分の命題としてそれがある。と、それを生きている事が伝わってきました。
一方では、慶人さんが語る土方巽も大野一雄も、身振り手振りでホログラムのようにそこに現れてきて、「土方さん、そうだったのか」と、理解するのではなく、土方巽という人を感じられるように聞きました。
私はこの動画で、とにかくお二人の動きを見ているのが面白くて仕方なかったのですが、改めて、もっと身体におしゃべりでいていいよ、もっと自分の身体をおしゃべりな状態でいるようにしよう、日常の普通の生活でそうしていよう、と思いました。
皆様はこの動画を御覧になって、どうお感じになるでしょうか。
■発表後記(2/8追記)
clubhouseにご参加いただいた方から土方巽さん出演の映画「恐怖奇形人間」をご紹介いただきました。この方は「脊髄に残る演技」と土方さんを評されていました。脊髄に残る。すごい説得力ですね。DVDやAmazonプライムの有料チャネルで見られるそうです。映画の予告編を貼っておきます。
■clubhouse情報
2022年1月26日(水)21:10~21:45(予定)
前説5分+本編(このnote部分)5分+コメントタイム15分
この社会の中で、人がどうやってつながっていけるのか、その可能性を身体、風土、歴史、文化から探っています。無意識の内に人の中に沁み込んでいる世界の見方に出会い、同じく無意識ににじみ出ている何かで人とつながることを体験していきたい。
そういうミュニケーションがこれからはより一層大事と思っています。それは社会のセーフティーネットであり未来を作ります。人間を強く元気にします。
clubhouseでは、ダンス作品や映画などのレビューを通して、それに取り組んでいます。
■関連情報リンク
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