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喪中につき 3 夜中のバス
2月。父の葬儀を終えて実家から特急列車で東京に戻った。夜遅くターミナル駅に着いた。地下鉄への乗り換えを急いでいた時、バスが発車していく後ろ姿がチラリと見えた。路線バスだ。地元ではないからこのあたりの路線バスがどこへ行くのかわからない。
ふと、このままバスに乗って何処かへ行ってしまいたい。どこにも根付かないひとになって流れていってしまいたい、という思いが浮かんだ。
家で留守番をしている猫たちが気に掛かり早く家に着きたいと思いながら早足で歩いていた最中だった。びっくりした。
もちろん私は足を止めることもなく、そのまま地下鉄に乗り、家に戻った。
けれど、あの闇の中のバスの赤いテールランプは違う世界の入り口のように私の中に残っている。
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