日記:20230405

 吉田知子「お供え」読了。以前読んだ時にはまったく内容を理解できず、内容も何も覚えていなかった。「脳天壊了」を読んでから再読したら、なぜこれを理解できなかったのかが理解できない。
 「祇樹院」は怪談的な要素がもっとも色濃い。語り手が乗り物酔いしたような感覚に襲われたあたりから、不気味な気配が漂い出し、「うちの子、あんたが殺したんだ」で頂点に達する。夏目漱石の「夢十夜」などと通じる気味の悪さ。
 「迷蕨」は夢中になって山菜を採っているうちに、得体の知れない儀式に巻き込まれる話。語り手が意地汚くワラビにこだわっている姿と、儀式の最中に挟まれる会話や回想の猥雑さがにおいたつようなえぐみのある魅力に満ちている。タイトルは「めいけつ」と読むらしい。造語だと思うけど、字面が素敵だ。
 「門」は既読の「東堂のこと」と重なるところがある。「東堂」は祖父のことだったのか。比較的、日常的な展開が長く続き、屋敷に飲み込まれるように迷い込んだまま唐突に終わるラストが印象的。
 「海梯」がこの巻ではいちばん分かりやすく面白かったかも。「常寒山」にすこし雰囲気が似ている気もする。良とオサムの関係とか。伯母の態度が一変してからの展開が意味はわからないもののヒリつくような雰囲気でゾクゾクする。そしてこの終わり方、怪談として完璧。
 どの作品も夢の中のような感覚がどこかにあるのだけど、「逆旅」がいちばん夢っぽい感覚が強かった。その分、内容を読み取るのに手がかかる作品でもあった。特に電話かけなければいけなかったことを思い出してからは、夢特有の筋道の通った不条理さに満ちている。
 「艮」はいちばんの問題作であり、異色作。なんでこんな作品を読んだのに何も覚えていないのか自分が信じられない。暴力と性と狂気に喉元を掴まれたまま、よくわからない不快で不潔な場所を引きずり回されるような小説。怖い。時折、ユーモアとしか呼べないような妙な笑いが入ってくるのが、余計に怖い。

いつも小吉。大吉も凶も出たためしがない。可もなく不可もなし。変哲もないノッペラボウの小吉のオバケ野郎。もういいのだ。もう小吉などとは無縁だ。おみくじを裂いて捨てるとせいせいした。椎茸を食べるとガンにならないのだ。なまでもかまわない。それでも十個は食べられない。

吉田知子「艮」(『お供え』)

 すごい。フリースタイルみたいなグルーヴ感。


 夜、二丁魁の「FREE GAY LIVE 44」3日目。うーん、今日は自分のテンションと曲や周りの人たちのノリが噛み合わなくて、なんか初めてかもというくらい冷めたツラして見てしまった。
 まあそういう日もある、と自分に言い聞かせながら見ていたのだけど、中盤のハピデ、アンハピ、やめすこのブロックはとてもよかった。アンハピのサビの振り付けで、正面を見据えたまま指のカウントをする栄心くん、とても凛々しかった。
 やめすこの「今日の君が大人になって手を差し伸べるために」のところで、ミキティーが泣きそうな表情になっていて、満開の笑顔の紅さんと目が合った後、笑顔になっていたのが印象に残っている。昨日のポイズンで、泣いていた紅さんを栄心くんが笑顔で見つめていた光景も思い出した。
 誰かが泣いている時に、誰かが笑ってあげられるグループはとても良いグループ。

 それにしても明日のセトリがとんでもないことになりそう。自分の予想はこれです!

1.g.a.y.
2.そっ閉じ
3.青春
4.ネコ
5.ホモサピ
6.人好き
7.ノスタル
8.三原色
9.やめとま
10.ワンス
11.GAY STAR


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