二丁目の魁カミングアウト13周年ワンマン『やっと見つかる青春がある』

5月1日
二丁目の魁カミングアウト13周年ワンマン『やっと見つかる青春がある』@新宿BLAZE

 毎年恒例、ゴールデンウィーク中の平日に行われる二丁目の魁カミングアウトの周年ワンマンを見に、7月で営業終了となる新宿BLAZEへ。二丁魁でBLAZEといえば、改名後2回目となるワンマンライブの印象が強い。『そっ閉じ青春』をリード曲に、二丁魁のワンマンでも特にエモーショナルなライブだった。
 思い出の残るBLAZEがなくなる前にどうしてもやりたかったワンマンが奇跡的に結成日当日の会場を取れて実現できた、とミキティーは繰り返し語っていた。よっぽど嬉しかったんだろうな。しかも前売りソールドアウトで迎えられたのが本当に喜ばしい。おめでとう!

 ぺいちゃんの影ナレの後、まず『あの頃、僕ら若すぎた青春』のアートワークの写真を使用した映像がスクリーンに映し出される。
 そして4人が登場すると『Good As Yesterday』からスタート。10周年記念の日にこの曲が公開されてからもう3年も経つのかと思うと驚きとともに感慨深い。
 2番の「なぜだか過去ばかり振り返るような」のパートで、ぺいちゃんが涙を堪えているのがはっきりわかった。声が震えたり掠れたりしているわけでもなく、しっかり歌いきっているけど、声に涙が含まれているような湿り気を帯びていてすぐわかる。
 以前はワンマンのたびに曲中、何度も涙で声を詰まらせていたことを思うと、本当に強くなったなとしみじみ感じ入るものがある。

 『BAKADEMO AHODEMO』を挟んで『人を好きになれる君は何度でもやり直せるんだ』。人好きが前半に来るライブは特別なセトリという感覚が強い。人好きを聴いてる間、ずっときまるくんのことを考えていたし、この後の『BUG IS LIFE』では白鳥さんのことを思い出していた。
 去年の周年ライブでは、こんなに前メンバーのことを思いながら見てはいなかった。これは単純な懐古ではなくて、ステージ上の4人を愛おしみながら、これまでの歴史を作ってきてくれたメンバーの存在を改めて感じていたということなんだと思う。

 『アンハッピーバースデー』でいちばん好きな「歳は重ねていくものだけど 命は擦り減らすだけではなくて」の部分で、栄心くんの声を掠らせるような歌い方が、歌詞とも相待ってとても胸に響いた。意図してあの声を出していたのだとしたら、栄心くんの表現力恐ろしい。

 改めてセトリを振り返ってみると、前半に重めの曲を持ってきて、『LOVEタイムマシーン』『パラレルヤワールド』の後から明るめの曲が続く構成になっていたことに気づく。
 でもライブの最中はセトリのグラデーションはほとんど意識しなかった。単純にこっちがライブを楽しむのにいっぱいいっぱいでそれどころじゃなかったというのもあるし、1曲1曲に特大の思いが込められていたから曲調の差をあまり感じなかったのかもしれない。先日のRAYツーマンの時のような曲ごとの世界観を強く押し出すライブとは逆で、全部の曲を通じて二丁魁の世界なライブだった。

 いったんステージを捌けて、あの青春の天使衣装にお召し替えして再登場。この衣装でライブが見られる機会は限られているらしく、いつも以上にステージ上の姿を目に焼き付けた。というか、ここからのセトリが素晴らしすぎて、忘れようのないライブ。
 『あの頃、僕ら若過ぎた青春』『青春は何度でもやり直せるなんて嘘だ』の青春セトリから『ノスタルジスター』。ちょっとこの流れは意外に感じたのだけど、ノスにも「青い春」という歌詞が出てくるしなと思っていたら、ラストの「ふと立ち寄ったあの場所は 今ではなくて」でこの曲を今日この場所でやる意味に気づいてハッとした。
 ライブの最後に翌年2月のZEPP shinjuku ワンマンが告知されたけど、その頃にはもうBLAZEはなくなっていて、ZEPPに来た時に今日のことを思い出すんだろうな。

 『そっ閉じ青春』も良かった。かつてのBLAZEワンマンのそっ閉じだけでなく、あの時やこの時、いつでも特別な曲だったそっ閉じを思い出しながら聴いていた。ガチゲイ口上も久しぶりに全力で発声しました。

 そして『yesterday the once more』。アウトロのぴょんぴょんするところ、全員が本当に幸せそうな楽しそうな表情で、ああいう顔が見たくてアイドルを応援してるんだよな。最後、一体を沈めてから右手を振り上げるぺいちゃんが、表情も身のこなしもまさしく「渾身」で、あの一瞬に全てが詰まっていた。

 さらに『隕石に願いを』でこれがラストかなと思ったら、さらにもう1曲あり、しかも『あるある言いたい』。この選曲はびっくりしたし、あえてこの曲を持ってきた意図を想像すると感慨深い。このワンマンをショウとして完成させることよりも、客席のひとりひとりにメッセージを届けることを重視したんじゃないかな。

 再度ステージを去った後もアンコールの拍手が鳴り続け、新衣装に着替えた4人が登場してダブルアンコール。アンコール中に着替えたり汗を抑えたりメイク直したりで時間かかる場合は、映像流すとかしてほしいなあと毎回思っている。でかい声出し続けてるおなカマの喉が心配。

 新衣装は白ベースにメンバーカラーのカラフルな飾りを入れたキラキラ衣装。王道のアイドル衣装風に見えて、男性的なスタイリッシュさもあって、タキシード衣装を思い出したりもした。あれもBLAZEが初お披露目じゃなかったっけ。
 そして二丁魁の2nd.シングル『キラキライクストーリー』の発売告知とライブ披露が行われた。作曲は多田慎也さん!
 正直、最初の印象としてはノリ方が難しい曲だなと思ったりした。スクリーンに映る歌詞を読むことに気を取られ過ぎていたかもしれない。これからライブで聴くにつれてどう曲の印象が変わってくるのか、楽しみにしています。

 MCでミキティーが毎年5月1日は、去年よりももっと自分を好きになると決めている、と語ったことが記憶に残る。ワンマンの翌日、ライブを見にきたアイドルたちの感想ツイートに引用リプで返信していたのも、去年より自分を好きになれた証なのかなと思う。

 あとは、ぺいちゃんが「売れたい!」と明言したこと。これについては、何年か前の自分だったら、二丁魁がもっと売れるために自分も頑張って宣伝する!とか意気込んでいたのだろうけど、今はそういう感じではないかも。
 もちろん二丁魁には売れてほしい、もっと二丁魁を必要としている人たちに届きやすくなってほしい、メンバー自身が十分な手応えを実感してほしい、という思いは以前と変わらずある。
 でも、実際に売れる売れないに関わってくるのは、たとえばこの日発表された株式会社GAY エンターテインメント設立とか、実務的な内容が重要で、そこはファンがどうこうできるものではないし、口出しすべきものでもないと思っている。
 ただ闇雲に「売れたい!」という言葉は、13年やってきたアイドルよりももっとキャリアの浅いがむしゃらなアイドルに似合うんじゃないの、とは思ってしまった。そのへんのナイーブさを失っていないのが二丁魁の良さとも言えるのかもしれないけど。

 この先、二丁魁がどうなっていきたいのか自分たちで自分たちのために決めたビジョンがあって、そのために行なった選択なら自分の期待や好みと違っていても文句は言わないし、粛々と応援するだけ。
 実際、もう一つの重大発表で再録ベストアルバムが発売されることが決まったけど、個人的にはベストアルバムというもの自体にあまり思い入れがないので、そこまでテンションは上がらないくて、どっちかといえば、きまるくんの脱退でなかったことになった『Good As Yesterday』(と同シリーズ全部)の再録のほうが嬉しくはあった。
 かといって、ベストアルバムが嬉しくないとかではないし、メンバーのやりたいことが実現されるなら心からお祝いしたいと思っている。

 来年の5月1日に、今年よりももっと二丁魁を好きになっていられたらいいな。これからもよろしくね。
 


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