ミキティー本物生誕祭2024

3月23日(土)
二丁目の魁カミングアウト
『ミキティー本物ソロライブwith魁BAND〜世界で1人ぼっちじゃなくて〜』
『生誕祭ワンマンライブ〜世界で1人しかいない僕だから〜』
@下北沢シャングリラ

 二丁魁のミキティー生誕祭、今年はバンド編成でのソロライブと、ワンマンライブの2部構成。
 
 1部のミキティーのソロに関しては、曲とかバンドの音がどうこうとか以前に、ミキティー本物というひとりの人間の人生をまるごと曝け出すようなライブだった。
 1曲歌うごとに長めのおしゃべりを挟む構成で、後半はずっとマキがかかるくらいたっぷりしたMCが、とても大事な話ばかりだった。

 1曲目はYUIの『CHE.R.RY』で、二丁魁の曲で最初に歌われたのは『ホモサピエンス』。ちょうどこの曲がはじめて披露された時期に、ライブ鑑賞中の禁止事項についてファンからの意見をぜんぶ受け止めようとしてミキティーがパンクしてしまったことがあった。最初の曲の後、「今日は二丁魁のライブじゃないから禁止事項とかないからね。上がるやつ(リフト)とかやってもいいよ。そんな曲やらないと思うけど」とか言ってたこともあわせて、なんとなくその時のことを思い出しながら聴いていた。
 そしたらその後のMCで、ここ数年、ひとの声を意識しすぎて、全員を悲しませたくない喜ばせたいとするあまり、身動きがとれなくなっていたことを語り、「もう諦めました!」と朗らかに宣言してくれたこと、そう言えるようになってくれたことが、本当にうれしかった。

 あの時は後日、「これからは強ミキになる。もう病んだりしない」と言ってて、実際にあれ以来、ミキティーは病んだ姿を一度も見せていない。でもそれは弱みを見せていないだけで、傷つかなくなったわけではない。
 中野サンプラザの演出をめぐりSNS上でいろんな声が飛び交った時も、一時的に発声しづらい状態になってしまったこともあった。そのたびにミキティーは、これからは自分の判断を信じて自分が決める、と語ってきたし、それを実行していた。
 今回、生誕ライブという場で改めてミキティーにこんなことを言わせたことに申し訳なさも感じるし、相手が人間であることを忘れずに追い込まない応援を心がけていこうと、自分に言い聞かせた。

 人生がダイレクトに反映されたライブをする二丁魁だからこそ、活動が長くなればなるほど、その時その時で表情が変わって見えることもあるだろう。自分が夢中になった時と手触りが変わって感じられることもあるだろうし、新曲とかライブの企画・演出とか方針とかが好みに合わないこともあるかもしれない。
 でも二丁魁のやること、ミキティーが決めたことには必ず意図があってのことだし、まずどんな意図があるのかを汲み取ることから始めて、そのうえで好き嫌いを含めた感想を表明したりしなかったりを判断しよう、言葉を選ぼうと思います。
 見ないふりで肩を叩くことができるかもわかんないし、自分がファンとしてできることはそれくらい。

 他に印象的だったのは真っ赤な生誕衣装。最初見た瞬間、日向ハルちゃん!と思って、さらに『田園』をカバーしたことで完全に同一人物説が成立してしまった。

 それから、ミキティー自身が作ったソロ曲『幸』。昨年の生誕の時にはもうできていたけど、その時は歌えなかったという曲。これまではおなカマへの想いを歌った曲、おなカマに届けたい曲を歌ってきたけど、この曲はミキティーが自分のために作り、自分のために歌った曲だった。
 『シンポジウムリフレイン』で突然いなくなったアイドルに「今度は自分のうたを歌え 今度は大切な人に歌え」と歌ったミキティーが、アイドルになって13回目の生誕ライブで、やっと自分のうたを大切な人のために歌えたのだと思うと、胸に込み上げるものがある。ミキティーおめでとう。

 2部の生誕ワンマンは、ブロックごとに4人で数曲歌った後、各メンバーの生誕ソングをデュオで歌う構成。
 特に印象深かったのは紅さんの『笑う僕には福来たる』で、この曲はミキティーと真逆とも言える明朗な紅さんのために書かれた歌詞だけど、その一方で「幸せになりたいって 大きな声で言えない僕 だからいつでも笑っていたいんだ」の「僕」は紛れもなくミキティー自身のことなのだと思い、ハッとした。
 ぺいちゃん、栄心くんのために書かれた歌詞も、やはりミキティー自身のことを歌った歌詞でもあったのだろう。歌詞を読み曲を聴いたファンが、これは自分の歌だ、と感じるくらいには。

 二丁魁にしては珍しいダブルアンコールで、4月に発売予定の新曲『あの頃、僕ら若すぎた青春』が先行披露された。衣装も新曲用の純白衣装にお召し替え。
 胸の前で両腕を合わせて抱きしめるような振り付けと、ファインダーが出てくる振り付けが印象的な曲で、曲を聴いて初めて今回の生誕祭のタイトルが、どちらも新曲の歌詞からの引用だったことに気づいて震えた。おしゃれなことしはる。
 どちらのフレーズも、既存の二丁魁の曲に通底するメッセージだから、ぜんぜん違和感がなかった。この曲もいつか当たり前のようにセトリに組み込まれる日が来るのかな。その時も今日のことを思い出して、特別な曲と感じられるようでありたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?