なぜ買わずにいられるのか。春の積読反省会
2023年の春、あるカフェでの出来事だ。心地よい陽気で、ふと、カランと音を立てて氷が浮かぶアイスコーヒーに誘惑された。もう熱々コーヒーとはおさらば、そんな季節だ。猫舌の僕にとっては最高。
僕は、流行りの紙ストローに嫌気がさしながら、スマートフォンの画面越しにバニシング・インクの世界に足を踏み入れた。あれもこれも心奪われる本が次々と押し寄せてくる。もしかすると、みんなにとってはそうじゃないかもしれないけれども、少なくとも僕には輝いて見えていた。横でラテを飲んでいる妻にとっては、ただの鈍器なのだろうけれども。
ふと気づくと、手元には買ったばかりの本が積み重なっていた。ほんの数日でだ。バニシング・インクは、アメリカに存在しているはずじゃなかったっけ。一体、どのような魔法なんだろうか、不思議でならない。
「1冊読んで1冊レビューを書いたら本を買っていいという、マイ・ルールがあったんじゃなかったっけ。」
リビングで、届いた本を前に、妻は手をこまねいて、僕から目を離さない。
「そ、そんなルール、記憶にございません。」
その時思い出したんだ。彼女にとってはこの積まれた本は鈍器に過ぎないって、ことを。
次からは、コンビニ受け取りにしようかな。
最近積んだ本、グッズ
※冒頭はフィクションです。
春の積読反省会です。バニシング・インク(Vinc)からだけでなく、諸々この半年+数ヶ月くらいで買ってまだ積んでるものを羅列します。マジケ分は割愛。動画も割愛。なお、自分で設定した予算余裕でオーバーしてたのでもう買えないですわ…
Offbeat by Nick Diffatte
だってNick Diffatteの演技見たら欲しくなったんだもん。実はNickの演技を生で見たことがあるのですが、むちゃくちゃ若いのに、すごいいい演技をしますし、爆笑をかっさらっていきます。ホンモノのエンターテイナー。あと現物の本の装丁がカッチョ良かったです。積んでよし。
NickはVincのMasterclassでも担当していたのですが、そちらは未見。ブラックフライデーで半額になったら買うかもしれません。
Expert Coin Magic by David Roth
実は持ってなかった。いや、コイン、私は全然やらないんですよ。一時代を作ったと呼ばれるRothを学びたいな、って思って。しかし本当Tuning Forkとか、いいですよね、憧れしかない。
長らく絶版だったのですが、Kaufmanがこの本を再印刷したので、やっと手に入りました。が、つるつる表紙になってて装丁はちょっと残念(確か、布張りでしたよね、昔のって)。なお、邦訳版は持ってませんです。でかいけど渋い。積んでよし。
The Definitive Mental Mysteries of Hector Chadwick
装丁がかっこよいのでそれだけで満足。箔押しハードカバーなので、MAJIONでは「積んでよし」と書いてあるのですが、本当でした。メンタルマジックかぁー全然わからんのですけどこれ読める前提知識、私にあるの?
Interpreting Magic by David Regal
本物の鈍器。これはたぶん、それなりに外傷を与えられます。それくらいでかくて重い。それだけで読むエネルギーを奪ってくるですが、結構面白いらしいので、楽しみなので、積んでよし。
なおインタビューだけをパラパラと読みましたが、なかなか面白い。Regalはこれ完成させたのはマジですごい。
La Campanella by Shimpei Katsuragawa
日本語版が出るのではないかと多くの方が期待しているかと思いますが、なんか出る気配はなさそうだったので、買いました。今読んでいるので、近々のレビューはこれになります。ピンキーカウントは必須技法ですわね。なお箱付きです。
MAX MALINI by Steve Cohen
誰しもマリニって一度は憧れますよね。これはまじで装丁がかなり豪華なので、誰もが納得する「積んでよし」。日本人研究家の森下さんが提供した史料も掲載されています。ちょっとお高めなんですが、絶版になるよな、って思って。
ユージン・バーガー マジックコレクション
前から気になっていたのですが日本語版のためにトリックはセレクトされた、ということや、特別原稿がある、という話を聞きまして。東京堂出版のおかげで、手品をはじめられたといって過言ではないので東京堂出版に対するお布施の意味も込めて。表紙のバーガーがおどろおどろしいので、積んでよし。
クリス・ケナー エキセントリックマジック
同上。原著のオリジナルは読んでいたのですが、MME版という新版は持っておらず、そこが邦訳されたと聞いて。さすがに原著に忠実に上下逆印刷、というところまでの装丁にはなっていなかった(涙)
Bottle by Mickael Chatelain
これは本ではないんですがご紹介。(厳密には積んでいないのですが。)
コルク栓で密封された瓶の中に、コインが貫通して入る。非常にクリーン。これは買ってよかったです。かなりギミックの出来が良い。練習していて楽しい。
基本、積んでよしの本ばっかりなので、セーフ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?