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【Genii 2024.2.】日本人マジシャンが世界的手品雑誌の表紙に!ポン太 the Smithさん:Genii 2024 Feb.を読んで

1936年から続くアメリカの手品雑誌 Genii Magazineですが、2024年2月号は日本人マジシャンが表紙&カバーストーリーでした!
現在は大阪拠点にImpossible Companyという会社でマジックに取り組んでいらっしゃる、ポン太 the スミス(Ponta the Smith)さんです。

Genii Magazineの編集長であるRichard Kaufman氏は、親日家であることもあり、これまでも何度か日本人マジシャンが表紙を飾っています。雑誌以外も彼が担当した本では、日本人マジシャンのみの作品を扱った本("Japan Ingenious"や"Five Times Five"など)やテンヨーに関する本(Tenyoism)などもあります。Kaufman氏のおかげで、日本人マジシャンの情報が英語圏にしっかり届いていた、と言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、直近でGeniiの表紙を飾った日本人マジシャンはこんな感じです。(敬称略)

和田 祐治 (2020 Jan.)
小野坂 東 (2019 Jul.)
ふじい あきら (2017 Jun.)
菅原 茂 (2014 May.)
澤 浩 (2014 Feb.)
前田 知洋(2008 Oct.&2003 Jul.)
ナポレオンズ (1997 Sep.)

Genii Magazine

ポン太 the Smithさんのインタビュー

このnoteを読むような方のほとんどはご存知かもしれませんが、ポン太 the スミスさんはコインマジックで世界的に有名になった方です。
2009年にマジックショップ「フレンチドロップ」より発売されたコインマジックDVD “Sick”で世界を席巻しました。いや、自分も当時、演技映像や予告編が出た段階で何度も何度も再生しました。衝撃でした。

仕掛けのないコインでのトリック。自分の目が信じられませんでした。仕掛けあるやろ、くらいに思ってましたし。実際にDVDを購入して見てみると、まぁこれが難しい(笑)そういった点でも、当時大学生だった私は練習に力を入れるきっかけにもなった作品です。
加えて、見せ方そのものが当時からすると革新的でした。顔を映さず手元のみの画角、演技も解説も言葉なし。短尺動画全盛期の現在からすると当たり前かもしれませんが、当時はやはりこのような見せ方をしている人がいなかったことも、一つ大きな衝撃でした。

そんな個人的に思い入れのある作品を出されたポン太 the SmithさんのKaufman氏によるインタビューがGenii 2月号には掲載されています。

内容はマジックをやりはじめたきっかけにはじまり、影響を受けたマジシャンについてなど。特別なコラムも2点と作品解説が1つ(Pop Tenkai Pennies)が掲載されています。

あまり大きな声では言えませんが、コラムに関しては我々日本人はラッキーで、Impossible Companyのブログに掲載されているものがベースとなっていて(というかほぼ同内容かと)、日本語で読めます。是非。

作品面でしか知らなかったポン太 the Smithさんの知られざる一面や、あのスタイルが出来上がるに至る上で影響を受けたマジシャンの名前なども挙がっていて、非常に読んでいて面白いインタビューでした。ぜひ興味ある方はImpossible Companyから購入するかGenii購読をおすすめします。

その他のコラムも面白い

John Bannon "Dealing With It"

Genii誌は色々な記事が掲載されていますが、今回はシカゴのマジシャン John Bannon氏のコラム、というか、作品解説が面白かったです。いわゆる、"Spectator Cut to the Aces"トリックをベースとして、ちょっとモンテ風の演出を加えた作品"Smack Monte"です。ほぼ、セルフワーキングといって過言ではないでしょう。Marloの友人のBob Veeserのとあるムーブ(といってもその人のムーブだと私はこのコラムを読んで初めて知りましたが笑)が出てくるのですが、それが非常に巧妙で、「これに騙されるのか!」と人間の認知のショボさを味わえます。

なおこれは、Bannonによる作品ではなく、Allan Ackerman氏に教えてもらったトリックだそうです。(Allan Ackermanといえば"All In"が発売されましたが、勿論購入して、積んでいます)Ackerman氏本人も、このトリックは5人のマジシャンによって進化してきたものだ、と言っています。なので5人の名前が挙げられています。

Jamy Ian Swiss "Magicana"

ニューヨークを拠点に活動する若手マジシャン Alex Boyce氏による"Coin in Bottle"をJamy Ian Swiss氏が解説しています。Magicanaコラムは毎回結構なボリュームですが、今回は気合を入れた解説であるように感じました。たぶん、Swiss氏自身がBoyce氏を子どもの頃から知っているからではないか、と推測しています(笑)
ですが、このCoin in Bottle、とてもよかったです。そもそもこのトリックはクロースアップ向けと思っていたのですが、大胆な動作を入れることによる、彼はサロンサイズで演じて現象を強化することに成功しているように見受けられました。

ちなみに、Boyce氏はニューヨークの"Speakeasy Magick"というマジックショーなどに出演しています。(イマーシブ演劇の金字塔"Sleep No More”の兄弟分的な立ち位置らしい。関係性はよくわかりません。)

ウェブサイト見ても、ニューヨークのマジシャンらしく、洗練されてますねぇ。

Podcastでも話してるよ!

noteの方は大分更新が遅くなりましたが、Podcastは毎週定期的にアップされており、そちらでもGeniiの感想を話しています。是非に。


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