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学校現場で、性暴力をいかに防ぐか

けい先生です。ここでは、主に学校現場の教職員に向けて書いていますが、どの職業についても当てはまる部分があると思います。

まず、二つの点を確認したいと思います。

  • どの学校現場でも性加害は起こりうる

  • だが、適切な対処をすれば、性加害は学校現場で防ぐことができる

「潜在的加害者」であるとの自己認識が必要

「自分は加害者になるはずがない」

この認識は捨ててください。

教師すべてが、加害者であると決めつけているのではありません。自分が「潜在的加害者」であり、何かのきっかけに子どもたちを傷つけるかもしれない、と思っていた方が、ずっとベターだということです。

自分は正しいと思っている教師は、無自覚に子どもたちの人格を踏みにじります。

「二人きり」は加害リスクである

加害者は子どもと二人きりになる機会を探すことが分かっています。

昨今の教職員は、児童生徒と密室で二人きりの状態にならないように指導されています。ですから個人面談などの場合も、個室では常にドアを開けるなどを通常であれば行っています。ほとんどの教師はこうしたことを理解して教育活動を行っています。

しかし、これだけでは完全に加害を防ぐには不十分です。

・教職員へのルールの徹底
・子どもたちが自分の身体を大切にするよう導く教育

教職員は、性加害は絶対に許されないという前提条件で働いています。事実、ほとんどの教職員は高い倫理観をもって仕事をしています。しかし、その反面、基礎的な性教育(互いの心身を尊重する教育という意味での)を教師自身が体系的に受ける機会はほとんどありません

改めて、学校内でのルールを徹底し、規定違反には厳しく対処する必要があります。一方で、罰則を提示するだけではなく、生徒の心身を傷つけることのないよう教師自身が改めて学び直す機会は必要です。

また、生徒自身が自分の体や心を大切にするような教育が必要です。子ども自身が、大人と「二人きり」になることに違和感を持つようになれば、そうした環境を自分で避けることもできるようになります。

どの学校現場でも性加害は起こりうる

この認識が共有されることが重要です。自分たちの組織に間違いはありえないという視点からは、リスク管理は不可能です。

どこでも加害は起こりうるという危機管理意識があることで、私たちの視点は変わります。校内の目が届きにくい場所はどこか、生徒の様子に問題はないか。こうしたことが組織として見えてくるようになります。

そしてこの認識は、保護者自身も持っていただきたいところです。ただ、学校への基本的な信頼感は失わないでほしいのです。生徒、保護者、教職員の信頼関係で、教育は成り立ちます。相互不信からはお互いの不幸しか生まれません

私が保護者の方にお願いしたいのは、お子さんの様子をよく見ていただきたい、それだけです。子どもからの訴えがなくても、何らかの加害が起きている可能性はあります。そして大人には、子どもからのサインを見逃さないことが求められます。体の症状(おなかが痛い、などの訴え)、精神的な不調などを注意して観察してください。

子どもの声に耳を傾ける

子どもの話をよく聴いてください。
・決めつけない「こんなことはなかった?」
・心理的安全性を確保する「言いたくないことは話さなくてもいいよ」
被害を報告しても何も悪いことが起こらないことを、普段から強調して伝えておくことがポイントです。

外部の窓口に相談する

たとえ、性加害でなかったとしても、子どもの悩みには、早期に適切な対処することが必要です。何らかの事情がある場合は、学校以外の相談先があることを、子ども・保護者の双方に周知徹底することが重要です。

最後に 

個々の教職員や保護者が自力で被害・加害の基礎知識を得ることは難しいです。ましてや子どもたち自身に自己責任を負わせることは論外です。

専門機関から講師を招いて、教職員全員が基礎的な知識を共有することが必要です。また、子どもたちが自身の心身を大切にするための教育も求められます。

子どもたちが安心して学べる環境は、学校全体で取り組むことで実現されます。そして生徒も保護者も巻き込んで被害、加害についての学びを深めることが、最大の抑止になると思われます。


けい先生は、今後も無料で記事を公開し続けます。