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増田寬也「『人口ビジョン2100』 8000万人国家を目指す」を読む

けい先生です。

NHK「視点・論点」はテキストとしても公開されており、定期的にチェックしています。2024年1月29日に、政府の人口戦略会議副議長の増田寬也さんが、日本の人口減少問題に対する解説、提言をされています。「日本は今、瀬戸際にあります」から始まる、危機感をひしひし感じるレポートです。ぜひ元記事をご覧ください。

記事のポイント

  • 定常化戦略と強靭化戦略:人口減少のスピードを緩和し、安定させる定常化戦略と、多様性に富んだ成長力のある社会を構築する強靭化戦略の二つが大事。

  • 外国人政策:補充移民政策はとらず、高度または専門的な人材を中心に受け入れる方針。

  • 国家ビジョン:人口問題について総合的、長期的に議論する場を設け、国民的議論を促すことを求める。

真に国民の声が反映されるように

「国難」とも言える人口減少の問題に対しては、政府が人口戦略の立案・遂行を統括する司令塔の役割を担う体制を整備するとともに、立法府においても党派を超えて取り組んでいくことが重要となります。国会において超党派で本格的に議論することを強く期待します。

また、人口問題を総合的、長期的に議論する場が現在、存在しないという問題があります。長らく人口問題を審議する役割を担ってきた内閣の人口問題審議会は2000年に廃止されました。

今こそ、人口減少という未曽有の事態に対して、総合的、長期的な視点から議論を行い、国民全体で意識を共有し、官民あげて解決に取り組むための「国家ビジョン」を、政府は策定する必要があるのではないでしょうか。本提言を岸田総理に提出した際、総理からは「本提言をしっかりと受け止める。国民が意識を共有し、社会の意識改革を進めることは重要であり、官民連携で取り組んでいきたい」との話がありました。

今後、人口問題についての国民的議論が幅広く行われるよう、本提言が、その一つの素材となることを、心から願っております。

元記事より引用。太字強調けい先生

私は、県議会レベルですが、傍聴によく行きます。様々な会議では、有識者、経営者の方々はよく見かけるのですが、一般の市民が発言の機会を持つことはあまりありません。県民・市民向けの説明会が年に数回ある程度です。

「国難」であるならば、国民一人ひとりの声をいかに反映するかを真剣に考える必要があります。政権与党の考え方のみが優先されるようになってはなりません。

「請願」という方法がある

話はちょっと横道に逸れます。国民の声を反映させる方法にどのようなものがあるでしょうか。選挙以外に、直接意見を述べることは可能なのでしょうか。

地方自治体や国に国民が直接意見を届けることは、じつはとても簡単です

議会制民主主義の日本において、国民の意見を反映する方法は選挙だけではありません。請願権は憲法によって保障された基本的人権の一つです

請願は日本国内に在住していれば、誰でも、たった一人でも行うことができます(外国籍の方でも未成年でも!)。なお、同様の内容を繰り返し請願することもできます。次のリンクは衆議院の請願方法のページです。

これと同様に、地方自治体のホームページにも請願の方法を載せています。繰り返しますが、請願は基本的人権です。つまり、請願のハードルは、できるだけ低く設定されています。ただし、請願を行うには、議員がその請願を議会に紹介する必要があります。ちなみにその議員を紹介議員といいます。

署名も請願の一つの方法

みなさんは、署名をしたことがありますか。署名はおそらくも最も簡単な「請願権」行使の方法です。請願をするには、都道府県・市町村・国会議員が紹介議員になる必要がありますが、団体を介して行うことで、紹介議員を見つける作業を肩代わりしてもらうことができます。

ただ、心配な方もいらっしゃると思います。「署名は住所や名前を書くけど、自治体や国に知られたらまずいんじゃないか?」

第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

日本国憲法第16条

署名に記入する個人情報は、署名としての必要条件であるためで、自治体において厳格に保護されます。また、取り扱い団体も、提出以外に使うことはできません。もし、あなたの請願が不当に扱われれば、大問題です

まとめ

後半、話が横道に逸れてしまいました。ですが、国民が声を上げる方法について基本的なところを私自身、確認したかったために書きました。蛇足ついでに、請願と似たものに「陳情」があります。これは、紹介議員を必要とせず、公共の機関に意見を述べることができる方法です。

人口問題について、大きな問題は近いうちにやってきます。地方では、子どもの数が今後10年間で3~4割減少します。学校などは何もしなければ、「教員余り」になります。どれだけの先生がこれを認識しているでしょうか。公務員が肩をポンと叩かれて「辞めてもらえませんか?」と言われる未来は、すぐそこに来ています。


けい先生は、これからも無料で記事を公開し続けます。