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観点別評価、教育DXにどう向き合うか?

2022年度に高校で「観点別学習状況の評価」が始まり、3年目に入ります。現場では、3観点評価の煩雑さが教師の多忙化の原因になっていることや、評価方法の正当性への疑問過度な競争につながっている可能性などが報告されています。主体性といった人間性までもが評価の対象とされ、子どもたちをさらなる競争に追い込み、その後の人生まで左右しかねない「評価」には、正直言って疑問を感じます。各学校現場での民主的な議論と工夫が重要です。

現在、国が主導している「教育DX」は、学習指導要領を前提にしつつ、デジタル・データを軸に学習と教育のあり方を根本的に変えようとするものです。その意味を、真剣に研究すべき時期に来ています。タブレット端末を使わせればいいわけではないことに、教師も生徒も気づき始めています

もちろん、学校におけるデジタル環境の整備自体は、新たな教育方法や教育機会の拡大を実現し、子どもの学ぶ権利の保障に資する可能性があります。しかし、現在の動向は「個別最適化」の考え方に見られるように、デジタル・データの「利活用」によって個人を選別し、国が定める「資質・能力」を、各生徒に応じて効率的に育成することを目指しているようです。さらに、タブレット端末を用いたデジタル既成教材への依存は、新たな学びの画一化や子どもと教職員の人間的な関係の希薄化など、子どもの学ぶ権利の保障に反するものになりかねません。

不登校問題に代表されるように、子どもたちの心の問題は深刻です。学校現場に現在求められているのは、子どもを目標設定、競争、評価に追い立てるのをやめること。そして、子どもの個性や個々の必要性に応えられる余裕と自由を、私たち教職員が取り戻すことです。これは、現場の工夫でどうにかなる段階をとっくに超えています。子どもの個性や教職員の専門性が十分に発揮されるための条件整備を、教育行政に求めていくことが必要です。


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