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ナイジェリア国鉄旅 番外編

隠された真実

旅が終わって知ったことだが、4月19日ラゴス発の私の列車の出発が4時間遅れたことは、先行車両の脱線事故が原因だったのだ。その列車の除去に時間がかかり4時間遅れたと後で知って😱となった。

そして私の乗った列車の翌週の列車でまた事故が起こった。新聞記事によれば牛の大群が線路にいて、そこに列車が突っ込み、先頭車両から5両目までが豪快に横倒しになったのである。Twitterに上がった写真を見て😱となった。私の乗っていたまさにその一等車両も豪快に横転している。一方新聞記事によれば、この事故で死んだ牛の数は記載されているのだが、肝心の人間の死傷者について全く触れられておらず、人命より牛命の方が価値があるらしい。(ナイジェリア国鉄が死んだ牛の数しか発表しなかった)

横転2

食堂車は前から4両目だ。旅の途中で親しくなった食堂車のお姉ちゃんが心配になり、すぐに彼女に電話をしてみた。電話口の彼女は苦しそうにうめいていた。彼女によればこうだ。事故があったのは2日前、食堂車で働いていた彼女は突然の大きな揺れに投げ出され腹部を強打、横転した列車の窓から必死で脱出したという。私の乗っていた一等車両は被害が大きく骨折、出血した乗客が多数いたらしい。運悪く事故のあった場所は都市と都市の間の何もない場所で、6時間後にきた救出隊は、出血など外傷のひどい乗客だけを病院に搬送し、残った乗客に対しては病院どころか、近くの街までの搬送すらなかったという。すなわち「置き去り」。彼女は腹部の痛みを訴えたが、血が出ていないので病院には連れて行ってもらえなかったとのこと。
彼女は手持ち金が1000円くらいしかなかったので事故現場から最も近い街まで移動したら残りは数百円。そのお金も昨日食費で使ってしまい、今はお金がなく、2日前から野宿で昨日から何も食べていないという。親戚に連絡してお金を送ってくれるようお願いしているが、「お金が集まらない」とまだ届かず動けないというので、いてもたってもいられなくなり、会社を飛び出して銀行に駆け込んだ。とりあえずの食費とラゴスまで長距離バス交通費、病院の診察代として20000ナイラ(約7000円)を送ってあげた。 30分後に彼女はお金を受け取ることができ、その日のバスで翌日にラゴスに帰ってきた。腹部の痛みも治まってきたとのことでこちらも一安心。

しかしナイジェリア国鉄、Fack You🖕である。
彼女は10年間も食堂車で働いてきた職員なのだ。
ラゴスで3日間ほど休養を取った後、またカノ行きの食堂車に戻って行った。

その後私はネット検索でナイジェリア国鉄の事故記事を検索してみた。出るわ出るわ、私の乗った2ヶ月前(2019年2月)の横転事故で死傷者多数😱 5ヶ月前(2018年11月)の横転事故で死傷者多数😱 2〜3ヶ月毎に列車は転がり死人が出ている。どうりで転がった放置車両をよく見たわけだ。知らぬが仏とはよく言ったもんだ。いつもながら自分の悪運の強さに感謝している。けどこの国鉄にはもう決して乗ろうとは思わない。

今彼女はどうしているのかな?

紙切れに書いてあった彼女の連絡先を携帯のメモリに入れずに失ってしまったことを悔やんでいる。

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