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Ⅷ マジックショーのシナリオ構成 3 Step

 映画の中で⠀—「あのセリフと、後々のシーンが連動してたんだ!すごい!」という、よくできた構成に気付くことがありますよね?

 マジックでもまた、そういった優れた構成を作ることができます。

 それは、「1つのマジック」の中で演じることもできるし、もっと洗練された、「マジックショー全体」の演出で、観客を魅了することも可能です。

 そんな、1ランク上のマジックショーの『シナリオ構成法』をお伝えしていきます。



⒈『カード・イン・レモン』 バーでのマジックショー構成



 「マジックショーの構成」について解説するために、分かりやすい例として、「カード・イン・レモン」(観客の選んだカードがレモンから出てくる)を用います。

 次の3つのマジックを順に組み合わせて、バーのカウンターにて、「カード・イン・レモン」を演じていたことがあります。
 おしゃべりしながらのマジックで、全体で12分程度だったのではないかと思います。

ⅰ コインとシルクと「ワインボトル・プロダクション」
「チョップ・カップ」2つのレモン
「カード・イン・レモン」3人のカード当て


 ※ ここでは、1分以上ある個々のマジックを「3つ以上組み合わせたもの」を、「マジックショー」と呼ぶことにします。


ⅰ コインとシルクと「ワインボトル・プロダクション」


 ライターとフラッシュペーパーで、とともに、コインが出現する。

 コインが、シルクの中で、消えたり、出たり。

 再びコインが消えると … なんとワインボトルが出現!

ⅱ「チョップ・カップ」2つのレモン


 次にマジシャンは、カップとボールを取り出す。

 ボールは、カップの中か、ポケットか。を当てるゲーム。

 次に、明らかに、ボールをポケットにしまって … しかしなぜか、カップからはレモンが出現!

 観客の手の上で、続けてもうひとつのレモンが出現する!

 ここで、それとなくレモンをひとつ、選ばせる。(マジシャンズ・チョイス=フォース)

 1つのレモンを、観客の目の前・テーブルの上に置いておく。
 (または、2つのレモン両方に、同じセットをしておく。)

 ここで、「ふつうの(本物の)レモン」であることをチェックさせる。
 (このショーの最後にレモンの確認作業をもってくると、ショーのクライマックスへのリズム感が悪くなるため、ここで十分にチェックしてもらうのがいい。)

ⅲ「カード・イン・レモン」3人のカード当て


 3人の観客にカードを選ばせ、そのうち1人の選んだカード(♡9とする)のコーナーを千切り、それを持たせておく。

 3人分のカードをデックへ戻し、シャッフル。
 ハンカチを被せて、手元を隠してカードを当てていく、と言う。

 まず、観客2人のカードを当てる。

 最後、3人目、「♡9」を当てる … かと思ったら、ハンカチの中から、デックは消え、1本のナイフが出てくる。
 (チョップ・カップを演じない場合には、本来ここで、レモンが出てくる。)

 先ほど観客が選んで、テーブル上に置いておいたレモンをナイフで切ると、中からコーナーの千切れた、♡9が出てくる。

 観客に持たせておいたコーナーと、ピッタリと一致する。


⒉ ワンランク上のマジックショー構成 3 Step


 このような構成にすると、より「本物のマジック(マジシャン)を見た!」という印象を観客は持ってくれます。

 「事前に演じたマジックが、後のマジックに繋がる

 まるで、推理小説を体験しているような、ショー全体に意味のあるワンランク上の芸術を体験するからです。

「やられた!!」感が強い。

 このような、コンセプトのあるマジックショーを構成するための思考法が、次の3つになります。

最も強調したいマジックを決める
テーマに繋がるマジックを用意する
③ マジックを配置してショーを構成する


 これは、テーブル・ホッピングから、20分のホームパーティーのためのマジックショー、お誕生日をサプライズで祝う12分のショー、30分のサロンマジックショーの構成 … と、どのようなスケールにも応用可能な思考法です。

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