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Ⅲ マジックショー・ホッピングのための『リピート・デザイン』構築


 スターバックスは繰り返し、同じ「スターバックス・ラテ」を売り続けます。

 でも、新海誠監督が来年また、『君の名は。』をリリースする、ということはない。


 ビジネスは、「同じモノ」を売り続けるほどいいですが、アート的活動・クリエイションは、『同じコンセプト』としての「変化」を創り、届ける必要があります。*

 * アート:エンターテイメントやクリエイティブをここでは含める

 この前提を理解しないと、アートを起点とする表現者(アーティスト、マジシャン、音楽家、作家…)は、ビジネス・マーケティングの波に溺れてしまうでしょう。

 アイディアもモチベーションも、お金自信も。

 そんなことのないように —



0. アートとビジネスの「リピート」に対する発想の違い


 アートとビジネスの性質の違いにともなって、大きく違うのがやはり、「リピート」の概念です。

 リピートとは、一度買ってくれたお客様が、二度三度と再びあなたから購入してくれること。

 ビジネスやマーケティング、売上を考える際重要な部分です。


 「初めての喫茶店」に入るのと、「一度行ったことのあるカフェ」に入ること。
 「よく知らないミュージシャン」の音楽をダウンロードすることと、「以前アルバムを買ったミュージシャン」の新作を買うこと。

 基本的に「リピート」の方が買ってもらいやすく、売上を作りやすいんですね。
 (新規のお客様を追いかけるコスト(時間・手間)がないから、利益になりやすい!)


 「スタバラテ」なら、いつも同じ味であるほどいいのですから、繰り返し繰り返し、同じ手順で作って売ればいいのですが、映画館に行ったらいつも、『天気の子』しかやっていない … なんて、イヤですよね?

 そう、アートやクリエイティブの世界では、「変化」が必要なんです。

 しかも、お客様・観客の期待を裏切りつつも、満たす、という複雑で絶妙な。

 またビジネスの世界はわりと、「買った先」まで丸見え=説明が多いほどよかったりしますが、映画館に行く前に、新海誠監督作品の展開オチが、ほぼほぼ分かっているのって、ちょっといやですよね?

 アートやエンターテイメントには、気持ちのいいサプライズ感(分からない、伝えすぎない)が必要なんです。


 このあたりを理解せずに、マーケティングの法則にただアートをはめ込んでしまうと… 本来あったアートの生命力が死んで、みんな冷凍食品のような味わいになってしまうのです。

 僕自身はマジシャンとして、在学中よりキャリアをスタートしましたので、やっぱりこの「リピート」について悩まされてきました(しかも経営学部卒です)。

 アートの流儀や哲学を守りながら、できるだけそのままに仕事化・現金化させなければいけないってこと。

 論理(逆算)思考のみで生み出されるビジネスモデルというのは、結局どれもほとんど同じになってしまうはずです。答えに対する逆算によって得られる手順は、いくつかのパターンしかないから。


 『マジシャンのためのリピート・デザイン』

 その公式が、三日前、寝起きにスッと出てきたので、ご紹介しちゃいます。

 一流のクオリティー
を求めるマジシャンやアーティストの方はぜひご参考に!

 (マジシャン目線で解説していきますが、他業種のアーティストさんのご参考にもなると思いますので、内容を置き換えてお読みください!)

⒈ マジックショーのリピート・デザイン公式


 マジシャンのリピート・デザインを図でとらえると、↑このようになります。


 意味は…

◇ 緑丸が[ 全レパートリー(トリック数)]

◇ 一定期間内における[ 1マジックショー(いくつかのトリック)× リピート数 ]これが、全レパートリーと(理屈としては)イコールになる。

◇ 時間とともに新しいトリックが(思いつき)増えるため、[クリエイション]によって、緑丸[全レパートリー]は拡大しピンク丸へ。

◇したがって、リピートへの対応力[ 1マジックショー × リピート数 ]も拡大する。

クリエイション → 全レパートリー = 1マジックショー × リピート数(一定期間)

* 単純化のため、一度見せたトリックは同じ観客に二度見せない!マジックショーは1ジャンルしかない!もの(例えばクロースアップマジックショー30分のみ!)、一定期間に全力を出し切る!とします。

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