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【司法試験/予備試験】独学攻略法②~刑法を終えたら刑事訴訟法

「学ぶって、楽しすぎる。」-弁護士の岩瀬雄飛です。

本noteでは学ぶことの面白さや学習のノウハウ等を発信するとともに、自分が学んだことの記録を発信しています。

今日のテーマは「刑事訴訟法の勉強法(初学者)」。

前回noteでは、司法試験・予備試験合格を目指すために、まず刑法から始めることを提言した(前回noteは以下参照)。刑法の学習を終えたら、次は刑事訴訟法である。


①刑法の次に刑事訴訟法を学ぶべき理由


刑事訴訟法は刑法の次に取り組みやすい科目であると考える。

まず、同じ手続法である民事訴訟法と比べると、圧倒的に分量が少ない。例えば、手元にある版の『LEGAL QUEST』では約150頁刑事訴訟法の方が少ない。

また、民事訴訟法は抽象的であり学習が難しい一方(なお、民事訴訟法は司法試験科目の中でも最難関であり、私のお勧めする学習順序としても民事訴訟法は最後である。)、刑事訴訟法は具体的であるため、分かりやすい。

刑事訴訟法は大きく分けて「捜査」と「公判」の2つのパートに分けられる。

「捜査」は、ある逮捕、捜索、押収等が適法か違法かを検討するものである。(学習してみると感覚よりも許容される範囲が広いと感じるとは思われるが、)「やりすぎ」「これくらいなら許容範囲」といった感覚を持ち合わせていれば、あとはその感覚の裏付けとなる根拠を学び、その線引きを調整することだけで足りる。

「公判」は刑事裁判の進め方や証拠として使用することの可否について検討するものである。例えば、検察官は殺人罪として起訴したが、裁判官が傷害致死罪として判決できるか、違法な取り調べによって得た自白調書を証拠として採用できるか等である。捜査に比べるとなじみはないが、なんとなくイメージはしやすいように思われる。

なお、上記の例のように、刑法の知識が前提となっている部分もあるため、刑法の復習にもなる。このように関連する科目を続けて勉強することで、双方の科目の学習にシナジーを生むことも可能となる。

②刑事訴訟法を「何を使って」「どのように」「どの期間」勉強すべきか

何を使って

刑事訴訟法の学習の基本戦略も、刑法同様、「基本書を1章読む→その章の短答試験を解く→基本書を読み直す」である。

まず基本書を読む。私が使用していたのはロースクールが指定した『LEGAL QUEST 刑事訴訟法』(有斐閣)である。私のロースクールの刑事訴訟法の教授曰く、分かりやすさ、レベル、網羅性等を考慮すると少なくとも刑事訴訟法に関してはLEGAL QUEST以外は考えられないとのことであった(なお、その教授はLEGAL QUESTの著者ではない)。私も司法試験に合格するまで刑事訴訟法のテキストはこれだけを最後まで使用していた。


どのように

刑法同様、「①各章ごとに読んで、内容を理解する→②短答試験を解く→③基本書を読み直す」を章ごとに繰り返すことで確固たる知識をつけてほしい。以下は前回のnoteで記載した内容と重複するが、勉強法の根幹であるため再掲する(①については刑事訴訟法の学習用に若干調整している。)。

①について、まずは読んで、内容を理解することである。最初の序章は後回しにして、「捜査」の章から読むことをお勧めしたい。なお、『LEGAL QUEST 刑事訴訟法』は捜査がひとつの章で完結しているため、節ごとに「読む→解く→読み直す」を行うことになる。

②について、短答試験のテキストはどこの出版社のものを使用しても大差はない。自分はWセミナーのものを使用していたが、他の出版社のものでも問題ないし、肢別(選択肢ごとにバラバラにしてあり〇×を回答するもの)でもOKである。

③について、多くの学習者がここを飛ばしてしまうが、知識を定着するためには必要なプロセスである。①の段階と違うのは、②を経ているため、「どのような点が短答試験で問われるのか」に意識しつつ読むことができる点にある。

これは「カクテルパーティ効果」を利用した学習になる。飲み会等のうるさい場であっても、隣のテーブルで自分の名前が話題に出ると気づくことができる現象である。①では意識していなかった部分(できなかった部分)が、③では意識できるようになり、より試験にフィットした読み方ができるようになる。

どれくらい

1日目に①と②を行い、2日目に③を行うといった進め方、まずは1か月継続してほしい。刑事訴訟法の場合、前半の捜査よりも後半の公判の方が難しい。そのため、できれば捜査についてはサクサクと進めたいものである。

他方で、公判の伝聞法則等についてはこの段階でマスターする必要はない。司法試験で伝聞法則は毎年のように出題される最重要項目ではあるものの、合格者の中でも伝聞法則にあたるかあたらないかの判定が分かれることはままあり、刑事訴訟法でA判定(1,000位以内)をとった受験生であっても、完全に理解できていない人が少なくないと思われる。

③刑法と刑事訴訟法の違い

刑法は予備試験においても司法試験においても短答試験の出題があるが、刑事訴訟法は予備試験においては短答試験の出題があるが、司法試験においては短答試験の出題はない。そのため、予備試験経由ではなくロースクール経由で司法試験合格を目指す人にとっては、刑事訴訟法の短答試験の学習は不要である。

そのため、そのような受験生は、基本書を読んだ後、『事例演習教材刑事訴訟法』(法学教室Library)を使って、基本書で学習した知識が、どのような形で問われるのかを確認してみてほしい。アウトプットしてはじめて知識が定着する(これは「学習」)ため、短答試験がないからといって基本書だけ読むのは「ただの読書」になってしまいもったいない。


終わりに

刑法・刑事訴訟法が終われば司法試験の科目数だけでいえば、4分の1が終わったことになる。そう思えば司法試験・予備試験合格へ着実に近づいている実感が沸くだろう。

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