女王の闇#ルボン②【ウーリーと黒い獣たち】
ターリキィ国を救う勇者がウーリーであることに動揺したものの、彼の警護にシーホたちの名前が連なっているのを見て「あいつら、いつの間に」と、皮肉の笑みが浮かぶ。
シーホ、ゼリ、オネタはこのリケーンの国営工場の労働者。
つまり雇用主は女王であるアタクシということ。
リケーン国は、資源である水と火山灰土を利用し、第一次と二次産業でかなりの利益を得ている。
火山灰土で焼き上げた壺は、その芸術性も評価され、さまざまなルートを介して高値で取引されている。
そして、水も、単なる飲料水のみならず、特定の周波数を読み込ませた『波DO水』として、こちらも壺同様、国外へ広く輸出している。
…まあ、表向きの金の流れだけみれば、それほどに利益をあげているとは誰も気づかないだろうが。
その『波DO水』の工場で、シーホらは昼夜三交代で働いているのだが、正規雇用のくせに自分たちが何を作っているのかまったく理解しようとしない。
そのくせ、「給料が安い」だの「待遇がヒドい」「ピンはね」だのと文句ばかり言っている。
だが、不満を言うのは彼らだけではない。
リケーンの民たちは、愚痴・悪口・文句・不平・不満、朝から晩までネガティブなことばかり口にしている。
マウントの取り合いが挨拶で、自分が一番不幸だと自慢し合っているようにさえ聞こえる。
これほど民たちに不満を持たれながら、それでもこのリケーン国は潰れない。
ここに嫌気が差して出て行く者は確かに少なくはない。
だが、まるで産卵に帰って来る鮭のように、彼らはまた戻って来るのだ。
ネガティブなエネルギーが実は心地よいことを、民たちは本能的に知っているからだろう。
いっとき、明るくポジティブなエネルギーに憧れを抱いたとしても、なんだかんだ物質界においてポジティブで軽いノリばかりでは生活できないことがわかっているのだ。
リケーンはもともと闇(陰)の性質を持つ国だから、民の愚痴や不満は国のエネルギーとなる。
だからこの国は潰れない。
シーホたちが工場をブラックだのなんだのと不満を持っていて、こっそり副業をしていることなんざ、前々から承知のすけ。
すべて把握していた。
何なら、シーホが居酒屋で語る副業ネタが民たちの間でエンタメ的に面白がられ、人気を集めていることだって知っている。
そんなシーホらが、知らぬこととはいえ、我が息子ウーリーの警護に応募したとは愉快である。
幸せに暮らすアタクシたちの暮らしは、あの日訪ねて来たターリキィからの使者によってうち砕かれた。
ターリキィは夫アクーンのみならず、ウーリーまでアタクシから奪った。
ターリキィの企てによって奪われたことに気づいたとき、アタクシの中に黒くくすぶっていた何かが緋色の炎へと変わった。
「怒りと悲しみの奈落を知った今のあなたは、闇を支配するにふさわしい」
すべてはターリキィの企てであると気づき、愛する者を失って絶望に暮れるアタクシに、母は冷ややかに微笑んで王位の象徴であるインヨーを継承した。
アタクシはターリキィへの復讐を果たすことを誓い、国王に即位したアクーンの失脚を目論んだ。
アクーンは太陽の守護の元に生まれし存在。
つまり、そんな彼のエネルギーを奪うにはディセンションしかないと睨んだアタクシは早速、実行に移した。
ディセンションとはアクーンの高い波動を阻止し、彼本来の周波数を低下させることである。
鼠頸部になぜその兆しをみせたのか。
ムーラダーラの知識を持つターリキィの賢者シュミクトならそろそろ気づくはず…
ウーリーを失ったあの日、アタクシに七つの玉とnoteをくれた、あの妖精の謎もゴーショーの報告を急がせねば。
≪続く…のか?≫
ルボンのストーリー ↓
ウーリーが動き始めました ↓
ゴーショー!追って報告待つ!
アクーン王と、彼を連れ戻した賢者シュミクトの思惑 ↓
ルボンにウーリーの無事を知らせた謎の妖精 ↓
愉快なヒヤトラー ウーリーとどんなお仕事するのかな?↓
ディセンションに気づいてほしい賢者シュミクトに通知 ↓
ストーリーと相関図のカンペ記事 ↓
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