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補助記憶装置とは(HDD編)

おはようございます。またはこんにちは。もしくはこんばんわ。マゲっちSCと申します。6月になりましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか?地域によっては梅雨入りしているところ、まだ梅雨入りしていないところといろいろですが、そろそろ湿気も強まり暑さを感じる日も多くなってきましたね。

さて前回はメモリ(主記憶装置)についてお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?メモリの容量が多いことはコンピュータにとって良いことではあるのですが、使用目的とのさじ加減が必要であることがおわかりいただけたかと思います。今回は補助記憶装置ですが、補助記憶装置と言ってもたくさんあります。コンピュータに内蔵されているものから取り外して持ち運べるもの、DVDやブルーレイなども大きく言えば補助記憶装置といっていいでしょう。今回はHDD(ハードディスクドライブ)についてのお話です。

コンピュータに疎い方でもHDDは聴いたことがあるのではないでしょうか?ビデオレコーダーに搭載されていますね。以前はビデオデッキという言い方をしていて、VHSやベータというビデオテープに磁気信号として映像音声を記録していました。アナログ媒体であるビデオテープは映像や音声を記録すると画質や音質が劣化して記録されますが、当時はテレビ番組やカメラで撮ったものを記録できるということ自体がすごいことで、映像や音声の劣化に関しては誰も気にする人はいない状況でした(ごく稀にいる程度)。しかし今やスマホの内蔵カメラでも高精細な映像をほぼ劣化しない状態で記録することが可能になりました。ちなみにビデオテープに何度も何度も記録を繰り返すと磁気が弱くなり劣化をしていき、重ね撮りを行いすぎると見えるに耐えない状態になるのも懐かしい限りです。

しかし時代は進み、20年くらい前からはDVDに記録可能なビデオレコーダーが登場し始めました。そして、HDDとDVDが搭載されたビデオレコーダーが今では当たり前になっています。映像音声はほぼ放送されているものやカメラで記録したときと同じ状態を維持しつつ、重ね撮りをしても劣化しない状態になっています。

ではなぜ劣化しないのか?ということですが、単純に記録するデータがアナログ信号からデジタル信号に変わったからです。アナログ信号は何度も重ね撮りをすることで劣化していきますが、デジタルデータはそのようなことはありません。では、そもそもアナログとかデジタルとかってなんなのでしょう?ということですが、簡単に言うとデジタルとはコンピュータで扱えるデータ形式です。コンピュータで扱えないデータ形式はすべてアナログです。わかりやすいのがレコードと音楽CDですね。レコードプレイヤーには基本的にコンピュータの要素はありません(ボリューム調整はマイクロコンピュータ制御ですが)。レコードプレイヤーは針をレコード盤に押し付けることによって音を再生します。しかし、音楽CDではレーザーを照射してCDに入っている情報を検索したり、再生したりします。音楽の再生もレーザーで情報を読み取り、計算した結果をスピーカーに送って音楽を再生しています。

というわけで長くなりましたが、HDDについてお話していきます。まずは現在のHDDを取り巻く背景についてですが、基本的にはコンピュータ・ビデオレコーダーに多く搭載されています。今回はコンピュータに搭載されているHDDについてお話していきます。以前はPCにのみHDDは搭載されていたわけですが、現在ではゲーム機にも当たり前に搭載されています。初めてゲーム機にHDDが搭載されて有名になったのはPS2(プレイステーション2)でしょうか。デジタル信号を磁気信号に変換して磁気ディスクへ記録していきます。磁気で金属のディスクへデータを書き込んでいくため、主記憶装置であるメモリと比較するとHDDそのものが破壊されなければデータはずっと記録されたままです。メモリと比較するとデータの記録・読み出しは時間がかかりますが、データが消えないというのは大きいですね。

ではなぜ主記憶装置と補助記憶装置に分かれているのでしょうか?補助記憶装置があれば主記憶装置は必要ないのでは?と思われた方もいらっしゃるでしょう。そこで思い出していただきたいのが前回少しだけお話した、コンピュータの部品にはそれぞれ動作する速度がある。というお話です。コンピュータの部品にはそれぞれ動作速度があります。部品の構造上の問題で起きるものなのですが、現在までの知識で言えば、一番早く動作するのがCPUです。計算する内容がとんでもなくても、一瞬で計算して結果を出してくれます。ただ、計算をする速度が早くても計算結果を覚えていなければコンピュータとしての意味がありません。そこで計算結果を覚えておく、またはこれから計算する内容を事前に用意しておく場所としてメモリがあります。ざっくり説明するとCPUの次に早く動く部品がメモリであると思っていただいて大丈夫です。そしてその次に補助記憶装置と続くわけです。では仮に、主記憶装置がない状態でコンピュータを起動させるとどうなるのか?ということですが、これはかなりざっくりした解説になるので厳密には違います。ただこういうイメージになるんだと思っていただければと思います。ちなみにメモリがない状態でコンピュータを起動させることはできません。あくまでももしなかったらという視点で見てください。

まず電源を入れるとコンピュータの電源が入り、各パーツに電力が行き渡って起動します。次にCPUはHDDにアクセスし、OSを起動させるための信号(ブートストラップといいます)を見つけます。信号が見つかったらCPUで計算を行って結果をメインメモリへ転送し記憶します。しかしここでメモリがなかった場合どうするかと言うと、CPUは計算した結果をHDDへ送信します。HDD側では受け取った情報を一時的に記憶する場所を作り出し、そこへ記憶していきます。ただ、HDDに転送されたデータを受け取って記憶するには時間がかなりかかります。それにはHDDの構造が関係しているからです。HDDの構造はレコードプレイヤーと酷似していて、金属ディスクは常に回転しています(最近は必要なとき以外は止まってるものもあるようですが)。すでに何らかのデータが入ってる部分にはデータを記録したり記憶したりすることはできません。前回のメモリのときと同じく重ねてデータを覚えようとすると以前のデータが上書きされてしまうからです。上書きされて良いデータもあればそうではないデータもありますので、基本的にはユーザから上書き保存するという命令がない場合は上書きしないように記録・記憶を行います。そうすると回転してるディスクにアクセスして空いている場所(磁気がない場所)を探さなければなりません。またディスクは常に回転しています。タイミングによってはすぐ見つかる場合もあればなかなか見つからない場合もあります。そうするとCPUからデータが送られてきてもなかなかディスク上に展開することができず、結果が画面に表示されるまで相当な時間を費やしてしまいます。

例えば電源を入れてからパソコンのパスワードを入れる画面が表示されるまで5分以上かかったり、ワープロや表計算ソフトのデータを呼び出して画面に表示されるまで10分くらいかかったりするわけです。そんなに速度が遅いならわざわざ磁気ディスクを使うのではなくメモリのような半導体に記録すればいいのではないか?と思われた方もいらっしゃると思います。たしかにそのとおりで、最近ではSSDという半導体に記録することで速度を上げることが可能です。しかし、半導体は価格が高いのもまた事実で、用途によっては高すぎるコンピュータを買わされるという人もいるでしょう。インターネット閲覧・メールの送受信・動画視聴するだけでいいのでそこまで高性能なコンピュータはいらないという人でも、補助記憶装置が半導体であると言うだけで高い金額を支払わなければならなくなります。

以前は補助記憶装置で内蔵されているものといえばHDDしかなかったため、HDDの記憶容量も価格に反映されていました。今もそうではあるのですが、SSDが一般的になったため、記憶容量に対する単価がかなり安くなっており、大容量のHDDを搭載しても価格を抑えられるようになりました。今でもHDD搭載のコンピュータは広く売られていて、ゲームやビジネス目的でデータアクセスを早くしたいという人には向きませんが、安くコンピュータを入手したい方には人気です。HDDはアクセス速度は遅いけれども安くて手に入れやすいものという認識が今では一般的だと思います。大容量のデータを大量に記録しておけるという意味では非常に有用な装置であり、現在でもパソコンではデータの保管庫という意味合いで搭載されていたり、デジタルサービスを行っている企業でもデータベースの情報を保存する先としてHDDを使っているところが多いです。

しかしHDDは弱点も多いです。構造上の問題点といってもいいでしょう。まず衝撃に弱いです。最近のHDDは衝撃を与えても壊れにくいように作られていますが、衝撃を与えると金属ディスクに傷がつくことがあります。先ほどHDDの構造はレコードに酷似していると申し上げましたが、実際のレコードはレコード盤と針が接触しています。しかしHDDは厳密には金属ディスクと針にあたるヘッドと呼ばれる部品の間には目に見えない隙間が空いています。この隙間が何らかの障害が原因で埋まってしまい、金属ディスクに傷がつくことがあるのです。金属ディスクに傷がついてしまうともう記録を行うことができなくなります。なぜ金属ディスクとヘッドが接触してしまうのかということですが、これにはいくつか原因があり、隙間からホコリが侵入して、結果的に金属ディスクとヘッドの間に詰まってしまうとか、衝撃によってヘッドが金属ディスクに物理的に接触してしまったりとかですね。HDDの金属ディスクとヘッドの間の隙間はホコリよりも狭いので(目では見えないくらいの隙間なので)ホコリが侵入して金属ディスクに乗っかってしまうといずれどこかのタイミングでヘッドとぶつかってしまいます。また強い衝撃を与えると当然ながらあっさりと金属ディスクとヘッドがぶつかって傷がつきます。

それ以外にもディスクを回転させるためのモーターが内蔵されていますが、モーターが何らかの原因で壊れて止まってしまったら、もう金属ディスクは回転しないため、データの読み込みも書き込みもできなくなります。一応HDDが壊れる前兆現象として、HDD本体から「カッコンカッコン」というような異音がすることもありますが、何の脈絡もなく突然壊れることもあります。非常にデリケートな部品ですね。ですので最近ではHDDよりも衝撃に強いSSDを使用する製品が多くなってきています。SSDの中身は半導体でもあるのでデータの読み込み・書き込みもHDDより早いです。しかし半導体ということは記録容量に対する単価が高いため、コンピュータの価格としては高くなります。壊れやすくても安いコンピュータを選ぶか、それとも多少高くなってもいいから壊れにくい物を選ぶのか?このあたりで悩まれる方も多いでしょう。では次回はSSDについてお話させていただきます。今回のHDDと比較して、最適なものを選ぶためのお話ができればと思います。ちなみに2021年現在でどのくらいの補助記憶装置の容量があれば問題ないのかも合わせてお話いたしますので、ご興味がありましたらお立ち寄りください。それでは失礼いたします。

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