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ケークニエルー ~絶滅の危機からよみがえったハンガリー土着品種

ケークニエルーはマジャール語で“青い茎”の意味。実際にケークニエルーの葉柄が青みがかっているところからこの名前になったそうです。バラトン湖北側湖畔に広がる小さなワイン産地バダチョニで愛されたブドウ品種でした。バダチョニの土壌は火山性土壌で、独特の黒っぽい岩滓(火山噴出物の一種で、塊状で多孔質のもののうち暗色のもの)が特徴です。ブドウが熟するのが10月の初旬から中旬にかけてと遅い為、バダチョニに生息する動物からブドウを守らくてはなりません。

「紳士のブドウ」

ケークニエルーは地元の農家の人々には「紳士のブドウ」と呼ばれています。収穫量が少なく、実止まりが悪く栽培に手のかかるブドウです。通常ブドウは蜜蜂などに花粉を運んでもらう他家受粉ではありません。雌花と雄花があり花が開いた瞬間に花粉を飛ばして自家受粉しますが、このブドウには雌花しかない為、受粉にブダイ・ズールド(Budai zöld)やロザクー(Rozsakö) のような他のブドウを介する必要があります。昔はブダイ・ズールドが受粉に使われていましたが、今はロザクーが一般的に使われています。田舎の農家にこんなに手がかかって収穫の少ないブドウの栽培をして生活を支えることができないということで、この気まぐれなブドウ品種を栽培する余裕があるのは余裕のある紳士だけだろうと考えたようです。

ケークニエルーの歴史

ケークニエルーのワインは宮廷で消費され、第二次世界大戦中はブダペストの高級レストラン“グンデル”で提供されていました。また、1939年NYの世界EXPOに出展されました。戦後の計画経済では、この当てにならないケークニエルーの栽培は推奨されず、次第に収穫量の多いブドウに追いやられ絶滅の危機に瀕しました。1990年代にはケークニエルーを栽培するブドウ農家はほとんどなく、2㌶のブドウ畑でどうにか少量栽培してました。
ケークニエルーは何世紀にも渡りカルパチア盆地で栽培されていましたが、その収穫量の少なさと実止まりの悪さからイタリア、フリウリ・ベネチア・ジュリアーノのピコリットと関係があると考えられていました。2006年には別物とされました。ケークニエルーは謎の多いブドウ品種で、その起源をあまり知られていません。
最近になってようやく、特徴のあるワイン、土着品種のワインが注目されるようになった為、興味を持たれるようになり栽培面積46㌶にまで増えました。エチェク・ブダ、ザラ、クンシャーグでも一部栽培されていますが、バダチョニの火山性土壌がケークニエルーに合っているようです。2003年以降バダチョニ地方では毎年6月第一週にケークニエルーを祝っています。

ケークニエル―のワインの特徴

ケークニエルーの栽培は限られていますが、一度ケークニエルーのワインを飲むと、なぜ人気があり高価なワインなのか理解できると思います。ショムローのユファルクやトカイのフルミントは両方とも、火山性土壌由来のしまった、しっかりした酸味のある中性的なワインですが、ケークニエルーも高い酸度を持ち、土壌を反映しています。若い時はシンプルで淡い色、控えめな桃、シトラス、ミネラル、花の香りは飲みやすく、熟成が進むと本領を発揮します。数年瓶内熟成をさせるとスモーキーでナッツや蜂蜜の豊潤さが現れます。バダチョニのケークニエルーはその酸の強さ、ミネラル感、アルコール感から男性的と表現され長期熟成に向いています。
まだケークニエルーのワインははっきりしたスタイルを築いてはいませんが、ステンレスタンク或いはオーク樽で熟成させます。高い酸はレイト・ハーヴェストやアイスワインを造るのに最適です。今後、ケークニエルーを使った甘口ワインができるかもしれません。

ハンガリーではバラトン湖でとれる魚料理に合わせます。日本であれば魚介、サラダ、フレッシュなヤギのチーズなどと合います。古いビンテージが手に入れば熟成させた羊やヤギのチーズと合わせるとよいでしょう。

また香りが逃げないようにワインを注ぐボウル部分が大きいグラスをご使用になり10℃~12℃でお召し上がりになるとよいでしょう。

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ケークニエルー開花祭り

毎年6月第1週になるとバダチョニでは「ケークニエルー開花祭り」が開かれます。このイベントはブドウ栽培・醸造研究所、バルカン・ワイン協会、地方の政府組織が開催していますが、もともとは専門家向けの会合でワイン業界のトレンドや疑問点について話し合うものでしたが、最近では訪問客用にゲーム、コンサート、ワイナリーツアー、テースティングなどのイベントも企画されています。

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↑ブドウの聖別の儀式

バダチョニでキラーイ・フェレンツ博士がブダイ・ズールドとケークニエルーを交配させて派生したハイブリッド品種で1957年に登録されています。バダチョニとバラトン・フェルヴィデークで栽培されています。ロザクーはバダチョニの名所の一つの名前で、高名詩人キスファルディ・サンドールと、美しく、聡明な女性で詩人サンドールの「永遠の恋人」妻のセゲディ・ローザはバダチョニ過ごす時間が長く、ローザのお気に入りの場所はバラトン湖を見下ろすことができる丘にある平らな石でした。二人はそこに座ってバラトン湖の美しい景色を楽しんだそうです。この平らな石が彼女の名前にちなんでロザクー(ローズ・ストーン)と呼ばれ、この名前がブドウの名前になりました。
ロザクーは果汁が多く果皮の厚い酸味の強いブドウです。ロザクーからは心地よいフローラルやピーチの香りと味わいがあり、土壌からくるミネラル感のあるしっかりした酸味の白ワインができます。ステンレスタンクで豊かな果実味を残した爽やかなワイン、木樽を使った熟成感のあるワインでも造ることができます。酸味があるのでレイト・ハーヴェストやアイスワインを造るのにも適しています。

ロザクー:バダチョニでキラーイ・フェレンツ博士がブダイ・ズールドとケークニエルーを交配させて派生したハイブリッド品種で1957年に登録されています。バダチョニとバラトン・フェルヴィデークで栽培されています。ロザクーはバダチョニの名所の一つの名前で、高名詩人キスファルディ・サンドールと、美しく、聡明な女性で詩人サンドールの「永遠の恋人」妻のセゲディ・ローザはバダチョニ過ごす時間が長く、ローザのお気に入りの場所はバラトン湖を見下ろすことができる丘にある平らな石でした。二人はそこに座ってバラトン湖の美しい景色を楽しんだそうです。この平らな石が彼女の名前にちなんでロザクー(ローズ・ストーン)と呼ばれ、この名前がブドウの名前になりました。
ロザクーは果汁が多く果皮の厚い酸味の強いブドウです。ロザクーからは心地よいフローラルやピーチの香りと味わいがあり、土壌からくるミネラル感のあるしっかりした酸味の白ワインができます。ステンレスタンクで豊かな果実味を残した爽やかなワイン、木樽を使った熟成感のあるワインでも造ることができます。酸味があるのでレイト・ハーヴェストやアイスワインを造るのにも適しています。


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