見出し画像

『ざ・総括。』ボルボEX30

オススメ度 評価せず(参考★★★☆☆)

こんなはずじゃないのに…

ボルボの親会社である中国の吉利集団が開発したBEV(バッテリー電気自動車)プラットフォーム「SEA2」を使い、中国で生産されているボルボEX30。いずれベルギーでも製造される予定だが、現在は中国製のみが販売されている。同じプラットフォームからはスマート「#3」や吉利の高級ブランドZeekr(ジーカー)の「007」も製造される。いまや吉利はボルボ、ロータス、プロトン(マレーシア)などを傘下に持ち、ダイムラーベンツの筆頭株主でもあり、このプラットフォームの設計はオープンソース化されている。
 
【評価(★)の見かた】
★☆☆☆☆=まったく買うに値しない
★★☆☆☆=ちょっと考えたほうがいい
★★★☆☆=一応オススメできる標準作
★★★★☆=積極的に買いの秀作
★★★★★=買わなきゃ損する超逸品

<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通
 

着座姿勢がいまいち

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 中国製のボルボBEVだ。設計・開発は吉利汽車が資金提供し、中国、スウェーデン、イギリス、ドイツの各開発センターが行った。BEV専用のSEAプラットフォームには現在5つのバリエーションがある。このEX30はホイールベース2650〜2900㎜のモデルを想定したSEA2を使う。VCJ(ボルボ・カー・ジャパン)は「思い切った値付けにした」と言っているが、中国の製造コストを考えると車両価格559万円は安いとは思えないのだが、皆さんの試乗の感想を聞きたい。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 皆さんに乗ってもらったのは、某サプライヤーが輸入した右ハンドル仕様でRWD(後輪駆動)モデルだ。電池容量は69kWhで、電池パック重量はVCJの発表で390㎏。ウチが輸入したのではなく仲間の同業が輸入した。詳細は分からないが、今春から受注が始まったイギリス向けだそうだ。日本では車両価格559万円。イギリスでの値段を計算したら、日本仕様とほぼ同じ装備で約3万9300ポンド、1ポンド=200円で計算して786万円だから、日本仕様の値付けはたしかに安い。ドイツでの値段は約4万2000ユーロ。1ユーロ=168円で計算して706万円。
エ お〜、日本仕様は本当に安かったんだ!
チ そうだよ。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) ベルギーのゲントでも近々生産が始まるそうですが、ここではボルボ以外のブランドに向けた同じSEA2プラットフォーム採用モデルも生産されるという噂です。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) たしかに見た目には安っぽさは感じない。内装も「環境に配慮した素材です」と言われれば、「ああそうですか」と納得できるレベルだ。質素ではなく華美でもないあたりはボルボらしいセンスだ。
自動車業界の事情通(以下=通) ただ、どうも個人的には「欲しい」とは思えないモデルなんだよね。まずパッケージングで気になるのは助手席のフロア高だ。床下に電池パックを敷き詰めているが、運転席はペダルまわりのトーボードを凹ませてあって、着座姿勢は普通。しかし助手席だと床が高い。いわゆる「体育座り」に近い。

ここから先は

8,194字 / 1画像

¥ 300

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?