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『ざ・総括。』ポルシェ718ボクスター 他

オススメ度 評価せず(参考★★★☆☆)

2000万円の幸福度とは?

911カレラT、ボクスター・スタイルエディション、カイエンSと3台のポルシェに乗った。前号で試乗したタイカンはBEV(バッテリー電気自動車)だったが、今回はICE(内燃機関)搭載車だ。RR(リアエンジン・リアドライブ)の356で始まったポルシェは、いまやSUVのカイエンやセダン的なパナメーラを持つ。北米でのセールスを考えれば自然な成り行きでもあるが、本誌評価陣は「だれでも乗れるクルマばかりになった」「ポルシェにお金を払う意味が変わった」と語る。これもたしかに時代の流れである。
 
【評価(★)の見かた】
★☆☆☆☆=まったく買うに値しない
★★☆☆☆=ちょっと考えたほうがいい
★★★☆☆=一応オススメできる標準作
★★★★☆=積極的に買いの秀作
★★★★★=買わなきゃ損する超逸品

<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通

「スポーティ」の意味

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 前号ではポルシェ初のBEVとしてデビューしたタイカンを取り上げた。今回はICV(インターナル・コンバッション・ビークル=内燃機関搭載車)3台に乗ってもらった。それぞれキャラクターが異なるが、まずは911から語ってもらおう。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) みなさんに乗ってもらったのは911カレラTの7MT仕様。コードネーム992の2人乗りだ。後部座席はない。うちのお客さんのクルマで、完全にノーマルの状態だ。車両価格は1770万円くらい。オプション込みでほぼ2000万円だ。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) それにしては「街乗り乗用車的」的な味だ。走行距離がまだ2000㎞だからなのか、足が十分に動かない印象だ。3ℓ水平対向6気筒ターボはかなりマイルドに仕立ててある。急にスロットルを開けても安全というか、加速の時間軸を少し伸ばしたようなトルクの出方だ。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) 車両価格が911カレラより100万円以上高いのは、この少量生産MTのせいでしょうか。ICEのスペックは最高出力385ps/6500rpm、最大トルク450Nm/1950〜5000rpmで911カレラと同じです。過給圧が低回転から立ち上がりますし、スロットル開度に対するトルクの増え方もリニアです。
自動車業界の事情通(以下=通) 何と言うのだろう。リズム感が悪い感じだ。それとMTはやはりセレクト(横方向の列)3列でいい。7速になると4列セレクトになる。

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