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『ざ・総括。』スズキ・スイフト

オススメ度 ★★★★☆

Bセグ日本代表になれる出来

5代目スイフトは2023年12月に発表された。2000年の初代デビューからすでに24年。いまだに日本国内向けにMTの設定がある国産Bセグメント車であり、今年5月からインドでの生産・販売も始まった。欧州向けはハンガリーでの生産が始まる予定だ。スズキにとってスイフトは世界戦略の要であり、本誌評価陣は「なかなかよくまとまっている」「国産の同クラスではいちばん出来がいい」と評価した。「もう少し電池容量を増やして電動モーターの出番を増やして欲しい」とは、評価陣のからの要望である。

<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通

パッケージングは上手い

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 5代目スイフトだ。このサイズのクルマが本来、日本には必要なのだが、スズキの商品も含めて軽自動車が主流だ。スイフトに乗ってみれば、軽との「造り」の違いはよくわかる。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 皆さんに乗ってもらったのはマイルドHEV(ハイブリッド電気自動車仕様)の上級グレードである「ハイブリッドMZ」のFF仕様だ。車両価格は約209万円。タイヤはブリヂストン・エコピアEP150という「低転がり」仕様で、指定内圧は前250、後ろ220kPaだった。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) たまたま私は5MT車に乗りました。おそらくMTそのものは先代あるいは先々代から部品を引き継いでいるのだろうと思います。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) オレはまだ仕事で乗っていないしまわりにMTを買ったひともいない。シフトフィールはどうだった?
部 昔ながらというか、クラッチがどこでつながったかは少々わかりにくく、縦方向の「シフト」の動きはぐにゃっとしています。横方向に列を選ぶ「セレクト」の感触はまあまあです。坂道発進ではヒルスタート機能を使えますし、クラッチペダルから足が離れるときにICE(内燃機関)の回転数を上げてエンストを防いでくれますから、実用上は問題ありません。まあ、MT仕様が必要かどうかという議論は別ですが。
自動車業界の事情通(以下=通) いまや日本市場でのMT比率は1%未満だ。A/Bセグメントだけだと4〜5%あるらしいが、軽の商用車も2ペダル化が進んでいる。ただし、オレもそうなのだが、歳を取ったらMT車に乗って運転中の緊張感を少し高めるべきかもしれない(笑)。無駄に燃料を使わないという点では、いまや制御されたATのほうが上だが、機械としての伝達効率ではどの方式のATよりもMTが優れている。

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