見出し画像

マーダーミステリー伝道師

画像1

2020年8月26日に、僕はこんなツイートをした。

前々からやりたい企画が📑あって、そのうち提案中🙏だった企画にGOが出た🏃‍♂️余りに嬉しくて声が漏れた❗️皆に見てもらいたいって👀素直な感情が芽生えてる🌱テレビの仕事は30年ぶ📺りだけど、このチャンスを🏹活かして伝説を作りたい💪

「テレビの仕事は30年ぶ📺り」不恰好な位置に絵文字が入っている。意図的だ。絵文字で改行すると次のようになる。​

前々からやりたい企画が📑
あって、そのうち提案中🙏
だった企画にGOが出た🏃‍♂️
余りに嬉しくて声が漏れた❗️
皆に見てもらいたいって👀
素直な感情が芽生えてる🌱
テレビの仕事は30年ぶ📺
りだけど、このチャンスを🏹
活かして伝説を作りたい💪

頭文字を拾うと「マーダーミステリー」という言葉が浮かび上がるという仕掛けだ。

2021年3月に僕の企画した番組がABC朝日放送(関西ローカル)で放送される予定だ。その名も『マーダー★ミステリー ~探偵・斑目瑞男の事件簿~(仮題)』。

ここに辿り着くまでに大変な苦労があったので、僕が「マーダーミステリー」に出会ってからのことをメモ程度に記しておく。

最初に経験した「マーダーミステリー」は、2019年春。東中野にあるボードゲームカフェ「ディアシュピール」でプレイした「王府百年」だった。Twitterで話題になっていたので、すぐさま連絡をして予約をした。界隈でも早目にプレイをしていた方だと思う。そのときは同行した犯人役の知人にまんまと騙された。完敗すると同時に、なんて面白いゲームなんだとワクワクした。このとき、「マーダーミステリー」は「リアル脱出ゲーム」「人狼ゲーム」に続くブームになる可能性を感じた。

国内最速で国内オリジナルの「マーダーミステリー」の作品として名乗って興行を打ったのは、恐らく知人のぺよん潤さんの「誰が勇者を殺したか」だと思われる(間違っていたらごめんなさい)。その最初のテストプレイと僕のマーダーミステリーの処女作品のテストプレイは同日同場所同メンバーで行われた(その時の僕の作品は結構面白いと思うのだが、まだ世に出ていない)。
ぺよん潤さんはすぐにマーダーミステリー専門店「シンジュクジンチ」を作り、その後、マーダーミステリー専門店は全国各地にも作られていった。今では何百という「マーダーミステリー」のオリジナル作品が生まれていて、人気の作家は全国に呼ばれるほど、ブームの兆しを見せている。

僕はというと、ニコ生「テーブルトークRPGチャンネル」で「マーダーミステリー」を取り上げて勉強していった。そこで僕にできることは何か?を考えていった。その答えのひとつは「マーダーミステリー」のテレビ番組を作ることだった。


僕は「アルティメット人狼」という国内最大規模の人狼コンテンツの主宰のひとりをやらせてもらっている。嬉しいことに「アルティメット人狼」を見て人狼ゲームを好きになりました、と言われることは多い。ただ、人狼ゲームを知ったきっかけは?と聞くと、2013年に放送されていたフジテレビ「人狼 嘘つきは誰だ?」や、TBS「ジンロリアン」と答える人が多かったのを覚えている。当時、2つの人狼番組の視聴率を合わせると10%を超えており、ざっくり1.000万人相当の視聴者が見ていることになる。地上波のテレビ番組は、やはり規模が違っていると感じていた。

それからテレビ関係者に「マーダーミステリー」の番組企画を持っていっても、面白がってくれるのは、新しいことにアンテナを張り巡らせている若いプロデューサーやディレクターまでで、最終的な決定権を持つ偉い人までに「マーダーミステリー」の面白さはなかなか伝わらず、番組をはじめるまでには、かなり険しい道のりになることを悟った。

僕が18歳の頃、テリー伊藤社長の番組制作会社ロコモーションで働かせてもらい、とてもよい経験をさせてもらった。毎週のように番組企画を提出していたおかげで、人気の放送作家たちが参加する企画会議に参加させてもらえたのだった。会議は毎回抱腹絶倒で、面白い企画をいくつも目の当たりにした。このことは、今の僕のもっと面白いことを考えることができるはずだという物差しになっている。そのときの先輩たちの面白い企画たちと比べても、遜色ないほどワクワクした企画にしたい。そのためには考えるしかない。

僕が好きなことは何だろう? そこにヒントがあるかもしれないと考えた。僕が好きなものひとつにプロレスや格闘技がある。女子プロレスの人気団体「スターダム」の団体ロゴは僕が作ったもので、アートディレクターを長らくやらせてもらったくらい筋金入りのプロレスファンだ。古くはアントニオ猪木vs.モハメドアリ、K-1グランプリの創成期のキックボクシングvs.空手といった異種格闘技戦には、とくに特別な思い入れがある。別々の才能を持った人間同士が、看板を背負って、ひとつのルールで本気で戦う真剣勝負にドキュメンタリー性を感じてワクワクするのだ。それからは自問自答の日々が続いた。「マーダーミステリー」で、異種格闘技で、真剣勝負のドキュメンタリー。僕はどういうものを作りたいのだろうか?

ひとつアイデアが浮かんだのは、漫才の頂点を決める「M-1グランプリ」を見返していたときだった。漫才そのものも面白いし、人生をかけた本気の勝負のドキュメンタリーとしても面白い。僕はこういう戦いが見たいのだった。もしも、「M-1グランプリ」の方法論を「マーダーミステリー」に置き換えてみたらどうなるのだろうか? 漫才師ではなく、戦うのは役者。漫才の代わりに、役者が本気で即興芝居で戦う「マーダーミステリー」。殺人事件のストーリーを演じながら、アドリブで真剣勝負。勝敗は審査員に「また見たい」と魅了させたかどうか? 役者版の「スター誕生」的な番組。この企画を頭で考えていったとき、自分自身でも見たいと思えたアイデアとなった。これまで音楽やアイドルのオーディション番組はあったが、役者をターゲットにしたオーディション番組で、これといったものの記憶はない。

作りたいのは真剣勝負のエンターテインメントだ。この番組から、ドラマや映画で活躍する次世代スターが生まれたらどれだけ気持ちいいか。視聴者をワクワクさせる番組が作れたらどれだけ気持ちいいことか。僕は「マーダーミステリー」の番組を実現するために、今日も楽しいことを妄想している。頼もしいスタッフたちとも、不思議なご縁で、次から次へとパーツが繋がっている。僕は、今、これを読んでくれている未来のスターと会えることを楽しみにしている。

2020年11月

マーダーミステリー伝道師 眞形隆之






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?