見出し画像

読書感想『ウェルテルタウンでやすらかに』※ネタバレ注意

今週読んだ本は西尾維新の新作、『ウェルテルタウンでやすらかに』でした。
7月26日に発売された新作であり、なんとも珍しく『自殺』が主題となった作品になりました。

この小説を読んでいて、「これは西尾維新の小説に対する思い」をなるべく直球に込めた作品なんじゃないかと思いました。

それゆえに他の西尾維新作品に比べて、少し直球な表現で『小説で人を救う』を描いたのかなとも思いますし、捻くれた雰囲気が抑えられているのかなと感じました。


最近は芸能人の自殺が連続したり、SNSで悪意や不安が視認しやすくなったこともあり、陰鬱な雰囲気が漂っていることへの西尾維新なりのアンサーだと思います。

これで人が救えるかどうかではなく、『小説という世界もあるんだよ』と語りかけるような、
(実際作中では音読していますし、今の時代読まなくても聞くという選択肢もありますし。)
「とりあえず小説読んでみない?」という小説家なりに生きる理由を作ろうという思い、自分自身も小説で救われ続けているという思いがこもっているんじゃないかと感じました。

この後者の思いは割と共感するところが多く、小説っていう趣味を楽しむものとして、小説というものが広げてくれる世界はその他多くの趣味に繋がる架け橋となってくれる部分も含めて凄まじい力があると思っています。


ただ、やっぱりなんだか慣れないことをしたなっていう印象はずっとありましたし、あとがきがないところも恥ずかしさみたいなところがあるんじゃないかなという邪推をするくらいには珍しい作品だったなぁと思いました。


というわけで今週読んだ本は『ウェルテルタウンでやすらかに』でした。
陰鬱な時代、そして他人の陰鬱さが見えてしまうという現代は本当に生きる際に目に入るものが多くて大変ですね。
そしてやはりそういう時こそ完全にアナログでその世界に入り込める『小説』という世界を自分ももっと楽しみたいですね。


追記、投稿したと思ってたらできてませんでした…
本来は8月11日にでるはずでした……


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?