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読書感想『怪人デスマーチの退転』※ネタバレ注意

今週読んだ本は著作西尾維新の『怪人デスマーチの退転』でした。
前作『怪盗フラヌールの巡回』に続いた返却怪盗シリーズ二作目であり、一作目の数か月後くらいの時系列のお話となります。

今シリーズの主人公、二代目怪盗フラヌールは父親を激しく憎んでおり、復讐半分、お艶のため九割で父親の盗んだものを次々返していこうとする話です。

前作では父親に対して『道足くん(怪盗フラヌール)は憎んでいる』、『弟の軍靴くん(怪人デスマーチ)は信奉している』、ということまでを盛大に紹介する巻であったと思っており、その他登場人物なども含めてやはり導入巻といった感じでしたが今作はかなり踏み込んだ話になりました。

今作は金箔本を中心に一つの家族の歪み方を見せつつ、それと関わりに行った父の思いや自分達家族について主人公に考えさせるお話になっていたと思います。

始まりは全て初代邊邉斉齊斎(渡邊と渡邉、斉藤と齊藤と斎藤から渡と藤を消す作業が辛い)のせいだとまとめてもいいと思うのですが、初代が奥さん(毒苺さん)を殺したところからすべてが狂い始めてしまい、二代目は自身の名を汚さないために、三代目を継ぐはずの子も同じ動機で親を殺すという極めて悲惨な事件へと連鎖してしまいます。

今作は家族の遺伝性とでもいうべきものが中心にあると思っており、『虐待されて育った子は、自身の子を虐待してしまう。』のような蛙の子は蛙的な話だったと思っています。

良くも悪くも同じ環境にいるということの大きさやその影響は、自身では気づき辛いものだと常日頃思うわけですが(良い面か悪い面かはさておいて)、道足くんは父親の思いを考えてもいないかったことを軍靴くんによって痛感するわけです。ようやく道足くんは家族を振り返るきっかけを得たのではないかと思いました。

個人的には道足くんが怒りでシャットアウトしてしまっている父親や兄弟、お艶の思いを考えれるようになっていってほしいと思う反面、家族の思いを察する難しさや家族だからこそ言いづらい事もあるよなぁと自身の事と重ねつつ難しさに頭を抱えたくなります。


というわけで今週読んだのは『怪人デスマーチの退転』でした。
この返却怪盗シリーズは次回が最後ということで、ふらのちゃんの不穏発言や名探偵との結末など気になる楽しみな部分を考えつつ待ちたいと思います。

来週はバイト先の人に借りた『ブギーポップは笑わない」を読みたいと思います。
西尾維新や奈須きのこが好きと言ってる自分に、京極夏彦やブギーポップシリーズを貸してくださるバ先の方には本当頭もあがりません。素晴らしい環境で生きてもらわせているんだなと実感し続ける日々です。

それでは最後まで読んでくださった方いらっしゃればありがとうございました。
著者Twitter:まがしき @esportsmagasiki

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