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日本は国連公認の貧困国に認定されたのか?

静岡県にある学習塾経営者の以下のツイートが先日(一部で)話題となったようだ。

ツイートに含まれている画像はFAO、国際連合食糧農業機関が公表したもので、
2019年から2021年までの3年間のPrevalence of Undernourishmentを各国の人口に対するパーセンテージによって着色した世界地図だった。
Prevalence of Undernourishmentは直訳すると栄養不足の有病率となるが、後述するようにカロリー不足率と言った方が適切である。その観点から言って画像を見ると日本人の2.5から4.9%はカロリー不足ということになる。

国連はもとより世界銀行やCIAは世界の貧困率を推計して発表している。例えばCIAのWorld Factbookを参照すると、世界の貧困率の平均は約30%、メキシコの貧困率は40%、日本の貧困率は16%でアメリカの貧困率は15%である。北朝鮮の貧困率は公表されていない、なぜならこれらの貧困率は各国の政府が推計したものをCIAが集めてきてまとめた物だからだ。北朝鮮は自国の貧困率を発表していない。

メキシコの4割の貧困層と日本の貧困層16%は同じような貧困度であろうか?直感的に納得し難いのではないかと思う。
貧困率は各国が独自に定めた貧困ラインを下回る生活をしている国民の割合だから日本とメキシコでは貧困ラインの定義が違う。

同じことがFAOの調査にも言える。最初の地図のデータはFAOSTATから参照できる。そこでDietary energy supply used in the estimation of prevalence of undernourishment(栄養不足と推計される食事エネルギー供給量)を調べてみる。
これは各国ごとに定められた1日に必要とされるカロリー量で、国ごとに異なるのだが、日本の場合2640 kcalである。これは厚生労働省が発表している男性18歳以上49歳以下の必要とする1日のカロリーとほぼ同等である。
つまりPrevalence of undernourishmentとは、日本の場合1日に2640 kcal以下のカロリーしか取っていない人口割合のことであった。2019-2021の3年平均Prevalence of undernourishmentを見ると日本は3.2%となっていて、地図の色と一致している。2640 kcal、私は多分取っていないのだが貧困なのだろうか?
参考までにアメリカのそれは3864 kcalである。白人とは体格が違うとはいえ毎日3900 kcal弱取っていないとアメリカ人はFAOに栄養不足とされてしまう。

このサイトを見ると身体活動が多い人の摂取カロリー目安が2400 kcal以上だから
厚生労働省と農林水産省では基準摂取量が違っている。過剰なカロリーは糖尿病などの成人病にもつながるわけで、日本人の場合健康のためにも2000 kcalくらいしか取っていないのではないか。


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