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長谷川淳「不完全燃焼」

100パーセント……とはおおよそ言い難い、しかしそれでも戦わねばならないという理不尽さを思い知ったのではないか。決して戦えないチームではないのだが、どうにも選手が揃わない。そういった苦しみを長谷川監督はこの3年で強く感じたことだろう。

これで3年連続出場となっている箱根駅伝だが、本来起用したかった選手を起用できなかったり額面通りのタイムを出してくれない……。こうした中で今回は様々な「計算外」があったようだった。

オーダーの時点でバタバタしてしまった

予選会日本人トップで走った木村暁仁くんが新型コロナウイルスにり患して欠場を余儀なくされ、日本人エース格の一人だった髙瀨桂くんも疲労骨折が判明し出場ができなかった。

また、代理で起用予定だった田島洸樹くんも直前でインフルエンザが判明し走れず。ほぼほぼ出るだけ、という状況の中でもなんとか往路は19位、復路では粟江倫太郎くんが6区で区間7位と奮闘するもその後は大崩れして鶴見中継所でタスキが途切れてしまった。

ここまで走ってほしい選手たちが悉く起用できない状況になると戦う以前の問題ではある。長谷川監督もその点を深く反省しているようで、故障に関してや体のケアの重要性を感じたと振り返る。

駒澤や青学のように選手層が厚いチームであれば話は別だが、エースクラスが万全でかつ区間上位で走ることを求められるチームでこの状況は致命的だ。長谷川監督も打つ手がなかったという状況だっただろう。

明確にあった「準備の差」

また、長谷川監督はレースを振り返りこのように語る。

主力はシードに向けて具体的に行動してくれたと思うが、3番手、4番手の選手にまで徹底できていたとは言い難い。体調やコンディションを崩しやすい選手も多かった。チーム内競争に勝つのももちろんだが、シードを睨んで動くことも必要。

https://www.joqr.co.jp/qr/article/77019/

確実に強くなってきているが、まだまだ準備という点ではシード権常連校とはかけ離れているということも課題として挙げられた。長らく箱根から遠ざかっていた部分もあり、大学側でもどうしていいのかがまだしっかりと定まっていない……というのもあるだろう。

しかし、今回駒澤大学は花尾恭輔くんを起用することができなかったし、佐藤圭汰くんを起用することもできなかった。青山学院大学も若林宏樹くんを起用できなかった。当然選手層という部分で上位に入ったが、上記2大学は補欠に回った選手であっても高い意識で準備をしていることだろう。

当然専修大学の学生たちがそうした準備を怠っていた、と批判したいわけではない。だが、そうした小さな意識の差が20位という結果とシードという結果に現れた可能性はあるし、そうした高い意識も参考になるはずだ(もちろんその上でも体調を崩す、ということはあるので断言はしたくない)。

だが、繰り返して伝えたい。専修大学は確実に強くなってきている。それは長谷川監督になってきてから着実にだ。だからこそ。来年は明確に「答え」を出さなければならない。

答えを出さねばならない理由

チームの中心選手でもある木村くんがいよいよ最終学年となる。専修大学復活の象徴でもあり、替えの利かない唯一無二の存在でもあるエースである彼が箱根を走れるのはあと1回だけ。

現状、木村くんに次ぐ選手が出てきているとは言えない。だが、着実にいい選手が入学してきており着々とチームのレベルは上がってきている。それだけに木村くん在学中にできることならばシード権獲得という答えを明確に出しておく必要があるのではないだろうか。

ここまで誤算続きで、不完全燃焼であっただろう箱根駅伝での専修大学。立て直した長谷川監督の手腕は当然賞賛されて然るべきだろう。しかし、奇跡を起こしてきた木村くんという存在を最後輝かせるためにも……。

この3年で長谷川監督が感じた「学び」を形にする。それが母校復活を託された彼らが求める最大の「答え」へとつながる気がしている。

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