山本龍神「後悔」
今年行われた箱根駅伝予選会、国士舘大学でエントリーされた4年生は山本龍神くんだけだった。2年生と3年生がめきめきと力を付けてきた国士舘大学のチーム事情はあったにせよ、4年生の選手たちがしぶとく走ってつなぐレースを展開してきた中でその光景はある種異様でもあった。
その中で山本くんはチーム3番手でゴール。4年生として「格好いい走り」を見せることができた。
そんな彼の最終学年は国士舘の4年生だからこそ走りたい区間があるという。
日本人エースの象徴・1区
国士舘大学では留学生起用が始まってから、伝統的にチームで一番強いランナーを1区に置く傾向がある。昨年は綱島辰弥選手、一昨年は小榑杏祐選手とチームの中で一番強い日本人ランナーが起用される。
特に一昨年は総合15位ながらも最後まで襷をつなぎ切り、シード権獲得までもう一歩という部分までには来ていたのだ。それだけ1区序盤の流れは極めて重要になってくる。山本くんはその1区を希望する。それは大学1年次に出走した時の「悔い」が残っているからでもある。
すでにスターターとしての役割は全日本で経験済み。結果こそ区間17位と振るわなかったが、序盤1区を走るものとしてシミュレーションを進めている様子。
ひとりで走るジョグは高台にある多摩キャンパス近辺であえて傾斜のきつい場所を選び、週2回は起伏のあるコースを走りながら他校のエースとの競り合いを想定しつつ走っているようだ。
前回は3区を走り区間20位。レースの流れを断ち切る結果となった悔いを最後は大手町から鶴見のコースで巻き返すことを誓っている。
悔いの残さぬ走りをできるか
歴代の日本人エースたちは決してタイムで突出したものを持っていたわけではない。しかし、レースでは「勝ち」はなくとも「負け」のない結果を出してきた。
綱島選手や小榑選手の区間順位がそれを物語る。そしてそれを山本くんはわかっているからこそ、絶対にリベンジを果たすのだと意気軒昂だ。
それは歴代の先輩たちが背中で見せてきたものでもある。だからこそ、自らが流れを作り駅伝での悔いを晴らしたいとそう思っているのだろう。国士舘は最上級生で箱根出走経験があるのが、主将の山本雷我くんと彼しかいない。
だからこそ、彼は結果で見せなければならないと感じている。
最後の箱根、これまでの悔いを21.3kmの中にぶつけられるか。彼の最後の箱根まであと1週間だ。
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