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KOK2023感想「格好いいって何だろう」

ということで、昨日は配信でKOK2023を見ていました。結論から言えば「めっちゃぶちあがる最高の大会」だったことは言うまでもありません。それぞれがそれぞれの正義をぶつけ合い、時には笑うこともその真剣さに思わずピリピリとすることも。

9回の大会を重ねるごとに「KOKならでは」の大会のクオリティになっていると思う。では実際に、大会として何が良かったか、個人的な感想を交えて話していきたい。


全員が全員「ラップ」に貪欲だった

開幕戦第1試合からSAMさんが敗戦したことを本気で悔しがり、ステージを後にしたように。ニガリさんが何も言わずにステージから去ったように。全員が全員「今できる精一杯のラップ」をステージで披露し全力でぶつかり、そして散っていった。

そしてなぜかオニオンさんは53さんのセコンドについていた。そこは置いておくとしても、出場者16人中16人が全力を出し切った。16人ともが主役となっていたように思える。実際CHICOさんもAuthorityさんもだーひーさんも声枯れてたしね。

その中でも印象に残ったことが一つ。それは呂布カルマさんの「魔力」が溶け始めていることだ。

打ち破っただーひーさんのひたむきさ

この1年トーナメントで印象的な活躍が見られなかった(というかバトルに重きを置かなくなった)彼だが、相変わらず絶対的な強さを持っていることに変わりはなく、事実REIDAMさんを打ち破ったことはそれを裏付けている。

しかし、今大会にかける意気込みが明らかに異なっていただーひーさんの即興はそれをも上回っていた。3年前誰が彼に勝てるのか、というところから注目こそしていたが、あそこまで正攻法で打ち破った彼を見ていると、つくづくUMB2018のたらればを思い出してしまいそうになる。

あれだけの強さを持っていた覇王を打ち破った彼が決勝へとたどり着いたのは決してフロックでもなんでもなかった。

トーナメントの「恐ろしさ」

KOKには組み合わせ抽選が無い。その分運営側が1回戦の対戦カードを「良いカード」にしないといけないわけだが、そこから試合が進むごとに「誰と誰を決勝で見たいだろう?」というのが徐々に創り上げていく。

その中で意図していたかどうかは置いておいたにせよ、だーひーさんと53さんの「宮崎対決」を見たいという空気が徐々に創り上げられたというのは感じているところだ。

もちろんこれは相応の実力が無いと作り出すことができない空気だし、なまじバトルだけが強い人であったとしたらそういうことはできない。

MCとして「物語」を持っていない限りはそうした空気を作り出すことはできないのだ。そして今回の物語はMOL53さんの優勝で幕を閉じた。

印象はだーひーさんだった。でも……

決勝戦、その宮崎対決を制したのは53さんだったが客判定はだーひーさんだった。自分もその瞬間はそう感じていた。しかし、審査員は3人が53さん1人がドローという決着に終わった。

だが、誤審ではないジブさんが言っていた「53のほうが格好良かった」を考えた時。一つ上げるとするならば、まだだーひーさんを「クラブで見ない」と言っていた53さんの言葉は「長く根をはってやってねーだろ」ということと「もっと知られるくらいにやれや」ってことなのだろう。

彼のSNSとかチェックしなくても聞こえる、届くくらいまで。そしてその議題を提示したのは53さんであり逆に言うとだーひーさんはいくらでも言いたいことを言えるような状況だった。そうした「縛りプレイ」を意図的に行ったことが結果としてだーひーさんを苦しめてしまった可能性もあった。

個人的に今回一番名を挙げたのはだーひーさんだとも思う。だが、だーひーさんは想像以上に今日は観客の心をとらえすぎていた。それが今忖度だと言われている結果となっているのだろう。

主人公になることは決して悪いことではない。それが本当に格好良ければ。ある意味「その中でも本当に格好いいのかどうか?」を冷静になってとらえた時、どうなるだろう。

もう一度冷静になって彼の試合を振り返ったときに、また違ったものが見えてくると思う。いずれにしても、だ。

今回のKOKは過去最高に素晴らしい大会だったことは言うまでもない。

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