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山本歩夢「挑戦」

歴史を変える挑戦。國學院大學語る上で常に上へ上へと目指していくその姿勢そのものだ。チームの柱であり中心選手である平林くんと伊地知賢造くんが大きな柱とするならば、いわば山本くんは重要なジョーカー的な存在だ。

チームの流れを大きく変えるゲームチェンジャー。國學院大學の中で足りなかった一つのピースともいえるような存在でもある。
青学をぶち倒すという挑戦者のような強い意志を持つ中で、山本くんの存在は必要不可欠となる。その理由とは。


流れを変えるゲームチェンジャー

浦野雄平選手と土方英和選手世代の卒業後、國學院大學は着々と世代交代が進む。一方でこの数年3位以内に入るまでの実力はまだまだ得ることができていない。思うにあの時の面々には中西大翔選手がいて、青木祐人選手という駅伝に強い選手が多くいた。

決して絶対的なエースと呼べるほどではないにせよ、監督が信頼を寄せることができるそういった選手でもある。山本くんは國學院大學においてまさしくチームに流れを引き寄せることができるタイプの選手だ。

1年で箱根路にデビューすると3区で区間5位、なんと6人抜きを達成する快走。2年も同じ3区で接触こそあったにせよ(こちらは後に和解して個人的にもほっとした)区間5位と安定した成績を残している。

エース格の選手である平林くんと伊地知くん以外に他の区間で流れを変えられる選手は監督にとってもチームにとってもこれほど心強いことはないのだ。歴史をがらりと変えるためにも彼のような「仕事人」のような選手を欠かすことはできない。

何よりもそれがここからの國學院にも大きなプラスとなるからだ。

「2年生トリオ」の台頭

実は2年生の上原琉翔くん、青木瑠郁くん、高山豪起くんといった優れた選手の育成に成功しつつある。特に全日本大学駅伝で2区区間11位と苦しんだ山本くんの後タスキをつなぎ、上原くんが3区区間3位、高山くんが4区区間4位、青木くんが5区区間3位とカバー。

実力ある選手に育ちつつあり、前田監督も10区間の中でこの3人を起用することはおそらく計算に入れているはず(もちろんこの3人は前回の箱根の経験もあるわけだが)。

すでに始まっているであろう沖縄での合宿を挟み、箱根駅伝に向けて準備を進めていく國學院大學。実は山本くん、夏にシンスプリントを発症していた。その分十分に溜めができない中での走りとなったが、この合宿でしっかりと脚づくりを行うことができれば彼もまた箱根での快走は期待できるはずだ。

彼がよりのびのびと流れをより大きなものとし、あるいは苦境を打開できるような快走を見せられれば「打倒駒澤」に大きく近づく。それだけに彼の回復は必要不可欠だろう。

「歴史を変え続ける挑戦」はまだ始まったばかり

ここ2年、主力選手にけがが発生して本来もっと上で戦えるはずのチームが戦い切れていない。前回大会でも中西大翔選手が万全であれば、もう少し何かが変わっていたかもしれない。前回大会でも木付琳選手のアキレス腱のアクシデントが無ければより高い位置を保てていたはずだ。

彼らは國學院大學の中でも「安心してレースを見れるゲームチェンジャー」だった。逆に言うと柱だけで戦わざるを得なかったというのが実情だったわけだ。

それだけに山本くんの完治と快走はそれだけでもチームにとってアドバンテージとなりうる。否、歴史を変え続けていく挑戦には決して欠いてはならないそういうピースに彼はなっているのである。

今年は3年連続3区なのかそれとも別の区間になるかは分からないが、彼の快走が前田監督のうれし涙となって結実する。そう私はひそかに見ている次第である。

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