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松山和希「苦闘」

あの憎たらしいまでに強かった東洋大学が、どうしてここまで……。と思うほどの順位で全日本大学駅伝で低迷した。

まさかの14位。

「鉄紺軍団」と呼ばれ、他チームから畏れられ憎たらしいほど強かった東洋大学がこの順位で終わるというのは正直見ていられないという思いもある。しかし、そこには「走るべき選手」たちが万全でなかったという結果も残っている。

苦闘が続く鉄紺軍団において、松山和希くん。
彼という存在こそがチームを救う。私はそう確信している。


エースの走りがチームを変える

特筆すべきなのは、彼には2区での実績が他大学の選手と比較しても突出している点だ。1年時には1時間07分15秒、2年時は1時間07分02秒。3年時こそ全くレースに出ることができなかったものの、本来彼が東洋のエースとして額面通り走っていれば……。

というのはチームの成績にも如実に表れている。

1年時はチームの総合成績は3位、往路では2位だった。
2年時にもチームの総合成績は4位で往路でこそ9位だったものの、序盤の遅れをリセットするだけの結果を出している。
しかし、3年時はあわや最下位寸前を走るなど低迷し、何とか10位。

昨年、松山くんは箱根路を走ることさえ叶わなかったが、これがいかに彼の存在が大きかったのかを物語っていると言える。

鉄紺軍団において、松山くんこそ重要な存在はいないだろう。

今だからこそ問われる「東洋魂」

酒井俊幸監督が就任してからの東洋大学には、毎年強いエースが現れてきていた。今回コーチとして就任された大西智也さんはもちろんだが、その後に出てきた柏原竜二さん、設楽啓太・悠太兄弟に服部勇馬・弾馬兄弟、山本修二選手に相澤晃選手。

どの選手たちにもどこか気高き「魂」のようなものがあったように思う。鉄紺のユニフォームを身に纏っているというような強いプライドと気高さ。それを持ち合わせているのが東洋大学の駅伝の強さでもあった。

そしてその揺るがないプライドこそが苦境でも踏ん張りを産んでいた面はあったと個人的には思うのだが……。近年はそれらが空回りし一つかみ合わずに歪みが生まれているように思えてならないのだ。

それを解消するには、やはり結果を出し続けるしかない。松山くんの走りにはそんな東洋大学の未来がかかっているのだ。

最後まで戦い切る様を

あれだけ強かった東洋大学がこんな順位でとどまっていいはずがない。それは酒井監督はもちろん、選手たちだって強く思っている。そして、松山くんもまた、ファイティングポーズをとり続けていることは間違いないのだ。

「自分が責任を果たせなかったのはふがいなかったし、チームに申し訳なかったです。今年のチームは誰かがミスをするとずるずる引きずってしまいます。箱根まで短い期間ではありますが、そのあたりを改善していきたい。シード権はもちろん、最初に3位という目標を掲げたので、そこは譲らずに狙っていきたいと思います」

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今シーズン彼が走った出雲駅伝は4区で区間8位。状態は3割ほどという中での走りだった結果とはいえ、本来の彼の走りからは遠く及ばない結果となってしまった。

彼が本来持っている能力を存分に発揮してレースに挑めば……。間違いなくチームは躍進する。そこに疑いは一つもない。おそらく吉居大和くんや鈴木芽吹くんらとハイレベルなレースをすることに間違いはない。

だからこそ思う。最後まであきらめないという「東洋魂」を見せられるのは今彼しかいないのだ、と。

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