KOK2023勝手に応援企画(6)「SILENT KILLA JOINT」
「リアルであること」。ラッパーにとってそれは何よりも欠かすことのできない重大な要素だ。それが曲を作るであれ、クラブにいることであれ、ライブでかますことであれ。
常にラップ……HIPHOPというのは「日常生活に寄り添っている」ものであることが何よりも肝要だ。だからこそ漢さんは多くの尊敬を集め、舐達麻の3人はメジャーデビューしていなくても支持を集める。
そして彼もまた、多くのヘッズの心をつかみそして自らを貫きながら戦っているラッパーの一人だ。オニオンことSILENT KILLA JOINTさんその人である(以降、オニオンさんで便宜上統一する)。
リアルであることは誰もが知っている
2012年よりヤンキー系YouTubkあer「ずきむぎちゃ」として活動をしていたオニオンさん。2年後の2014年の大麻取締法違反で逮捕。その後執行猶予中に2016年に知人の女性に対して脅迫したうえで性的暴行を行った自称ヤクザの男に対し、報復として先輩3人らと共に拉致して先輩の事務所に監禁、暴行を加え200万円を要求。
この事件の加害者として逮捕された一方で、事件が起きた経緯から同情の声が多く寄せられたことも知られる。懲役刑を食らったものの、2年9か月後に出所。
2020年にMCバトルに出場すると瞬く間にバトルヘッズの中でも知名度が広がり、リアルなラッパーとして名を知られるようになった。
2022年に行われたUMBでは優勝を達成し、現在に至るまで音楽・バトルなどで精力的に活動をされている。今大会には全国予選優勝者として参戦。名だたるMCを抑えた実力派でもある。
幅広く活動するスタイル
当然ストリート側の出身でありながらもどこか独特な雰囲気を持つ男でもある。
それは彼自身に内包している優しさによるものだと思うのだが、バトルでも決して相手をディスらないという「彼ルール」がそうさせているのだろう。
刑務所に入ったことで生まれた彼の中から生まれてきた「優しさ」は曲という形で体現され、そしてバトルという形でも体現されている。
また、その活動の幅は広い。YouTubeでの活動に、音楽のビートメイクから行う活動。当然バトル。こういった彼の幅広い活躍は言うまでもなく多くのヘッズから支持を得ている。
現在「うまい」ラッパーは多くいるがどこかストリートとリアルを肌で感じさせるラッパーも極めて重要だ。オニオンさんは間違いなく、それをひりひりとした空気をまといながらもピースなスタイルで表現をし続けるだろう。
代表曲
昨年はアルバム3つ、シングル7つをリリースしたオニオンさん。その時の心情を曲にし続ける様は常に彼がリアルを大切にしているからこそだ。先の逮捕の件もまた、彼は曲にしている。
実際に裁判の際「あなたの娘が被害者の立場だったらどうしたのか」という問いをオニオンさんはしたという。彼の暴力を肯定はできない。それは懲役刑という形として証明されてはいる。
だが、その踏み込めない灰色な世界の中で義憤に動いた彼を果たして断罪することはできただろうか。そうした人肌の血の通ったラッパーこそがオニオンさんであり多くの支持を得ている。
4回目の出場となる今回は、このステージで彼はどのような表現をしてくれるのだろうか。それが待ち遠しくてならない。
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