20200223

10時ごろ起きた。コーヒーを淹れて、ドーナツを朝食と昼食がわりに食べた。明日の朝食もドーナツになりそうだと思った。

昼過ぎに、あてもなく出かけることにした。山手線に乗って東京駅の丸善に行った。いつもはデパートの地下食品売り場みたいに混んでいるが、今日はこころなしか空いていた。フランス語の単語帳を吟味し、洋書フロアでポール・オースターの『The Invention of Solitude』を買った。喫茶店に入り、仕事のメールを打ち、買ったばかりの『孤独の発明』を読んだ。父親の遺品整理をするなかで、父親の「孤独」を見つけ出す、という話だ。亡くなった人や別れた恋人の思い出の品から話が膨らんでいくのは映画でも小説でもよく見る展開ではあるが、なかなか好きな展開なのだと気づかされた。転じて、モノからエピソードをひろげていく歴史記述は可能なのだろうか。佐藤健二先生ならすんなり書けるのだろうなと思う。『風景の生産・風景の解放──メディアのアルケオロジー』は絵葉書と錦絵からそのような作業をしている気がする。

15時ごろ、大手町まで歩くと、警察官がたくさんいて、今日が徳仁の誕生日だったことを思い出した。千代田線に乗って千駄木に戻り、駅前の酒屋で白ワインを買って家に帰った。

目的もなく人混みに揉まれたのと、乗り慣れていない電車に疲れたので、缶ビールを開けながら、フランス語を勉強する。基礎文法をひととおり終えたので、教科書の音声データを出版社のページからダウンロードした。「彼は病気であったが、裁判所に行った(Bien qu'il fût malade, il alla au Palais de Justice)」と女性の声。「彼は真実を知っている唯一の証人だ!(Il est seul témoin qui connaise la vérité!)」と男性の声。例文の背後にあるドラマティックな状況に感動してしまった。

夕食は、鶏肉を解凍して、タマネギとニンジンとシメジを使ってクリームシチューを作った。パスタを茹でて、その上にかけて食べた。白ワインは辛口でとてもおいしかった。もう少し冷やすともっとおいしくなると思った。夕食後、ラジオを聴きながら、今日の日記をつけている。まったく孤独だったがなかなか良い日曜日だと思った。研究は進んでいないが、そのことについて深く考えないことにした。

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