1年すこし付き合った彼氏と別れた

大好きな彼氏と別れました。

もう連絡を取ることはないと思うと寂しいし、東京のいたるところに彼氏との記憶があると思うと辛いです。

事の発端は、わたしの失態でした。わたしがお酒を飲んでいた時、彼氏に衝動的に電話をして、自分が感じている不満を伝えて「もういい」と言ったんです。その時、彼氏からの言葉はあまりなく、ほぼ一方的にわたしが話をしているような状態でした。

そこからしばらく彼氏からの連絡がなく、久しぶりにわたしが安否確認の連絡をした時に、「振られたんだと思った」と彼氏から言われました。わたしは振ったつもりなど毛頭ありませんでした。しかし、彼氏は振られたと思った時、驚いたけど仕方ないか、みたいな気持ちになったそうです。ということは、彼氏はわたしのことがそれほど好きではなくなったのだと気づき、このまま付き合っていても不健康だから別れようという流れになりました。

彼氏との付き合いにおいて、わたしの良くなかった点はいくつかあります。まず、不満を溜め込んでしまうこと。彼氏のことは今まで付き合ってきた彼氏の中で一番好きだったからこそ、一番良い顔をして、好かれていたかったんです。ですから、少々の遅刻、話を流される、連絡頻度が減った、可愛いと言ってくれない、そういうことは当たり前だし、受け入れるべきことだと自分を納得させてきました。

ですが、本当に納得できてはいなかったんです。その不満は少しずつ溜まっていて、しばしば爆発となっていました。これがわたしの良くなかった点の二つ目です。感情の言語化が下手で、相手を一方的に非難するような言い方になってしまうというところ。

わたしは文章だと自分の感情について非常に饒舌に語りますが、怒りや寂しさを他人に言葉で伝えることは苦手です。気持ちの整理がついていないうちに話し始めると、ついいらないことまで言って相手を傷つけてしまいます。彼氏にも、数回は一方的に不満をぶつけていたことがあり、ついに今回愛想を尽かされたのだろうと思います。

そして三つ目の良くなかった点は、酒癖があまり良くないところです。普段我慢して溜め込んでいるものは、お酒を飲んで理性が外れたころに解放されていました。それがより、2人の建設的な話し合いを妨げていたのでしょう。

さらに良くなかった点は、言葉をうまく表すのが苦手なので、途中で「もういい」と言ってしまうところです。本当はもういいわけありません。自分の気持ちを相手に伝えて、話し合いがしたいのです。ですが彼氏も「もういい」と言われると「もういいんだ」と思ってしまう人なので(当たり前)、そこですれ違いが発生してしまいました。

ですが、わたしも彼氏も変わらなければ、早かれ遅かれ別れていたのだろうと思います。彼氏と付き合っている時はわたしが圧倒的に聞き役でしたが、本来わたしは話したいタイプです。別にいつも話したいわけではないけど、自分が話した時に大した反応をされないとテンションが下がってしまい、もう話さなくて良いかなという気持ちになってきていました。

でも、本当は話したいのです。これを見てこういうことを思った、わたしはこう考えるけどあなたはどう、そうやって対話をしていきながら、自分の思考の糸を張り巡らすことが好きなのです。しかし彼氏との会話においてそれができなかったため、わたしは多分、無意識にストレスを抱えていたのだと思います。

わたしが「話聞いてないでしょ」というと、「聞いてるよ」といつも彼氏は言っていました。そうではないのです。音声を聞いて意味を理解してほしいと言っているのではないのです。聞いてるよって、受け取ったって返してほしかった。わたしが人に求めすぎているんです。それはわかっているんですけど、いつだって一方通行に感じられる会話は、今の年齢のわたしには合いませんでした。

そして、彼氏はわたしとではなく、東京といたいのだろうと思う日が増えていました。常に新しいものに飛び込んでいこうとする彼氏の横は別にわたしでなくてもよく、なんなら彼氏1人でも良かったと思います。もちろん最初からそうだったわけではありません。いつの日からか、わたしたちが何をしたいかではなく、いかにやったことない新しいことに挑戦するか、みたいな感じに変わっていきました。その変化が、とても寂しかったのです。

だったらわたしが案を出せば良いだろと言われそうなのですが、それはできませんでした。彼氏に反対されるのが怖かったからです。わたしよりも東京に詳しく、色んな経験をしている人に対して、その人がやったことのない物事を提案するのは、ものすごくハードルが高かったです。

新しい物事に挑戦するのが苦手なわたしでしたが、だんだん1人でいる時の方がチャレンジできるようになっていました。そうなったのは紛れもなく彼氏のおかげであるものの、1人の方がのびのび挑戦できると気づいた時、彼氏といるのはお互いに良くないのかも、と思いました。

そして、彼氏はわたしのことを「可愛い」と言わなくなっていました。

別れのきっかけになった電話での爆発は、まさにそのことでした。

「可愛い」と言われないなんて、正直どうでも良いことだと思います。でも、わたしにとってはおかしいくらい大切でした。「可愛い」がなくなるなんて当たり前だと、ずっと前から自分を納得させてはいたのに。

このnoteでは初めてしっかりと書きますが、わたしは目を二重に整形しています。それくらい、自分の顔にずっとコンプレックスがありました。そのコンプレックスは徐々に克服されていたものの、やはりコンプレックスの克服を他人の存在に委ねていた部分がありました。それは間違っていると思いますが、他人の存在によってコンプレックスが形成された以上、それを消してくれるのもまた他人なのです。もう、誰からもちやほやされるような存在にならなくても良いから、彼氏だけはわたしのことを「可愛い」と言ってほしかったです。嘘でも良かったです。4文字くらいの嘘もつけないなら、もう一緒にいることはできません。

楽しい日々の中では、それもまた彼氏の価値観だって見過ごせていたはずなのに、溜めてしまって爆発して、自分で壊してしまうなんて悲しいです。今回の件で見つかったわたしの欠点は、しっかりと直していきます。

ですが、根本的には、わたしたちのどちらかだけに非があったわけではないと思います。ただ、価値観をすり合わせようと努力することができなかった。わたしも彼氏も、話し合うことから逃げていました。もっと話し合えていたら、何か変わっていたのか、それは今のわたしにはわかりません。

別れてから涙は出ていないし、冷静な文章を書けていることに驚いています。きっとわたしは、今の彼氏はもう好きじゃないんです。自分への愛を存分感じていた、かつての彼氏の姿を愛していたのだと思います。失礼な話です。

「階段で差し出される手なくなれば君と別れる時だと思う」ずいぶん前に彼氏について詠んだ句です。今はそうなってしまいました。だからきっと別れる時なのです。

わたしは絶対に変わります。

彼氏からの最後のメッセージに、「色々心配だけどどうかご無事で」とありました。

ああわたしは彼氏と同じ土俵に立ってなどいなかったんです。それが悔しいと思うくらい、彼氏の方がずっと上の位置にいました。釣り合いたくて普段は背伸びしていたけど、結局は自分の幼稚さに殴られてしまいました。

わたしは、心配されないような、自分の足でしっかり立った女性になります。

見返したんじゃない、大人になるためです。これは彼氏がわたしに与えた痛い課題なんだと思うことにします。

本当にありがとう。大好きでした。


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