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 まず初めに、人は他者を理解し得ないと私は考える。



 そのような私が人の苦しみを聴くときに努めることは、

「この人は今、戦争をしている」

という前提をキープすることだ。

 なぜかといえば、この種のレンズ装備により、相手の苦しみを理解したつもり や 自身の思考の押し付け といった不適切な対応を防ぐためである。



 私は戦争を経験していない。

 だから、私は戦争を理解し得ない。

 戦争を理解し得ない私が、まさに今戦争をしている人の苦しみを聴く。

 何をどのように聴いても、理解し得ない。

 けれど、苦しみを聴き続ける。

 否、理解し得ないからこそ、苦しみを聴き続けなければならないのだ。

 苦しみを理解するために、聴き続ける。

 絶えず、最後まで、聴き続ける。



 他者の苦しみを理解するために最も大切なことは、もしかすれば、その苦しみを決して「理解しないこと」かもしれない。


【 お し ま い 】





私が自殺を遂げる前にサポートしてほしかった。