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学生時代にやっておくべきことのアドバイスを求められ答える。

バンドン工科大学の留学生寮には、地方の国立大から1か月程度の短期でやってくる理系の大学院生がけっこういます。優秀な若者と話ができるのは非常にいいですね。

彼らは帰ったら修士論文を仕上げながら就職活動を本格化させるので、いよいよ学生生活も最後だという感覚なんだろうと思います。
就職活動でねらい目の産業はどこかとか話をしているなか、学生のうちにこれやっといたら良かったとか無いですか?と軽い感じで聞かれました。

彼らには「今あなたたちがここでやっていることが、たぶん最高の経験になるはずですよ」と答えました。

え?こんなことが?なんで?正直なところ教授にインドネシアに行けと言われてただ来ただけなんですけど、という反応だったので、こんな感じの解説をしました。

学生時代の特権は時間が有り余るほどあることでしょ。

なので長期の海外旅行に出かけられるのは今だけでしょ。

海外に出かけてよいことは、見聞を広めることだとみんな思いがちだけど、実はそれよりも大事なのは、自分のことや日本のことを俯瞰した目で見る機会を持つことなんですよ

そもそも日本ってどうなの?とか、日本人って何者?とかまじめに考えたことないでしょ。全然気にしないでくださいね。それ普通なんで。

あと、バンドンにやってきて、今まで当たり前だと思っていたことが当たり前ではない、自分が書物や報道を通して聞いていた話と実際は違うなんでだろう、物事は一面的ではなく角度を変えれば違って見えるんだとか、そんなこと思いませんでしたか?
報道には視聴者がいるので、彼らが理解しやすいストーリーにしないといけないんですよ。相手を混乱させることではなく伝えることが目的ですからね。限られたスペースでシンプルに伝わりやすい内容にしようとすると、そこだけ切り取るの?とか、良い面と悪い面両方あるんだけどな、その背景は本当はもっと複雑なんだよとか起こるんです。

そういう体験をしていわば知恵をつけるには、できれば旅行ではなく、留学の方が絶対によいんです。なぜならば、毎日同じ現地学生と顔を合わせ、あーでもないこーでもないと話をするときに、必ず日本ってどうなの?なんでなの?と聞かれますよね。

今まで考えたことがないので、悩んでその場で必死に答えるでしょ。その後部屋に戻ってからもう一度なんでだっけと考える。そしてこういう説明の方がわかりやすいかもなと考え直し、もう一度説明する。そのやり取りが最高にいいんです。
それを逆にもやるんですよ。なんでインドネシアってこうなの?日本だとこうなのに、というのもまたお互いに素晴らしい体験なんです。
U23日本代表対U23インドネシア代表の草の根交流ってやつですね。

さらに、滞在する場所は、できれば日本と差が大きければ大きいほど良い。ショックが大きいですからね。これが先進国だと日本とあまり変わらないからかける時間が同じだとしても得られるものは減ってしまうんですよ。

インドネシアのしかもバンドンという地方都市に、大学院の修士課程1年目のスポンジのようなフレッシュな脳みその状態で投げ込まれた稀に見る希少な状況にあるんですよ。なので、ただぼーっと過ごしたらダメ。もったいない。

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ヨーロッパからの留学生の方が明確にこのメリットをわかっている感じがします。
なんでバンドン工科大学なの?とかなんでインドネシアにしたの?と聞くと、学問のレベルが国際的に高く評価されているかはさておき、文化の差が大きいところにあえて飛び込んでみたかったと言うんですよね。
やっぱりヨーロッパは大人びているなと思います。

日本の学生は1年の交換留学の予定で来ている学生以外、みなさん元気に帰国されました。バンドン工科大学で充実した毎日を過ごされたことと思います。
彼らを当地に送り込んでいただいた各大学の指導教授陣の慧眼には頭が下がる思いです。どの分野に進んだとしても、彼らはきっと素晴らしい大人になっていくに違いありません。

来年の夏になったら、日本の未来をしょって立つ優秀な若者たちを続々と送り込んでいただきたいです。

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