フィットネスのカーブスがインドネシアで急成長中
わたしのクラスメートに、マーケティングのイノベーター理論でいうアーリーアダプター(5段階のうちイノベーターに次ぐ2番目に飛びつく層)じゃないかと勝手に思っている女子がいます。
行動パターンを聞いていると非常に興味深いのですが、今日のテーマであるフィットネス通いを彼女はしています。
しかも、通っているのは日本でも有名なカーブス。聞いてみると会員が女性だけというのが気に入っていて入ったとのこと。年会費は500万ルピア(5万円)、6か月で300万ルピア(3万円)だそうです。
大学の施設なら学生証を見せれば1回1.5万ルピア、日曜の午後なら無料なんだよと教えたら、「だってマッチョな男だらけなんでしょ、ウェー」という反応でした。他の女子たちも「ないない」という反応でした。
カーブスの客層は、日本だと高齢者をがっちり囲い込んでいる印象ですが、彼女の通う店舗では若者しか見ないそうで、日本だと「おばあさんばかりなんだよ」と言ったら驚いていました。「年寄りが運動してんの?すごいね!だから日本は長生きなんだね」といった反応です。
■ カーブスインドネシアについて
インドネシアには2018年に進出しています。インドネシア語ですがWebsiteもあります。
運営会社はUnity Brandという会社で、台湾、香港、ベトナム、シンガポール、インドネシアのマスターフランチャイズライセンスを取得したと書いてありました。要は、その地域でフランチャイズ本部としてフランチャイズを募集できるということです。
キンバリー&ブランドン・マックイーン夫妻がオーナー。リンクトイン情報だとオーストラリア在住ですね。
https://www.linkedin.com/in/kimberly-mcqueen-415b764/?originalSubdomain=au
インドネシアではまずバンドンに進出しています。本社もバンドンにあり、5年でインドネシアの主要都市に進出する計画とのこと。バンドンでドミナント戦略を取ろうとしている気がします。
2023年でちょうど5年なのでこれで打ち止めになるのか、さらに拡大するのか不明ですが、いずれにせよ5年でゼロから16店舗まで広げたのは結構なペースです。
バンドンの他には、ジャカルタ3店舗、ブカシ1店舗、タンゲラン1店舗(以上いわゆるジャボタベックエリアで首都圏*)、スラバヤ1店舗、ジョグジャカルタ1店舗、タシクマラヤ1店舗。タシクマラヤは初めて聞いた町ですが、バンドンから東に100キロくらい行ったところにあります。
■ フィットネスの収益性
ウェブサイトではFCの募集中で、収益性について説明があります。
これによれば1から2年で投資回収できるとあり、本当だとしたらすごいです。
でもわたしは十分にあり得ると思います。
営業利益率40%、当期利益率25%はかなり高いと思います(ちなみにインドネシアの法人税率は22%)。日本で上場しているカーブス(東証7085)の22年度営業利益率が10%、セントラルスポーツ(東証4801)が22年度営業利益率4.2%ですから、巨大な本社費用がかかっていることを考慮したとしても全く違いますね。
インドネシアが特に利益が出やすい理由として、人件費、運営費、家賃が低いと書いてあり、インドネシア人の所得に合わせ会費を低めに設定したとしても十分にありうる話です。
ただいくら営業利益率が40%だったとしても、初期投資をそれなりに低くできないと1年回収は無理です。総資産回転率が2を超えていないといけない、つまり総投資額の倍以上の売上があって、ようやく1年で回収できます。これはフィットネスが装置産業であることを考えると結構ハードル高いと思います。
言ってみれば、投資をケチって狭くマシーンの数が少ない店構えにして、そこにたくさん会員を詰め込むようなものです。みんな辞めちゃいますよね。
調べたら日本のカーブスは1.4回転(総資産回転率1.4)させてました。仮に減価償却が10%ありEBITDA率50%とすると、1.4回転で7割回収なので、1年半かからずに回収できます。また平均1.4回転ということは下は1回転、上は1.8回転となり、下は2年で回収、上は1年1か月強で回収となり、計算が合います。
ちなみに、資料によればインドネシアのカーブスの初期投資は9.9億ルピア(約900万円)なので、店舗あたり売上は10~18億ルピア(900~1600万円)ということですね。160人から300人の会員が常時いるイメージです。
収益性とは関係ありませんが、ウェブサイトによれば、FC本部が会計周りはすべて行い、加盟店オーナーの銀行口座に利益分だけ振り込むと書かれており、いったいどういう仕組みなのか気になるところです。
■ カーブスのターゲット層
これは想像の世界ですが、若く健康意識の高い女性を狙っていると思います。
Success Story(インドネシア語だとKisah Sukses)を見ると、「わたしはこうやって体重や体脂肪率を減らしました」という体験談が書いてあります。
インドネシア人の健康に対する意識は若者を中心に非常に高まっており、わたしのクラスメートがインテリ層だからかもしれませんが、食事に行くとインドネシアの食事がいかに健康に悪いかとか、健康のために何か運動をしているかという話になります。
食事はサブスクでカロリー計算した食事を届けてくれるサービスがあって、有名人が使っているのが評判で伸びていると聞きます。クラスメートに聞くと、やっているとか、会社間のサービスや料金の比較など話題になります。
フィットネスも有名なインフルエンサーがいたり、器具やアプリも含めて毎年成長している産業です。
カーブスインドネシアのインスタもつけておきます。色使いや雰囲気が女子っぽいです。
https://www.instagram.com/curvesindonesia/?hl=en
カーブスに通っているクラスメートは現在1名だけで、1名元会員がいます。なんでやめたの?と聞いたら、通っているうちに単調な感じになり飽きたんだとのことです。日本でも同じですね。たいてい長続きしないです。
■ カーブス以外のフィットネス
(1)Celebrity Fitness
インドネシア最大手。かつ一番有名です。
授業でも出ました。消費者にとっての価値は何かの例えで、「Celebrity Fitnessの会員です。わたしイケてるでしょ。って言いたいんだよね。それも価値の一つだよね。」みないなことをインドネシア語で説明していました。
2003年にジャカルタ進出。26店舗展開中。ジャカルタを含む周辺都市を中心に多店舗展開しており、地方都市はスラバヤ3店舗、バンドン2店舗、バリ2店舗です。
(2)Fitness First
2005年にジャカルタ進出。ジャカルタに10店舗展開。Celebrity FitnessとFitness Firstは2017年に会社が統合したために姉妹ブランドになってしまいました。
(3)Gold Gym
2007年にインドネシアに進出。12店舗展開。ジャカルタ周辺部以外では、バンドンとスラバヤに1店舗ずつ。
わたしはショッピングモール巡りをしているときにGold Gymを見ました。
日本では、のびてゆるゆるになったタンクトップを着ている筋肉ムキムキの人たちがいるイメージですが、バンドン店はそういう感じではありませんでした。
■ カーブスは日本の会社ではない!
「カーブスって日本の会社だよ、インドネシアにあるんだね」と言ったら、「え?アメリカの会社じゃないの」という反応で、結局調べたらアメリカがフランチャイザーで日本はアメリカのフランチャイジーでした。
恥ずかしながら全然知りませんでした。
というわけで、残念ながら日本のカーブスは東南アジアの成長を取り込むことはできません。
コシダカホールディングさんには、カラオケのまねきねこでがんばってもらうしかないですね。ジャカルタに2020年3月に進出済みのようです。
以下、コシダカホールディングのIR。
https://www.koshidakaholdings.co.jp/ja/news/news20200316103075/main/0/link/ib4n.pdf
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