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インドネシアの和風インスタント麺はおいしいのか? 味比べしてみた

コンビニやスーパーの袋麺の売り場に行くと、驚くことに日本の味と称するラーメンが何種類も売っています。
日清食品が現地生産しているので、彼らが日本の味というのはわかりますが、インドミー(世界最大のインスタント麺会社、インドフードのブランド)までが「和風」シリーズを出しています。

ラーメン大好き人間としては、どのラーメンがおいしいか確かめたいと思い、食べ比べてみましたので、独断と偏見でレポートします。


1.今回比較のために食べたラーメン

(1)和風ラーメンSHOYU(5,900ルピア)/ インドミー製造 
(2)和風ラーメンTORIMISO(5,900ルピア) / インドミー製造
(3)和風ラーメンTAKOYAKI(5,900ルピア) / インドミー製造
(4)RamenトリカラTorikara (6,500ルピア)/ 日清食品製造
(5)RamenカレーCurry(7,700ルピア)/ 日清食品製造 

この価格がどれほどのものかというと、普通のインドミーの袋麺が3,000ルピアですから、ざっくり倍です。(5)のカレーラーメンだけ近所のコンビニで売っておらず、高級スーパーで買ってきたので高くなってしまいました。

高いとはいえ、日本風と称するラーメン屋に入ってラーメン食べると、どんなに不味いラーメンだろうと20,000ルピア(200円)はするし、高いところだと70,000ルピア(700円)するので、安上がりではあります。

2.評価

日本の袋麵との比較ですので少々辛口です。最大が★★★★★、最低が★です。

(1)和風ラーメンSHOYU

総合評価★★
スープ★
麺★★★
麺はおっと思うほどまともでした。日本の袋麺の麺よりもよいかもしれないくらいです。
さすがPremium Collectionと銘うち、「太くてコシのある麺のおいしさ」とうたっているだけのことはあります。
スープははっきり言って醤油ではないです。インドネシアにはケチャップマニスという甘いとろっとしたソースがあるのですが、ケチャップマニス味でした。
しかも、あんかけラーメンをイメージしたかのようなとろみがあり、私の味覚には合いません。
ちなみに醤油はケチャップアシンといいます。しょっぱいソースという意味です。

白菜はわたしが追加
器は日本から持って来た波佐見焼 陶器祭りでひとカゴ1000円で買った一つ

(2)和風ラーメンTORIMISO

総合評価★★★
スープ★★★
麺★★★
麺は和風ラーメンSHOYUと同じタイプの麺を使っています。やはり改めて出来がいいと思いました。
スープはただのインスタント味噌汁の味だろうとまったく期待していなかったのですが、ちゃんとコクやうま味を感じる重層感のある味で驚きました。ちょっと辛いです。日本だと辛味噌とか味噌オロチョンとか名付けそう。
寮の近くにYagami Ramenというローカル経営の食堂があり、そこで出されるトリミソラーメンをはるかに上回る出来です。
Yagami Ramenはおそらく日本の味噌ラーメンを食べたことがない人が、みそ汁に麺を入れればいいんだろと勘違いして作ったと思われる酷さですが、このラーメンはすばらしいですね。リピートもあり得る味でした。

ネギと白菜はわたしが追加
味見をしてスープの味が濃かったので、勝手に水を100ccほど追加しました。

(3)和風ラーメンTAKOYAKI

総合評価★★★(ただしラーメンとしての評価ではない)
スープ
麺★★★
これはNoteの記事にするつもりがなければ絶対に買わなかったと思います。
ラーメンに餃子をのせたものは日本にもありますが、たこ焼きはありえないと思いました。ソース味のラーメン?ありえないでしょ。
たこ焼きはインドネシアでも知られてきており、私がジャカルタに駐在していた2004~2009年の時点ですでにミッドプラザ地下の和食居酒屋で提供していました。
バンドンでもショッピングモールや町中でたこ焼き屋台を見かけますし、クラスメート達に聞いてもみんな知っており、どこのたこ焼き屋がうまいと話が盛り上がっていました。タコもちゃんと入っているらしいです。というより具をチョイスする仕組みとのこと。

ところで最初に言うべきでしたが、これはラーメンではなく焼きそばです
大きな字でしっかりラーメンって書いてあるけど、小さい字でRamen goreng rasa takoyaki(たこ焼き味の焼ラーメン)とも書いています。これは気づかない。
たしかにラーメンは中国語で”引っ張って作る麺”ですから、汁があろうとなかろうとラーメンかもしれませんが、日本のラーメンで汁がないのは”まぜそば”であって焼きそばではありません

袋を開けて中に入っているコブクロ系を取り出し、なんか液体系ばかりはいっているなと思い、心配になって作り方の絵を見たらフライパンで炒めている様子だったので気づきました。
あやうく、ゆでている鍋に液体ソースとマヨネーズを注ぎ込むところでした。

味は普通においしいです。それはそうですよね。ソースとマヨネーズの味なんですから、まずくなりようがないです。
一応青のりが入っているところを高評価とし★を一つ足しています

インドネシアのミーゴレンには青のりはないので、和風に偽りなしです。
どうやらたこ焼き味というのは、インドネシア人にとって、ソース+マヨネーズ味のことを指しているのかもしれません。青のりだけでなくかつお節も忘れないでほしいですね。

ラーメンではなく焼きそば 野菜は私が追加

(4)RamenトリカラTorikara

総合評価★★★
スープ★★★
麺★★★
日清食品といえば、インスタントラーメンの発明者、安藤百福氏が創業した会社ですから、相当期待していました。
インドネシア人の味覚に合うようにどのようにアレンジしているのか、日本のラーメンの味ではなくなっているのか、、、
Nissin Food Indonesiaは1992年に進出しカラワン(ジャカルタの東)に工場があります。Web siteは英語表記ですので、商品ラインナップにご興味のあるかたはどうぞ。

日清食品のウェブサイトを見ると、アジアはインドネシア、タイ、シンガポール、ベトナム、フィリピン、カンボジア、インドにすでに進出、アジアの統括会社をシンガポールではなくタイに置いています。
これは珍しいケースですよ。相当考えに考えてやっているに違いありません。玄人っぽい選択です。

さて、味の方ですが、ついていた辛味油を入れたら辛くなりすぎ、スープの濃厚さや旨みがどの程度なのか判断がつきにくくなってしまいました。でも多分ちゃんとしてます。
麺はインドミーと同じ★三つですが、こっちの方が上です。
麺がスープを絡めているのか、麺自体に味がついているのか、麺からそこはかとなく鳥唐揚げの風味がします。イメージに流されている可能性もあります。

このラーメンが一番美味いと思いました。次は辛味油を少なめにしてみようと思います。

出前一丁に使われている“日清坊や”がNissan Boyという名前で使われています。
ネギとチンゲン菜はわたしが入れました

(5)RamenカレーCurry

総合評価★★
スープ★★
麺★★★

わたしは日清カップヌードルが大好きで、在宅勤務のときはよくカップヌードルを昼飯に食べていました。
ラーメンだけでなくうどんも含めていくつかの種類をローテーションで回していたのですが、カレー味は必ずローテーションに入るくらい好きな味です。
カレー味のカップラーメンを食べるとき、熱湯を注いだあと必ずとろけるチーズを足してから蓋をして3分待つのがわたしのスタイルです。

わたしの好きな日清カップヌードルカレー味と、インドネシアのRamenカレーはどれくらい違うのか、楽しみでした。とろけるチーズは売っているところを見たことがないので、今回は入れずに試食です。

これは迷うところですが、★3つに近い★2つにしました。
カレーの味が本格的すぎるのです。Rasa Japan(日本味)というからには、日本のカレーライスの味に近づけてほしかったです。
Ramenトリカラの失敗を教訓に辛味油は全くいれなかったのですが、それでもゴールデンカレーの辛口より若干辛いくらい。

生卵や、とろけるチーズを入れるとマイルドになりコクも出てくるのでおいしくなる可能性はあります。
また、インドネシアで売れる味にしなければ意味がないわけですから、日清食品の味付けに文句はありません。
日本人としてどうかという完全に個人的な主観で判断しているだけですので。

青梗菜としめじはわたしが入れました。しめじは失敗。合いません。

3.日本風ラーメンの全体的な特徴

まず袋の材質が高級な感じがします。
3000ルピアのインドミーは触った感じ袋がぺらぺらで、若干透き通ってんじゃないか?と思わせるほどチープな袋です。
和風ラーメンは同じインドミーにも関わらず袋は厚みがあり、絶対に空気を漏らさないという意気込みでパッキングしている感じがします。

また、袋の色使いも豪華で、金色を使っています。日清食品はさらに金色の面積は広く、袋もよりしっかりしている感じがします。
インドミーの袋はマットな感じに仕上げており、光を反射させない分、落ち着きのある高級感を醸し出しています。本物を知る人が手に取る感じです。テレビCMのイメージを勝手に想像してしまいました。

麺ですが、太麺で茹で時間が4分と普通のインスタント麺より1分長いです。
太いと高級感があると感じるのか、インドネシア人に聞いてみないとわからないです。わたしは好印象でした。

あと、これは日清食品だけですが、袋が開けやすい。小さなことかもしれませんが、さすがは日本企業です。
この違いにローカルマーケットは気づいて評価してくれるのだろうか。
日系企業がやりがちなオーバースペックの可能性もあります。

和食のインドネシアマーケットでの広がりには目を見張るものがあります。
ラーメン、寿司、カレー、たこ焼き、牛丼、うどん、すき焼き、しゃぶしゃぶ、鉄板焼きなど、金持ちだけでなく中流階級や庶民にまで浸透している感じです。

これからも調べていきたいと思いますのでお楽しみに。


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