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最難関中合格の秘訣 親の役割・塾の役割

(第3回)
Ⅱ.最難関中突破のための学習法
合格を決める学習歴の高め方

[1]天の邪鬼な子どもは合格可能性が高い
 学習密度を高めるために集中力と並んで大事なのが子どもの自主性です。自主性を持って勉強に取り組めば学力が上がるということは誰でも予測がつきますが、こと難関中学の受験において特に最難関中の合格においてはそれ以上の意味があります。
 まず本番の入試を想定しましょう。入試ではたったひとりで受験会場に入って自分を見失わず、集中して実力を発揮することが合格する道です。その集中力を引き出す力が実は自主性なのです。周りがどうであれ、自分は自分であると確固たる思いを持つことが大事なのです。
 今までの私の長い経験から確信している点を申し上げたいと思います。親が「右を向け」と言ったら「左を向く」くらいの子どもの方が受験に勝てる子どもだと思います。ときには天の邪鬼と言われるくらいの自立心、反骨心を持っている子どもの方が高い合格可能性を有していますし、その後、混沌とした時代を生き抜く力を持ち合わせているとも言えます。
 最難関中受験における自主性の重要性はそればかりではありません。
 入試、特に国語や社会は社会経験値を問われる問題がたくさん出ます。大人に近ければ近いほど合格しやすいのです。
 例えば、灘中の国語の入試は論説文や評論が出ます。作者の意図や考えが述べられた文章です。すなわち、本人の社会経験値がもろに出る問題です。もちろん子どもの社会経験値が高ければ日頃の学習の理解度が違います。そういう意味において、自主性、主体性を持つこと、つまり大人であることが学習密度を上げることになるのです。
 私はいつも保護者の皆さまには「自主的、主体的に動く子どもに育てましょう」と言っています。しかし、これも子どもが少ない時代背景のせいか、子どもを囲いたがる親が多いのが現状です。今の小学5年生、6年生は精神年齢も高いのに子ども扱いし、子離れできない親が多過ぎるのではないかと思います。
 象徴的な話を一つしましょう。昔、関西圏で指導をしていたときです。ラ・サールや愛光といった寮のある遠方の難関中に合格した子どもたちを大阪の伊丹空港で見送ったものです。子どもたちは飛行機に乗るタラップ(当時は地上からタラップで搭乗)にしがみついて「いやだ!!」と泣き叫んでいましたが、親は6年間の寮生活でたくましくなってほしいと送り出したのです。今は状況がすっかり逆になりました。
 子どもがラ・サールや愛光といった寮のある学校に「行きたい」と言っているのに、親が「子どもひとりしかいないから、まだこの歳で手放したくない」と渋ります。私たちは「寮生活を経て、きっと立派な若者になって帰ってきますから行かせましょう」と説得しています。
 かなり隔世の感がありますが、せっかく子どもが自立しようとしているのに親がそれを阻んではいけません。子どもの自主性、主体性を削ぐことは難関中に合格させることと相反するのです。
 (第4回目へ続く)

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