「生徒指導提要」をチラ見する会

 チラ見でいいのかというツッコミをひとまず胸にしまって、校内研修で「生徒指導提要」を読み合う会を設定しました。最終的に「意味はあったが校内研修的には意義がないのでは」という結論に至り、大変にしょんぼりしました。不徳の致すところです。次の手を考えています。

 「生徒指導提要」は、生徒指導の基本書として、従来の「生徒指導の手引き」に代わって2010年(平成22年)に登場しました。2022年(令和4年)12月に最初の改訂が行われました。児童生徒をめぐる環境・状況・法令の変化に対応し、「発達を支えるような生徒指導の側面」に着目するためです。

 新旧提要の目次を比較するだけでも、かなりいろいろなことが考えられるなあ、というのが最初の所感です。
 例えば、2010年版では「個別の課題を抱える児童生徒への生徒指導」という項目で起こされていたものが、2022年版では「個別の課題に対する生徒指導」という項目になっています。「課題」というものが「個人が抱えているもの」から「個人を含む環境や状況を含めた総合的・複合的な背景をもつもの」として捉え直されているのだろう、と考えられます。生徒指導提要は2部構成となっており、その第2部の題が「個別の課題に対する生徒指導」なので、明確に「その個人だけに注目するのではなく、それが引き起こされた背景や経緯にも目を配りましょう」というメッセージであると解釈できます。
 いじめに関してはこの第2部の筆頭項目となり、目次だけ見てもかなりのページ数を割いています。喫緊の課題として挙げられていることがわかります。単純なページ数での比較でも、大幅な改訂であることがうかがえます。性的マイノリティやヤングケラー問題への言及があるほか、外国籍の子どもなど、ルーツに関する部分への言及もあります。関係機関との連携についても強調されています。学校が、教育だけでなく福祉の分野とも繋がりをもつことが求められているのでしょう。まさしく「社会全体で子どもを守り、育てることを目指す」という理念があるように読めます。

 校内研修的には反省の多い会になってしまったわけですが、提要の中で言及されているさまざまな用語を知ること、そこから日々の指導を見直していくきっかけにしていくことは、これから考えなくてはならないのだろうなと感じます。
 今、私の傍には川上康則『教室マルトリートメント』(東洋館出版 2022年)があります。自分の立っている場所、そしてその場所の背後にどんなものがあるのか、改めて考えていく必要があるのでしょう。