入国後の公共交通機関利用を認めよ

経済活動を活発化させるために、入国者への国境措置が徐々に軽減されている。

以前は入国時に全員PCR検査を受ける必要があったが、今はアジア圏の国からの帰国者を中心に(オーストラリア、シンガポール、タイ、韓国、中国(香港及びマカオを含む)、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナム、台湾)検査を免除される人が多くなった。

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しかし、いずれの入国措置を取っても、入国後2週間は公共交通機関を使わないという要請は、変わっていない。

この措置は、九州や北海道に住む人間にとっては大きな問題になっている。東京や大阪から入国すると、その先の移動手段がなく、2週間自費でホテル待機する必要があるからだ。レンタカーの使用は認められているので、東京や大阪から自分で車を運転して移動することは可能だが、北海道は陸路でつながっていないので、2週間のホテル待機を避ける手段がない。

また、安倍総理による決定で、中国(香港、マカオを含む)と韓国からの入国は、成田・関西空港に限るという要請がされていた。11月からこの規制が緩くなり、「検査能力の確保等の条件が整った空港」からの入国が許可され、中部と福岡からの入国も可能になった。

それを受け福岡空港はソウルからの便が復活した。11月23日にはアシアナ航空が、12月3日からは大韓航空の便が復活し、いずれも初便は満席であった。

アシアナ航空 8カ月ぶりに福岡線を再開

大韓航空 福岡~ソウル旅客便 9カ月ぶりに再開 3日はほぼ満席

これらの便に実際に乗っていたのは、ベトナム人研修生(という名の労働者)が大半であった。ベトナム人がいないと回らなくなっている職場は日本中に数多くあり、ベトナム人研修生の入国は早期に認められていた。ところが九州の受け入れ先では、入国後の移動手段がなく、国内空港に到着後2週間待機する必要があったため、受け入れ再開が難しかった。福岡から入国可能になれば、九州各地の受け入れ先はバス等を自前で用意し福岡まで迎えに出すことで、受け入れが可能になったのだ。

ちなみにアシアナ航空の初便を利用した入国者で、福岡空港でPCR検査を受けたのは、ヨーロッパからの帰国者(仁川で乗り継ぎ)2名だけだった。ちなみに、うち1名は私である。たかだか2名の検査体制を作ることが、福岡での韓国発便を受け入れ再開する条件だった、ということになる。ちなみに福岡空港は韓国便再開以前からマニラ、台北、シンガポール便は就航しており、これらの便からの入国者に対して全員PCR検査をする体制は、すでに出来ていた。


そもそも入国者に14日間公共交通機関の利用を自粛させることに対し、科学的な根拠はない。入国時にPCR検査を免除する国は、日本と感染者の割合が同程度かそれ以下だとみなす国である。そうした国からの入国者が公共交通機関を利用したために感染を拡大させる確率は、日本人が国内旅行で公共交通機関を利用し感染させるのと同程度かそれ以下だ、ということになる。

PCR検査が義務化されている国からの入国者は、日本で生活する人より感染している確率が高いことになる。しかし、PCR検査を受けて陰性だったのであれば、そこまで感染している確率は高くない。

しかも14日間は隔離のうえ国が健康管理を行っている。検査は偽陰性の可能性も低くはないが、14日間のうちに発症した人がどれ位いるのかを明らかにすれば、こうした人が公共交通機関を使えないという説明にはなるが、全く説明はない。

結局は国民感情に配慮して公共交通機関を使わない要請を出しているだけである。「GoToトラベルが感染拡大につながったとういエビデンスはないけど、GoToトラベルは休止しろ」というのと、同じような感情的な問題である。

地方在住者としては、座った座席番号を控える等の措置を取った上で、せめて定員制の公共交通機関利用は認めて欲しい。感染拡大を防ぐという目的であれば、それで十分である。

ちなみにヨーロッパからの深夜便を乗り継いだ後に、福岡から長崎まで車を運転して帰った私の経験からいえば、今の措置はむしろ危険だと思う。交通事故を起こす可能性のほうが、公共交通機関を利用して新型コロナを感染拡大させる確率より遥かに高いと思う。福岡から長崎だったからまだ事故を起こさずに済んだが、大阪から運転していたら、無事故で帰れた自信はない。

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