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【レビュー】『劇場版ポケットモンスター 水の都の護り神』に魅せられて
2002年に公開された映画である、『劇場版ポケットモンスター 水の都の護り神』はポケモンを愛する者の中で特別な地位を確立している。
ラティアスをはじめとするポケモンたちのかわいさや、物語の舞台である水の都「アルトマーレ」の美しさ(ヴェネツィアがモデルである)、エモーショナルなラストシーンが語られることの多い作品だが、今回は自分なりの「水の都の護り神」の魅力を3つほど紹介したい。
水上レース
アコーディオンの軽快かつ、しなやかで力強い音色が耳に気持ちいい「めざせポケモンマスター2002」をBGMに、アルトマーレの名物であろう水上レース(withポケモン)の様子が冒頭に描かれる。
水ポケモンとトレーナーの友情、アルトマーレの美しい街並みが強調されるその水上レースによって、「この舞台でポケモンたちはどうやって過ごすのだろう?」「この街でサトシたち(ポケモンとトレーナー)はどんな体験をするのだろう?」というような嬉しい妄想に、胸を膨らませざるを得ない。
ちなみにモデルとなったヴェネツィアではレガッタ・ストーリカ(the Regata Storica)という水上レースが9月の第一日曜日に行われるようである。元を辿ると、13世紀ごろから(!?)ゴンドラでの水上レースは行われていたようだ。
サトシたちの「言葉遣い」
一見なんでもないシーンではあるのだが、表現のシンプルさ、わかりやすさに思わず拍手をしてしまうシーンを紹介しよう。
それは「夢おくり」のシーンだ。
「夢おくり」とは、ラティオスの視界を、ラティアスの念力によって第三者と共有する能力で、作中ではラティオスが水路の中を泳ぎ、その景色をサトシたちに共有するシーンが印象的である。
と、このように僕がこの「夢おくり」を説明すると「視界」とか「第三者」「共有」という言葉を使わざるを得ないのだが、作中だと「ラティオスがみているものだ!」とタケシが説明するだけなのだ。
アニメーションによる描写で、ラティオスの能力が説明ができているというのもあるが、「シンプルな言葉選び」の効率のよさに思わず感服してしまうシーンである。
「ひとりぼっちじゃない」
「ひとりぼっちじゃない」とはこの映画の主題歌であり、coba氏のアコーディオンとTHE BOOMの宮沢和史氏によるボーカルと歌詞が光る楽曲である。
実はこの楽曲のアレンジが、冒頭のラティ兄妹とアルトマーレのおとぎ話、サトシが「こころのしずく」を見つけるシーンで流れている。
「こころのしずく」とは、ラティ兄妹の慈愛のこころが結晶になったもので、おとぎ話の中ではアルトマーレに訪れた災いを退けるものとして、「こころのしずく」が登場する。
その「こころのしずく」にまつわるシーンに、「誰かのそばにいる」というささやかな優しさを歌った「ひとりぼっちじゃない」がBGMとして流れていることは偶然ではないのでは?と勝手に思っている。
おわりに
「アニメだから」「ポケモンだから」
みたいな偏見なしに見てほしい名作です。
あと意外と理不尽な結末。
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