うんこ奮闘記②

あれは高校三年生の初夏。学校から帰る夜のことだった。俺の学校では主に2通りの帰宅方法がある。バスと徒歩である。徒歩は2.5kmで勾配が結構きついが、バスの運賃を俺の母はくれなかったし、タツヤの家庭ではお小遣い制度がなく、イベントのたびに支給のため、バス代に割り振ることもできなかった。そのためどんなに天候がきつい日でもタツヤは基本歩いて最寄り駅まで往復していた。そんなある日。午後五時ごろから八時まで集中して自習をし、同じクラスの友達とヘロヘロになって帰った時に事件が起きる。校門を出て緊張感が抜けたのも良くなかった。街灯がなく車のライトと自分の日頃積み重ねてきた感覚を頼りに通学路を歩いていた時、ぐちょ、という感覚が俺の右足を襲った。嫌な予感がした。しかし街灯もケータイもなかったため、急いで街灯のある場所まで走った。うんこだった。靴の裏側がびっくりするくらい茶色に染まっていた。俺は咄嗟にその場の縁石に靴の裏を擦り付けていた。俺の友達は大爆笑していた。俺は冷や汗が止まらなかった。こんなに思いっきり、しかも見えないところでうんこを踏んだ経験などあるはずもない。靴裏を削り終わった後たまたまあった水溜まりで靴の裏を洗い、その日俺はできるだけ靴の裏を引きずって家に帰った。翌日。俺は珍しくバスで学校に行ったので、昨日のうんこを確認していなかった。しかし、学校に着くと、学校まで歩いてきた別の友人から、「なんか道にうんことうんこつけたまま歩いた足跡あったんだけどアホなやついるわWWW」おい。俺だ。笑ってんじゃねえ。あんな状況でわかるか。しかしここでいったら俺がうんこ足跡マンになる。黙った。その後放課後になる。いつも五時八時で集中して勉強するルーティーンだったが、その日はうんこが気になりすぎてちょうど人がいない五時半ごろ一人で歩いて帰った。すぐにうんことその足跡を見つけた。うんこはびっくりするくらい道の真ん中に配置されていた。俺は学校がある市を恨んだ。こんな道のど真ん中にうんこがあっても誰も文句を言わない。そして市からのアプローチもない。この街に未来はない。俺は悔しかった。しかし、そのうんこの後の足跡の男らしさに、なぜか誇りを感じたので、自分を讃えることにした。結局一緒に帰った友達にバラされ、うんこ足跡男は俺なのがバレた。俺は市を許さない❗️そう高らかに宣言してたら隣の女子に笑われた。お前うんこと足跡見ただろ。


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