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春に酔う


2024.05.12

秋が一番好きな季節ではあるけれど、春になると春が一番好きなのである。
季節に優劣をつけるのは無意味だと思うが、日本人の特権なので許していただきたい。

5月の真ん中、まだまだ季節は春である…と思う。
花の香りが鼻腔をくすぐり、太陽の顔が拝めて、涼しい風が体を掠める…
そんな三位一体日には堪らなく何かをしたくなる。


僕は一人で頻繁に外出する方だと思う。家にいるのも好きだけど、同じ場所にずっと滞在していると身体が無意識に違う環境を求めてしまうのだ。
古本屋、インテリアショップ、スーパーマーケット、コンビニ、様々な場所に足を運ぶけれど何故だか遠ざけてしまう場所がある。巷ではその場所を「カフェ」と言うらしい。もちろん、日の当たる窓際の席でお洒落に本を読んだり、PCから軽快な音を鳴らしたい‥これは周りに迷惑が掛かってしまうか。サードプレイスを謳っているカフェも、自分が何者かでなければならない気がして何だか顔を合わせられない。

そんな僕が気がつけば都心から離れた小さなカフェに来ている。この文章も日の当たる窓際の席でコーヒーと硬めのプリンを嗜みながら、できるだけ音を立てないように静かに綴っているのである。これをきっかけに文章を綴るという行為を習慣化していきたいとさえ考える。どうやってこの場所に辿り着いたのか、記憶は確かにあるのだが、今までの自分では考えられないほど突拍子もない行動である。これはまるで、お酒を嗜んで少しばかり行動的になった瞬間に似ている。


なるほど、どうやら自分は春に酔っているらしい。
何か新しいことを始めるのは肩の力が抜けてる時ほど良いのかもしれない。

photo : 麻布台ヒルズ

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