心とインテリア
人生相談
ご質問「ステイホームで自宅にいることが多くなったり、テレビ会議などで部屋の背景が映りこむようになり、インテリアに興味を持ち始めました。
いろいろと買ってみたり、ネットを参考にしていますが、なんとなく場当たりというか、薄っぺらい感じで、自分好みの空間になりません。通販の写真みたいになってしまうというか…。
前田さんのピンタレストやドコノコとか、建築誌に掲載される、ご自宅の記事も拝見していますが、洗練され、快適そうな部屋だと感じています。(だから、取材がくるのでしょうが…笑)
どうしたら、インテリアのセンスが良くなったり、鍛えられたりするのでしょうか?」
僕の家のインテリアを褒めてくださり、ありがとうございます。
でも、マジックの道具を作ったり、ビデオ撮影をしたり、原稿のために資料を積み上げたりで、だいたい散らかっています。たぶん、1ヶ月のうち、20日くらいは乱雑です。だから、たまの取材や来客、こんなご相談をいただくたびに、バタバタと部屋を片付けています。
僕がインテリアに興味を持ったのは、移動や、待ち時間が多い仕事だったから。「空港の乗り継ぎで3時間待つ」なんて、しょっちゅう。持っていく本もすぐに読んでしまうので、売店で買ったインテリア雑誌を眺めることが多かったし、気に入ったインテリア写真があれば、自宅に持ち帰ります。(とくに、外国の雑誌はペラペラなことが多いので……)。
そんなふうに過ごしていると、あるとき、「きちんとした空間にいないと、きちんとならない」ってことに気がつきました。「人生」もそうだし、「マジック」もそう。わかりやすい例はキッチン。「清潔」で「整理整頓」されたキッチンで料理を作ったほうが、「速く」「健康的で」「美味しいもの」ができる、何よりも料理が楽しくなり、ストレスになりにくい。
そういえば、少し前(この騒動の前)に、友人宅のパーティで、プロの料理人(ひとり)がケータリングに来ていて、調理しているのを眺めていました。そうすると、料理が出来上がるのとほぼ同時に、キッチンがピカピカにきれいなってるんですよね。焼いたり煮たりする時間に、ちゃちゃっと洗い、レンジを拭いちゃう。プロはすごいなぁ…と、感心しました。
あと、ゲスな考えなのかもしれませんが、「○○で成功してるから、ノウハウを教えるぜ!」なんて人の家や部屋を、YouTubeなどで、チラリと見たときに「うぁ!この人、なんか詐話師っぽいなぁ……」と想像してしまうくらい、本人の広げるフロシキと部屋のチープさとのギャップを感じてしまうこともあります。
経歴は文字だけでウソをつこうと思えば簡単にできるけど、インテリアとか、過ごしている空気感はウソがつきづらい。それは、本人と空間の雰囲気がこなれてくるのに時間がかかるからだと思っています。
そんな楽しさ、怖さが混在しているのがインテリアだと、僕は思っています。
インテリアのセンスについては、あまり語れませんが、僕のインテリアのルールをあげてみますね。
●家具を買うときは、値段を1/10に計算して考えるようにしています。その理由は、家電とか服とか、他の消費財に比べると10倍ぐらいの時間を一緒に過ごす、長持ちするものだからです。
●「とりあえず、コレにしとく」は、インテリアと調理道具(鍋とか包丁とか)ではナシにしています。インテリアと調理道具は、「とりあえず」で選んだ気に入らない物を20年くらい使っちゃうことがあるからです。
●3ヶ月に1度くらい、粗大ゴミをだすような大掃除をしています。そうすると、インテリアを買うとき「きっと、すぐ捨てちゃうんだろうなぁ」と慎重になれて、無駄遣いや失敗をしなくなります。
普段、過ごす空間と心は、とてもよく似ている……、というか、お互いに影響し合っていると感じています、確証はありませんが。だから、センスを磨くには、すごく時間がかかるし、他人にも、自分にもインテリアでウソはつきにくい。僕はそう思っています。
下は仕事部屋のVR写真。ネコがどこかにいますので、探してみてくださいね。
サポートはウェルカムです。いただいたサポートで、若いマジシャンとお茶を飲んだり、一緒にハンバーガーを食べるのに使わせていただこうと思っています。