『フリー・コミティッド』【#まどか観劇記録2020 30/60】
「お芝居モンスターがいらっしゃる」
そう友人に誘われたのがきっかけだったのですが、ものすごいものを観ました。。。
成河さん一人芝居「フリー・コミティッド」
やばい。
やばい。
やばい。
観たものの整理がつかなくて感想を書くまでにひと月もかかってしまいました。
究極の一人芝居。
お芝居モンスター。
ああ、なるほど。なるほど...。なるほど...?
そんな言葉では納得できるわけない。
言葉にできない経験でした。すさまじかった。
先日YouTubeにダイジェストがアップされたようなのでぜひこちらご覧ください。
「目いっぱい、手いっぱい(=FULLY COMMITTED)」
感想の前に、タイトルについて一言。
『フリー・コミティッド』
予習もなしに観に行ってしまったのでフリー=Freeだと思っていた私ですが、Freeではなく、Fullyでした。英語でFully Committed、最近よく聞くフルコミットというた単語の元でした。
目の前のことにフルコミットしているから、つまり目いっぱい、手いっぱい。手がいっぱいですよという意味からレストランが満席の状態のことを表すこともあると。なるほど。
この話は作品の上演開始前の前説(?)で成河さんご本人からご説明いただいたのです。
原作が英語の脚本の翻訳というのは、メインの言葉をどう伝えるかにも気を配る必要があるのですね。「目いっぱい、手いっぱい」リズム感もあってなるほどな表現だなとその時は感心していたのですが、まさに作品が観客にとっても目いっぱい、手いっぱいとなっていたとはその時の私は知る由もありませんでした。
1人38役のモンスター一人芝居
2時間の一人芝居。
全部が会話劇。
1人38役。
こんなことが実現できると信じられますか?
尋常ではないこの作品はそれでも間違いなく私の目の前で演じられたのでした。
ものすごいスピード感にものすごい情報量。
この方は一体何者なのか…?
一台の電話を中心とした舞台セットを右に左に走り回りながらすごい速さの会話劇をたった一人で繰り広げる成河さん。話しかける人も成河さんなら、話しかけられて応える人も成河さん。
ただ2時間しゃべり続けるだけでも相当大変なのに、成河さんは38人分の役を瞬時に演じ分けながらどんどん会話を進めていきます。
この演じ分けのレベルがまず尋常ではありません。
人気レストランの席をどうしても取りたい人たちはみなせっかちなのか、相手にかぶせるような迫力の会話が進んでいきます。そのやりとりを一人で“瞬時に”切り替えて演じていく。この時、前の役に引っ張られることはコンマ一秒たりともありません。一瞬の迷いすらなく次の人に切り替わっています。それも口調だけでなく纏うオーラまで。どうしてできるんだろう、なんて考えることすら意味がないかもしれません。答えはきっと、成河さんだから。
しかも更にすごいのは、成河さん自身が演じ分けているだけではなく、観客の頭にもその38人を覚えさせる演技をしているということです。
舞台に限らず小説などもそうですが、初見の作品はまず観客は登場人物の把握に頭を使いますよね。パンフレットを見て登場人物が38人もいる舞台なんて始まる前から卒倒しそうなくらいですが、事前に何も見ていない私でも38人全員の違いが分かるお芝居だった上に、なんと、20分前に一瞬だけ出てきた人物が間を開けて再登場した際にもすぐその人だとわかる状態だったのです。このすごさが伝わりますでしょうか。
やばいです。とんでもないです。成河という役者。。。
チャーミングな人となり
ここまで、いかにお芝居がすさまじかったかという話をしてきたのですが、
実は一番心に残ったのは成河さんご自身の前説でした。
「コロナで、劇場での私語はご遠慮いただいているのですが、みなさんしゃべれない分、私がしゃべります」なんて開演15分前にまさかのご本人が舞台に登場(成河さんの舞台では通常仕様だそうです。15分前にはつかなきゃだめだよと友人から念押しされていたので)
友人から聞いていたとはいえ、まさかこんな直前にご本人が出ていらっしゃるとは...!
これから38役を演じられるというのにそんなに喉を使って大丈夫なのですがとハラハラするほど、そして息継ぎしているのかなと勘ぐってしまうほど、言葉が次から次へと。
最初にお伝えした「フリー・コミティッド」というタイトルのご説明とか、芝居の形式とか、たくさんお話してくださいました。
たぶんお芝居のことを話し始めると止まらないのだろうなとこちらが微笑んでしまうほど楽しそうに生き生きとお話しされるご様子がとても素敵でした。
開始5分前、開始3分前、開始1分前、とスタッフの方がカウントダウンしながら催促に来ても素知らぬ顔「まだ大丈夫」と話し続け、ついに「開演時間ですよ」の声に名残惜しく袖にはけていかれました。
その30秒後にはサムとして舞台に出ていらっしゃるのだからもう切替の早さというかなんというか、すさまじいのです。
日常生活でたくさんの人と会っているにも関わらず、あんなに楽しそうに話す人はなかなかいらっしゃらないと思います。
とてもチャーミングで、とても素敵でした。役としての役者さんよりも、役者さんその人の人となりでこれからもお芝居を観たいと思ったのは初めてかも。
15分前にちゃんと到着しておいてよかった…!
『フリー・コミティッド』は2020年11月で終わってしまいましたが(感想が遅くてすみません)、お芝居モンスターの成河さんはすでに2021年の春までに『イリュージョニスト』『子午線の祀り』『Thrill me』の3作品へのご出演が決まっています。
ですので、ぜひこのすさまじい方のお芝居を見たい方はこれらの作品を観に行ってください。
その他情報が欲しい方には成河さんのブログサイトとメルマガのリンクを貼っておきます。
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本当に忘れられない作品と役者さんになりました。
来年はどんな出会いがあるかなーーー!!
おすすめの作品などを教えていただけるととてもうれしいです。