『INFINITY DANCING TRANSFORMATION』【#まどか観劇記録2020 37/60】

[INFINITY：無限、無限大]
ダンスの無限性とは・・・

http://www.classics-festival.com/rc/infinity/

『INFINITY』上演の経緯

伝説のバレエダンサー草刈民代さんが1回目の緊急事態宣言下でお知り合いのダンサーに声をかけたことから始まったプロジェクト。

外出自粛中に、発表の場だけでなく、稽古やトレーニングをする場すら奪われたダンサーたちに踊る場を、ダンサーは踊らないと生きていけない、という草刈さんご自身の想いから、お知り合いのダンサーさんたちに声をかけ、それぞれがそれぞれの場所で踊った映像を繋げた作品を作られました。
それがこちらの『CHAIN OF８』です。

（内容と関係ないですが菅原小春さんのお家が広すぎてびっくりです）

その『CHAIN OF８』が草刈さんと横尾忠則さんとのコラボレーションの『in between』を経て、約半年後の2021年1月30日にリアルなステージの場に参加ダンサーたちが再集結しました。そして同時にこの公演は草刈民代さんの約12年ぶりとなる本格的なダンス舞台への復活となります。

『CHAIN OF８』では家具を蹴飛ばさないようにと限られたスペースでおそるおそる踊らなければならなかったダンサーたちが舞台上でのびのびと踊る姿には感慨深いものがありました。

今作『INFINITY』は、第一部はソロ作品及び新作レパートリー、第二部はオムニバス11作品で構成された最新作『CHAIN OF９』の二部構成となります。

贅沢すぎる作品集

深い紅のドレスに身を包んだ草刈民代さんのソロから始まる第一部。
ダンス舞台の出演が約12年ぶりとは思えないほどのオーラに圧倒されます。ひたすらに美しく力強い。劇場で生で見るよりも気が散りやすい配信での鑑賞でしたが、映像の利点として視線の方向や指先まで細かく見えるということもあり、息をのむように拝見しました。

さすが草刈民代さんのお知り合いといいますか、バレエ、コンテンポラリー、タップなど様々なジャンルの有名ダンサーたちが集まっており、ひとつひとつの内容が色濃いです。そしてビジュアルも強いです（石井則仁さんの白塗り…！）。

一部はソロ作品ということで、いい意味でそれぞれの方が好き勝手自分の踊りをという印象を受けましたが、それが二部はオムニバスということで、それぞれの魅力を活かしつつひとつの軸でまとまった時の空気感の違いに驚きました。この方とこの方が共演されたらこうなるのだなという新しい発見だったり、ダンスジャンルの境界を超えた掛け合わせに文字通りINFINITYというダンスの可能性の無限さを感じた気がします。

特に印象に残ったのは、辻本知彦さんと平原慎太郎さんの二部でのペアダンスと、一部の上野水香さんの瀕死の白鳥です。

前者は、配信をいいことに何度も繰り返してみたのですが、どの手がどちらの方のものかわからなくなるのです。体がどうなっているのかわからないなめらかすぎる絡み合うダンスがとても素晴らしい。人間の体ってこうやって使えるのだなとまじまじと思ってしまいました。

後者の上野水香さんの瀕死の白鳥ですが、ダンスの技術が素晴らしいのはもちろんなのですが、一部の他のダンサーさんの作品がかなり自由度が高い中（オリジナルという意味です）、上野さんが演じられた瀕死の白鳥はクラシックバレエの演目としてきっちりと決まっているものです。それが他の作品と並立で上演されることで、伝統の決まりがより自由に見えたというのが印象的でした。

理解するのではなく感じる心地よさ

私自身はダンスの専門家でもないし、ダンスを観るのは好きですが、普段はストーリーに乗せたダンスや歌詞のある音楽と共に披露されるダンスを主に見ているので、コンテンポラリーなどのストーリーやテーマが見えにくいものには苦手意識がありました。

今回も始まった時に、これは理解できるだろうかと不安がよぎりましたが、理解どうこうよりも見ていることそのものが気持ちよくなってきたのです。頭で考えるのではなく、体や気持ちといった面で感じるだけでもいいのではないか、と思えたのが、この作品を観た一番の収穫なのかなと思います。もちろん頭でも理解ができるのが一番良いと思いますが。

「ダンスの力は無限大」という草刈民代さんの言葉を、体感したエンディング、白いドレスに着替えた草刈民代さんの美しさ含めて必見です。

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動画配信は明日2月6日23:59まで（チケット販売は2/6 12時まで）
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2101747&rlsCd=001