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【イベントレポ】はじめてのイマーシブシアター②事例紹介

熱気に沸く会場にムーディーな音楽が流れます。
まず登場されたのはモデレーターのきださおりさん。

イベントを開催しようと思ったきっかけ

東京ミステリーサーカス館長という職業もあって、イマーシブシアターについての質問を多く受けるようになったものの、ご自身の経験から最初の一歩を踏み出すのに勇気がいるタイプのエンターテイメントだと実感していたため、行ってみたいという人の後押しをしたいとの思いからイベントの開催をされたそう。

イマーシブシアターの定義

まずはじめに、今回のイベントではイマーシブシアターの定義付けはしないことが宣言されました。
理由は、これからまだ広がっていきそうな分野であること、人によってのとらえ方が違うため、そのあたりの議論が楽しいこと、からです。

ただし、イマーシブ(=没入)については、素晴らしいものであれば映画でもショーでも没入できてしまい、範囲が膨大になるため、何かしら観客側が自分で行動するということとストーリーがあるを条件に今回は事例を選んだということです。①で調べた相互性(=Interactive)にも通じることがありそうです。

登壇者紹介

今回は国内外で活躍され、作品を作られている三人の方がゲストです。


事例紹介(海外)

まだ行ったことがなく、ネタバレを少しも聞きたくない!という人のための離席タイムがありました(笑。誰も離席しませんでしたが観客心理をよくわかっていらっしゃる方々主催ならではのご配慮でした。

『SLEEP NO MORE』@NY, 上海

イマーシブシアターといえばこれ、という有名作品。
海外公演にもかかわらず会場には参加したことのある人が数人。
シェイクスピアの「マクベス」をベースにし、架空のホテルを舞台とした作品。受付でみぐるみはがされ、(長谷川さん曰く「こんなに辛いをして見なくちゃいけないのかと思った」)、トランプを渡され、怪しげなバーで待っていると、テーブルごとに呼ばれて会場に入る。匿名の傍観者という設定になるため、参加者は仮面をつけ、同行者とは絶対に離され、一人で3時間建物をめぐる。
NYでのロングラン公演を経て上海でも施設が開業。この作品が商業的に成功していることがイマーシブシアターの発展に対して及ぼした影響はとても大きいといえるでしょう。

『then she fell』@NY

不思議の国のアリスの世界観をベースにした作品。1回の観客数は15人に限定され、より役者との接触も多いと言われている。日本人にとっては「SLEEP NO MORE」のマクベスよりも「不思議の国のアリス」の方がすでに世界観のイメージがあること、同行者と一緒に回れるということで入り込みやすいかもしれない。

『Variant31』@ロンドン

35階建ての建物を使い、出演者150人、1回の観客数1500人、1000のルートが体験できるという前代未聞のイマーシブサバイバルゲーム。

*****

他にも様々な事例が紹介され、オランダ、パリ、カナダなど一部の国にとどまらず、世界的にイマーシブ形式のエンターテイメントが盛り上がってきていることが感じられました。中でもロンドンは4月から始まったものが多いらしく、今回の事例紹介で取り上げられる数も多く、ニューヨークと並んでイマーシブが盛んな地域という印象です。

海外においてもイマーシブの定義付けはかなり広範囲に及ぶようで、このイベントで紹介された中でも、インタラクティブアートなども含め、演劇要素の比率も様々、謎解き要素が強かったり、ショーの形式が強かったり、機器を使ったり、と、”イマーシブ”という可能性の広さを感じさせるものでした。

ゲストの長谷川さんの印象に残ったイマーシブ体験として紹介されていたのがリミニプロトコルの『リモートX』。
ドイツで体験されたそうですが、ヘッドホンをつけて街中をめぐり、ヘッドホンから流れる音と同期した世界を体験する。


事例紹介(国内)

『ホテルアルバート』@USJ

会場の半分以上が参加したという国内の人気イマーシブ作品。ユニバーサルスタジオジャパンの2018年度ハロウィンイベントとして開催され、ゲストは出演者の一人としてホテル内を歩き回り、様々な体験をするというもの。きださんは参加した何人もの方に内容を聞くも、一人として同じ回答がなく、最終結末がわからないという状況だそう。届きそうで届かない最終結末を求めて何度も参加した人がいたようです。

ゲストの柳田さんも参加されており、「SLEEP NO MORE」のようにトランプをもらったり、公演前後のバーでの時間など没入できる仕掛けや伏線のちりばめられ方も面白かったとのこと。

『名探偵コナン・ミステリーレストラン/サンジの海賊レストラン』@USJ

レストランなので作品を見るというより、作品世界の中のレストランで食事をすることができるという体験型イマーシブ。名探偵コナンやワンピースのキャラクターが登場し、一緒に時間を過ごすことができる。写真を撮ったりなどキャラのサービスがすごく、没入感を味わえる。

『時の箱が開くとき』@東京ワンピースタワー
イベント参加者の半分くらいが体験済み。
東京ワンピースタワーとダンスカンパニーDAZZLEのコラボレーションによるイマーシブシアター。きださんいわく、ワンピースのキャラクターのことをある程度知っているため、自分の求めるもののためにどう動けばいいかの予想がつき、より自主的に動き没入することができた、とのこと。
「SLEEP NO MORE」の感想にも事前予習をした方がいい、という人もいるようで、自主的に動くというイマーシブシアターの特徴的に事前情報の有無は没入度合いに影響を及ぼすようであることがわかります。

『Touch the Dark』@都内
玉井病院という建物一つを使い、たくさんの部屋でパフォーマンスが繰り広げられる。「SLEEP NO MORE」で想起する本格的なイマーシブシアターらしい作品といえる。ダンスカンパニーDAZZLE主催。

その他、イマーシブシアターという表現はせずとも、参加型企画は多く開催されていて、ET企画のミステリーナイト(ゲスト村上さん芝居担当)などの参加型推理ベントなども。

イマーシブシアターとは観客側だけではなく、お芝居する側としてもお客さんとの関係性がいつもと違うのでLIVE感の中に身を置いているようで、新鮮だったり面白かったりするそうです。その分問題も生じてくるので制作者側としては様々なことを考えて作品を作ります。

ゲストの作品への向き合い方については③に続く。。。

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