『Gang Showman』【#まどか観劇記録2020 20/60】
踊れない屋良朝幸を観てみたい。
今回の私の観劇理由です。
屋良さんといえばジャニーズ屈指のダンサーで振付師で、まさにダンスの申し子です。そんな彼がミュージカルに主演、作品タイトルは「Gang Showman」。これはバリバリに踊る屋良さんが見れるのだろう、と予想しますよね。
そこであらすじを読んでみます。
STORY 抜粋
Club Smileに借金の取り立てにギャングのジェイムズ(屋良朝幸)が手下のウィリアムとマイケルを従えてやって来た。ジェイムズは、すぐに借金を返せないのであれば、返済を待つ条件として、ダンスの経験のない自分をショーの主役にするよう要求する。それを仕方なく了承するメアリー(平野綾)。
公式サイトより抜粋して転載
踊れないギャングの屋良朝幸さん
踊れないギャング?
しかも潔癖症で高所恐怖症らしいです。
つまり。。。
潔癖症で高所恐怖症で踊れない屋良さんが見れるってこと???
踊りまくる屋良さんよりもずっとずっと貴重な姿が見れそうです。これは行かないわけはない。
というわけで行ってきました。
結論としてダンスの申し子屋良さんは健在だったわけですが、
みんなが華麗にタップダンスをする中、たどたどしい足つきで戸惑う屋良さんの初々しいこと…!
一度できるようになってしまうと、できなかった時のことは忘れてしまいそうだと思うのですが、あれだけ踊れる人が踊れない演技を完璧にこなしていることに逆に驚きでした。
とはいえとんでもないスピードで踊れるようになってしまうのですが。笑
そこからは、タップダンスに加え、ペアダンスやお得意のブレイクダンスも健在。存分に踊る屋良さんを堪能することができる作品でした。
笑いに変えること
新型コロナウィルスが流行して、様々なことが影響を受けています。
エンタメの世界も例外ではなくて、というか、かなりの打撃を受けていて、それをテーマにした作品もたくさん生み出されています。
『Gang Showman』では、そんな状況を笑いに変えようと、ミュージカルコメディーという形で作品が上演されました。
屋良さんの演じる主人公のギャングが、潔癖症で常に消毒薬を振りまいていたり、人との距離を空けるように指示したり(しかしそれはソーシャルディスタンスではなく、あくまで潔癖症ゆえらしい)、そんなシーンが繰り広げられる度に、客席に軽やかな笑いが生まれていました。
ままならない状態が続きますが、それをポジティブに変換できること、エンタメのすばらしさだと思ったところです。
のびやかな歌声と生の音楽
ミュージカルなので当然、歌も目玉のひとつなのですが、これが想像以上に素晴らしかったです。
特に、女性キャストのお三方は、今までのご経歴からしても納得ののびやかな歌声。セリフを話す時とは違った口や声の使い方が感じられて、ミュージカルの醍醐味を味合わせていただいたと思います。
そして言及しておかなければいけないと思うのが生バンドの演奏です。
あまりに自然に、舞台上にバンドメンバーがいらっしゃったので初めは気づかないほどだったのですが、それも含めた舞台の作り方が素晴らしかった。生のお芝居を生の歌で生の音楽で体験できるという贅沢な2時間。音楽に詳しくない私でも生の音が気持ちがいいなということだけはわかります。
今の状況下で、貴重な「生」のよさを感じさせてくれた舞台でした。
ゴーストライトが灯る場所に
『Gang Showman』は、本日10月3日が千秋楽でした。
最後まで無事に幕が開き続けたこと、おめでとうございます。
ステージに灯るひとつの裸電球から始まった作品は、裸電球の灯りを残して幕を閉じました。
ゴーストライトといわれるこの灯りは、劇場の灯りが消えても、そこに存在した様々な想いを受け止め、劇場にとどめ、そのグッドスピリットを大切にすることで、舞台がスムーズに成功することを祈念するものだそうです。
なかなか作品の上演が難しい時期です。初日を迎えても千秋楽まで無事に幕が開き続けるかわからない時期です。劇場が開いていてもみんなが気軽に行くことができない時期です。
けれど、おそらくどこの劇場にも心のゴーストライトが灯っているのではないでしょうか。また、再び劇場に集まれる日まで。
『Gang Showman』を見終えて、シアタークリエを後にした今も、まだずっとゴーストライトの灯りが目に焼き付いています。
おすすめの作品などを教えていただけるととてもうれしいです。