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『偽義経冥界歌』【#まどか観劇記録2020 10/60】

先日、人生で初めて生の劇団☆新感線を見てきました。
「偽義経冥界歌」

観劇後に即追いチケ(追加でチケットを買うこと)するほどキマシタ。
豊洲遠いしな~。それにゲキ×シネとかWOWOW放送とかで見れるからまあいいかと後回しにしていたからこそ味わえた衝撃。
なんて言ってみても、いやいやいやなんでもっと早く生で見ようとしなかったんだと小一時間自分を問い詰めたくなっているので、この記事は、気になってるけどまだ劇団☆新感線公演を生で見たことがない人に向けて、少しでも早く見た方がいいよと伝えたくて書きます。

まず、劇団☆新感線とは
1980年11月、大阪芸術大学舞台芸術学科の四回生のメンバーが中心になって旗揚げ(演出のいのうえひでのりは創立メンバー)、1985年には座付作家として中嶋かずきが合流。早くからその頭角を現し、次々と公演を成功させる。ド派手な舞台で人気を博すも常に演劇に対する挑戦を行い、様々なシリーズを展開。その新しく個性的な表現は、“新感線イズム”として確立され、劇団☆新感線はエンタメのジャンルのひとつとして数えられるほどになっている。
偽義経冥界歌とは
劇団☆新感線の結成39周年を記念した39(サンキュー)公演のひとつ。2019年に大阪、金沢、松本にて公演を行い、再度一部のキャスト変更、台本変更等を経て2020年2~4月に東京、博多で公演を行う。

説明が長くなるのであらすじなどは公式サイトを参照してください。
http://www.vi-shinkansen.co.jp/niseyoshitsune/

事前にあらすじを知らなくても全く問題ありません。
「名立たる役者陣をそろえてなんだかハチャメチャで誰もできないすごいことをやってる劇団☆新感線が今度やるのは義経なんだって。生田斗真と早乙女友貴が出るらしいよ!ほかにもすごい人たくさんらしいよ!」
私の認識なんてこんなものでした。そしておおかた間違っていませんでした。すごい人がいすぎたくらい。

さて、何から書きましょうか。

いのうえひでのりの演出と中島かずきの脚本の最強タッグ

圧倒されたし、たくさん笑ったし、あまりの出来事に眉を顰めたり、とにかく感情が忙しい作品。観劇後とても疲れました。笑

人がたくさん死にます。
重いテーマもあります。
でも、重いストーリーだからって重く伝えればいいわけじゃない。軽やかに笑いを交えて伝える方が伝わることもある。
中嶋かずきさんが脚本に書いた言葉にも、いのうえひでのりさんが舞台上に描いた景色にも、その伝えかたの絶妙なバランス感がありました。

そしてスピード感がすさまじい。ぶんぶんと振り回されて、あちらこちらいろんなところに連れていかれました。これが劇団☆新感線…。おそるべし。

観劇後も興奮から抜けきらなくて、思わずパンフレットと戯曲本を買ってしまいました。

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それらを読んだら、LIVEかと思うほどの派手な演出も、要所要所を抑えた緩急自在なスピード感も、座組の一体感も、全て緻密に熟考されつくしているのだろうという二度目の衝撃。

戯曲集を読んで驚いたのが、観劇中はアドリブかと思っていた役者のつぶやきのようなセリフまで全部書かれていたこと。もちろん戯曲と違う部分も多少あったのですが、そんな細かいところまで計算されて書かれていたことに驚きました。確かに、そのポロリのせりふがとても面白かったのです。笑いひとつも偶然ではなく、きちんと裏付けと計算がされている。なんてことだ。
そして、当て書きが当てはまりすぎて観劇後に戯曲本を読みながら脳内であのシーンもこのシーンも完璧に再現されるのです。なんてことだ。

そしてそのすごい脚本を形にしたいのうえひでのりさんの手腕にさらに驚愕。

ガチガチに固めているようには見せず(実際にどうかはわかりませんが)絶妙な抜け感を保ちながら舞台上は常に美しく全体の調和がとれつつそしてハチャメチャ。笑。一体どんな感覚で作るとこんな作品が作れるのかなあとまじまじと見てしまいました。殺陣も並びも全部美しい。メインで動いている人だけでなく、舞台の端に至るまで徹底している。

更に、表現の深め方も素晴らしくて、これはいろんな方が感想で書いていらっしゃるのですが、第2幕の隈取…!話の進行に合わせて登場人物の顔つきが変わっていくのですが、それが歌舞伎の隈取をもとにされていて、その文化への知見と、それを表現として落とし込むやり方が本当に素晴らしい。

中島かずきの描いた色彩豊かな油絵をいのうえひでのりが山を作り谷を作り立体にした。
このお二人の関係性を私はそう感じました。

役者陣が最高すぎる

全員分の感想を書きたいほどすべての役が最高だったのですが、とんでもないことになりそうなので今回は義経役の生田斗真さんと、黄泉津の方のりょうさん、遮那王牛若役の早乙女友貴さんに絞って書きます。

生田斗真さん(源九郎義経役)

生で拝見するのは初めてだったのですが、今まではあのジャニーズにおいて100%役者業に舵を切ったすごい人。という認識でした。本当にすごかった。笑

生田斗真は光でした。

役柄もあるのだと思いますが、彼が舞台に出てきたら明るくなる。見えないオーラか何か知らないけど光を感じるのです。本当に。
芝居もすごいし、どれだけ動いてるのという殺陣の量とうまさもすごいんですが、彼のように舞台を照らす人は見たことがなくて、ちょっとこれ以上は言葉になりません。見て。

りょうさん(黄泉津の方役)

偽義経を観た女性全員りょうさんに惚れたんじゃないですかね

はじめは怪しい役だなぁと思っていたんですが、黄泉津の方の最後のシーンを観たらもう忘れられない。圧倒的な凄みにあの瞬間、劇場の空気がビリビリと震えていました。あのシーン見るためだけにもう一枚チケットを買ってもいいというくらいです。必見。

早乙女友貴さん(遮那王牛若役)

私はこの世で一番すごい殺陣をするのは早乙女兄弟だと思っているほどですが、やっぱりすごかった。第2幕の生田斗真さんとの合わせ鏡のような殺陣のシーンがあるのですがもう瞬きすら惜しいほど。
今回の舞台は床が斜めになっている八百屋という形式らしいのですが、そんな足元の安定しない中であれほどの立ち回り。。。永遠に見ていたいです。

あと、個人的に彼のお辞儀の仕方が素晴らしく好きです。ぜひにご注目ください。

静香役の藤原さんの歌声とか盤石の劇団員の方達とか、書きたいことはたくさんあるのですが(さっきも言いましたね)、全然まとまらないのでぜひともご自身の目で見ていただきたいです。

今後の予定

3時間半の上演時間があっという間でした。なんて世界だよ。。。
どうかまだ生で見たことがない方はこの機会にぜひ。
あまりの興奮にTwitterやら劇団☆新感線ファンの方々の感想ブログなど読み漁ったら、今回はストレートに劇団☆新感線らしい作品のようですので。

8日まではコロナウイルスの影響で休演中ですが、10日からは再会される模様(3/7時点情報)。当日券も狙えますし、なんと3/19のライブビューイングの先行申し込みが明日3/8までなのです。私個人は生が一番最高だと思うのですが、チケットを取れなかったり赤坂が遠かったりする方にはライブビューイングも心からお勧めします。何よりきっと隈取りがよく見える。明日3/8まで先行申し込みです。ぜひ...!

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