⑥レアルマドリードvsアスレティック レビュー

Y-3とのコラボシャツ。かっこいいですね。


 マドリー・アスレティックともに4-4-2。

 マドリーはヴィニシウスがいないこと以外はいつも通り。また、朗報としてミリトンがベンチ入り。得点差をつけて出番を与えたいところ。

 アスレティックはニコやウナイシモンがいない。コパ決勝をかなり見据えているように見える。

 マドリーもアスレティックも次の試合がビッグゲームなので、勝って勢いづけたいところ。


 試合開始。
 まずはアスレティックのハイプレスから。

 リュディガーがボールを持った時、上図のような形でハイプレスを仕掛けてきたアスレティック。注目はサンセとプラードスがクロースを抑え込むように包囲。イニャキはナチョを意識したポジション取り。落ちるベリンガムとブラヒムに対してはジェライとアイトールがそのまま対応。しっかりと用意してきた形のハイプレスを仕掛けてきた。

 アスレティックが素晴らしいのはプレスをかけるときとかけないときの見極め。プレスが間に合わないと判断すると、ベスガとプラードスは背後のベリンガムとブラヒムにマークを変更。クロースとチュアメニは自由にしてしまうが、その分後ろはコンパクトなので縦パスを差し込まれない。アスレティックはその切り替えが正しく且つチーム全体で行えていた。さすがバルベルデ。

 しかし、上図を見るとわかるのだが、キーパーのルニンがフリーになっている。アスレティックはルニンへのバックパスに対してプレスを仕込んでいなかったので、マドリーはルニンに下げるだけでプレス回避ができてしまっていた。


 そんな感じで、ルニンで上手くプレスをかわすマドリーとなかなかプレスをはめ込めないアスレティックという構図になった。だが、プレスをかわせても前進はできていない。



 アスレティックのブロックを押し込めないマドリーだったが流れの中で押し込む展開をつくれた時は、上図のような2-3-5を形成した。

 対するアスレティックだが、4-4のローブロックと2トップ。特にベスガとプラードスは背後のベリンガムを意識してライン間をつぶすように配置していた。

 ブロック内部が狭すぎるので、マドリーのFW達はブロック外までボールを受けに来る。しかしそうなると誰もライン間にいないので、ブロックの外で意味のないパス回しが行われるだけである。


 今更だが、マドリーの攻撃は全員がやりたいようにやるのでバランスが悪い。全員が下がってくることもあるし、全員が裏抜けを狙っている時もある。例えば誰かが裏へ走り出して空いたスペースに誰かが顔を出すみたいな連携ができるようになるともっといい攻撃ができるようになるのかなと思う。

 結果的にこの試合、マドリーがアスレティックのブロックを崩すことはなかった。攻撃に関しては課題が残ったが、今日の本題は攻撃ではなく守備の方である。



 マドリーの守備。
 ここ最近の試合の中で、最もファーストラインが機能していた。攻撃時は4-3-3のような形になるアスレティックに対し、ベリンガムとブラヒムがしっかりと中央のベスガを消してくれるので、プレスをひっくり返されることはなかった。素晴らしい。

 若干高い位置をとるプラードスと、ライン間で受けようと落ちるサンセに対してはチュアメニとクロースが捕まえて対応。チュアメニは中盤の底でどっしり構えるよりもこの試合みたいに機動力を生かして高い位置で使う方が向いているのかもしれない。そう思うくらい躍動していた


 この試合、マドリーとアスレティックは4-4-2の同じ形で守備をしていたが、守備の練度でいえばアスレティックが上回っていた。その理由としてベリンガムの守備意識が挙げられる。

 上図は左サイドバックのレクエがボールを持っている状況である。マドリーとしては、ハイプレスをかけてボールを奪いたいところ。この時、ボランチのベスガに対してベリンガムが寄せるべきなのだが、寄せが甘い。ベリンガムは守備で少し手を抜く癖があるように感じる。攻撃で走り回るタイプの選手なので、そのための体力を温存しているという言い方が正しいかもしれない。

 この試合に関しては、チュアメニが気を利かせてベスガとプラードスの両方を見るような形をとっていたので、中央経由でプレスをかわされることはなかった。しかし、せっかくハイプレスをかけるなら、ボールを奪いきりたい。ボールを奪いきりたいので、ベリンガム・チュアメニ・クロースの3人で中央を抑え込んで、ブラヒムとバルベルデで挟み込むようにプレスをかけたい。

 ここに関しては、ベリンガムにしっかり仕込むのが正解なのか、自由にやらせるのが正解なのかはわからない。だが、自由にやらせるならハイプレスは不可能だということは頭に入れておきたい。

 試合の展開に関しては、最初に触れたハイプレスとブロックの切り替えの部分でブラヒムのマーク受け渡しをミスって、ライン間で受けられたブラヒムから逆サイドのロドリゴまで展開され、ロドリゴがドリブルからゴラッソを叩き込みマドリーが先制。本当に一回のミスだったが、それで仕留めてしまうのがさすがマドリーという感じ。

 そのあとは両者の守備を崩せない両者と、ハイプレスをはめきれない両者という感じで非常にローテンポな試合運びとなり、そのまま前半終了となった。いわゆる塩試合である。
 
 ファーストラインがしっかり機能するだけでこうも攻め込まれなくなるのか。ストレスなく試合が見られていい気分である。

 マドリディスタとしては、ロドリゴが左で躍動しているのを見ると複雑な心境になる。ただ最近はヴィニシウスが中央でプレーできるようになってきたので、共存もできそうなのが朗報。


 後半開始。
 後半、アスレティックはグルセタとイニャキをポジションチェンジ。自由人のイニャキはFW固定で、サイドの仕事はグルセタが担うことになった。
 
 一方マドリーは保持を少し修正した。クロースが左のサイドフロントまで落ちてくるいつもの形に変えた。サイドフロントでメンディ・クロースvsグルセタの2対1の構造をつくり、プレスをかわす作戦である。右でも同様のことをチュアメニが行っていた。

 マドリーのこの修正で、アスレティックのハイプレスはほとんど機能しなくなった。
 
 中盤のプラードスを応援に行かせないようにベリンガムがピン止めしていたが、もともと後ろの選手なのでサポートが上手。ボールも奪われないし敵を引き付けたり逆にフリーになったりできる。相変わらず超人。これで守備まで上手になったら完璧超人になる。完璧目指して頑張ってほしい。


 神出鬼没なベリンガムに手を焼いていたアスレティックは、三枚代えを行ってきたが、守備を修正しては来なかった。ビッグマッチ前であまり消耗させるわけにはいかないとか、思うところがあるのだろうか。

 試合展開としては、ガラレタとベスガの連携ミスでフリーになったベリンガムからカウンターを仕掛け、ロドリゴが仕留めて2-0。その2得点を守り切り、マドリーがホームで快勝。

 代表ウィーク明けでコンディション低調、次に試合のために温存とか、背景のせいで非常にゆったりとしたゲームだった。お互いに、次の試合のためにゆっくり休んでほしい。

 マドリーの話をすると、チュアメニが守備で躍動、ベリンガムが組み立てで躍動、この辺は収穫だった。バルベルデとクロースは体が重そうだったので心配。


 次の試合はCLベスト8 vsマンチェスターシティ。向こうは中2日の超過密日程に対してこちらは中8日の超過疎日程。しかもホーム。絶対に勝たなければいけない試合である。スタメンはおそらくロドリゴ・ヴィニシウスの2トップで、ファーストラインが機能するか若干怪しいのがめっちゃ不安だが、信じるしかない。アラマドリー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?