⑫レアルマドリードvsバイエルン CL2ndleg レビュー

苦労人ホセルの活躍で嬉しい気持ちになりました。


 マドリーは4-4-2、バイエルンは4-2-3-1。

 バイエルンは1stlegから3枚の変更。1stlegでは、サイドで躍動したムシアラだったが、カルバハル対面を避けたのか中央に移動。そこにはニャブリが入る。キムミンジェに代えてデリフト。ゴレツカに代えてパブロヴィッチ。

 一方のマドリーはカルバハルが戻ってきた以外に変更はなし。

 1stlegを経て両者がどのような戦い方を選択したのかに注目したい。



 1stlegを経たマドリーがまず付け狙うのはバイエルンのビルドアップ。

 上図はマドリーの非保持でハイプレスの形。中盤より上はそのまま当てはめた形。中央のムシアラに対しては右サイドバックのカルバハルが対応。ここはリュディガーと入れ替わることもあった。

 この非保持が大成功で、バイエルンを苦しめることに成功した。成功のカギは、1stlegからロドリゴとベリンガムを入れ替えたところにあると思う。チュアメニがムシアラに対応するときロドリゴは背後のパブロヴィッチを消しながらダイアーまでプレスをかける。こういったFWとしてのディフェンスはロドリゴが得意。一方で、逆サイドにボールがあるとき、ハーフスペースやバイタルエリアまで絞るスライド、いわゆるMFとしてのディフェンスはベリンガムの方が得意。この辺の適材適所を1stlegで見極めて修正できたところが、マドリーが非保持で優位性を発揮できた要因であると考えられる。


 というかこの試合、ヴィニシウスが注目されがちだが、ロドリゴとベリンガムも注目するとヴィニシウスと同等の働きはしてくれているのが分かる。彼らもしっかり評価してあげてほしい。

 一方のバイエルンだが、マドリーのハイプレスに大苦戦。1stlegと違ってクロース&チュアメニが2ボランチまでがっしり捕まえに来るから逃げ場がない。ムシアラも効果的に顔を出せない。ロングボールで逃げるしかないがさすがにマドリーのバックス相手ではキープできないから失ってまた非保持。そんな循環が続いた。


 続いてマドリーの保持。

 非保持では優位性を出せたマドリーだったが、保持では思うように出せなかった。その原因は、攻撃陣の使いたいスペースが被りまくっていること。

 左サイドでは、ベリンガムもヴィニシウスもハーフスペースにいることが多いのでワイドに人がいない状態が多かった。そうなるとキミッヒも内側に絞るだけでいいので守りやすい。そうやって密集されてしまうと、スペースも狭くなりボールを失いやすい状態になってしまう。

 右サイドでは、カルバハル&ロドリゴorバルベルデの2枚がワイドにいることが多い。それはそれで内側を気にしないでいいから守りやすい。内側との連携ができないので相手を崩せずバックパスするしかない状態になってしまう。


 解決策はただ一つ。内側と外側の両方に人がいる状態を常に作ればいい。実際に試合中に流れの中でそうなったときはチャンスになることが多かった。

 そんなこんなで前半は終了。スコアは0-0のまま。マドリーとしては非保持で上手くいった分、保持で停滞したのがもったいない。ただ、上記の保持の課題は修正するのが難しい。特にマドリーというチームは攻撃を選手に任せている面が強いのでなおさら。アンチェロッティが何を考えてどこに手を加えるのか。そこに注目したい。


 


 基本立ち位置を上図のように定めたマドリー。これでエリアが被ることは少なくなった。まあそんなこと以上に爆発したのはワイドに置いたヴィニシウス。アンチェロッティの一番の成功は、今季上手くいったヴィニシウスCFにこだわらなかったこと。そう思わせるくらいにチャンスを演出しまくっていた。

 さて、いろいろ書こうと思って試合を見直しているのだが、バイエルンが何もしてくれない。マドリーのハイプレスにずっとはまり続けて、蹴って回収されて守備の連続。1stlegで見せたあの修正力はどこにいった。ベルナベウに吞み込まれたのか。すごく残念である。それでも一点取っちゃうのはさすがだけど。

 ということで、戦術合戦だった1stlegと比べて、力戦となった2ndleg。試合として見どころは多いが、レベルはあまり高くない。書きたいことも特にない。バイエルンが今季苦戦していることを考慮すると、本来の姿はこっちなのかもしれない。

 マドリーとしてはやはり交代で入ってくる選手が違いを出せるところが素晴らしい。ホセルやブラヒム、モドリッチも。先発メンバーと比べても遜色ないプレーができる控え選手がたくさんいる。今期のスカッドは個人的には非常に気に入っている。全員で戦っている感が良い。

 次はグラナダ戦。優勝も決まっているし、CL決勝に向けて消耗も避けたいマドリーだが、何を見せてくれるのか。ここまで来たらリーグ1敗でシーズンを終えたいとか、そんな考えがマドリーにあるのかは注目どころである。

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